音楽ナタリー Power Push - ももいろクローバーZ

豪華作家陣と生み出した3rd & 4thアルバム ももクロが表現する“常世と幻想の世界”

まったく参考にならなかった“ももクロの恋バナ”

──今回のアルバムでは皆さんが歌詞に関わった曲がいくつかありますよね。「サボテンとリボン」「バイバイでさようなら」の作詞を担当した只野菜摘さんとも、事前に打ち合わせをしたそうで。

佐々木 そうですね。“死”と“恋”それぞれについて、メンバーの意見を聞かせてくださいって。死についての意見は「バイバイでさようなら」、恋については「サボテンとリボン」で反映されるはずだったんですけど……。

百田 はっきり言われたよね。「恋についての話は、まったく参考になりませんでした」って(笑)。

  • 百田夏菜子
  • 百田夏菜子

有安 めっちゃしゃべったのにね。ホワイトボードにもいろいろ書きながら、熱く語ったのに。

百田 仕方ないよ、現実味がなさすぎるもん。だって映画を観て、妄想してるだけじゃん(笑)。で、できあがった歌詞を見たら「恋愛映画」って出てきて、「ああ、バレてた」って。

高城 でも「バイバイでさようなら」には、私たちの意見が反映されてるよね。死生観とか、みんなで真剣に話し合ったし。「周りの人たちを悲しませたくないよね」とか。

玉井 ただ、私たちの意見だけじゃなくて、実際に病気になってしまった方の意見も入っているから、すごくリアルなんですよ。私たちは死ぬことに対して、すごく前向きな考え方をしていたんです。「死んじゃっても、また次があると思います」みたいな。でも実際に病気になってしまった方は「(病気になってしまったのが)なんで私なの」とつらい思いを語っていて。そういう意見が入ったことで、すごく深みのある曲になりました。

佐々木 人の死に触れたりすることはあっても、まだ“自分の死”については考えたことがなかったから、確かに私たちの意見には現実味がなかったかもしれない。この曲が死について、これからの私たちの人生について、改めて考えるきっかけになったし、聴いていただいた方にとってもそういう1曲になればいいなって思います。

玉井 私たちにはまだ作詞や作曲をする技術はないけれど、こうやって自分の意見を伝える場を作っていただけたのはいい機会でした。自分たちの意見が曲に反映されてるから1曲1曲、すごく考えて表現できるようになったし。

  • 玉井詩織
  • 玉井詩織

さだまさしに楽曲提供を直談判

──「AMARANTHUS」では、さだまさしさんが「仏桑花」という楽曲を提供しています。

有安 さださんとはテレビ番組などで何度も共演させていただいて、かわいがっていただいてますし、こうやって曲を作っていただけてうれしいです。私たちのアルバムのクレジットに「さだまさし」って名前が入っているのは、本当にすごいことだと思います。

百田 実はまだアルバムの内容が決まっていないときに、さださんとお話をする機会があったんです。そのとき、スタッフさんに小声で「お前たちから、ちゃんと『曲を作ってください』ってお願いして」って言われて(笑)。

佐々木 そう。ほとんどウチらの直談判だったよね。

百田 お願いしてみたら「いいよ」って即答していただけたので、びっくりしたんです。ただ、その段階では「本当に実現するの?」ってまだ半信半疑で。でも新作の収録曲が決まる瞬間に立ち会ったのはこれが初めてだったから、貴重な経験ができたなあって。

“秋桜=コスモス”に続く“仏桑花=ハイビスカス”

佐々木 曲を作っていただけることが決まってから、さださんが「どういう曲がいいかな?」って私たちに聞いてくださったんですよ。“家族がテーマの曲”っていうのは決まっていたんですけど、「みんなは普段、家族のことをどう思ってる?」って質問されて。ああ、さださんがちゃんと私たちの言葉を受け止めてくれようとしてるんだなって。

  • 佐々木彩夏
  • 佐々木彩夏

玉井 その歌詞も「AMARANTHUS」の中では、すごく共感しやすかったんですよ。年齢的にちょっと背伸びをしているんですけど、テーマが親子なので、今の私たちにも響くんですよね。ちょうど、さださんのコンサートを観させていただいてすぐのタイミングで、さださんワールドに浸っているところで曲をいただいたので「染みるなあ……」って。

高城 最初に聴かせていただいたデモが、さださんの歌声だったので「もう、これでいいやん!」って(笑)。本当に言葉のチョイスが素晴らしいんですよ、さださんならではというか。私たちは普段、当たり前の言葉で感謝を伝えるじゃないですか? でもさださんの場合は、例えば「産んでくれてありがとう」を「生命を分けてくれたひと」って表現する。ああ、こういう伝え方もあるんだなって。聴いていただければ、きっとこのスッキリ感が伝わると思う。

──「仏桑花」はハイビスカスのことですが、皆さんはもともと知ってましたか?

佐々木 いえ、知らなかったです。さださんに「ももクロにはお花の名前の曲がいいと思うんだよね」って言われて。すぐに出てきたのが“ハイビスカス”で、曲名は漢字表記で「仏桑花」(ぶっそうげ)になってます。で、さださんの曲と言えば「秋桜」があるじゃないですか。

玉井 そうそう。さださんのあの曲がきっかけで、秋に桜と書いてコスモスと読むことが広まったって話は聞いたことがあったんです。だから「今度は仏桑花ってハイビスカスのことなんだって知ってもらえるような曲を作りたい」と言ってくださったのが、すごくうれしかったです。大事に歌っていきたいですね。

ももいろクローバーZ「AMARANTHUS」「白金の夜明け」
第1弾 メンバーインタビュー
第2弾 作家陣座談会
3rdアルバム「AMARANTHUS」 / 2016年2月17日発売 / EVIL LINE RECORDS
初回限定盤 [CD+Blu-ray] / 4104円 / KICS-93308
通常盤 [CD] / 3024円 / KICS-3308
4thアルバム「白金の夜明け」 / 2016年2月17日発売 / EVIL LINE RECORDS
初回限定盤 [CD+Blu-ray] / 4104円 / KICS-93309
通常盤 [CD] / 3024円 / KICS-3309
「AMARANTHUS」CD収録曲
  1. embryo -prologue-[作曲・編曲:tatsuo]
  2. WE ARE BORN[作詞:藤林聖子 / 作・編曲:tatsuo]
  3. モノクロデッサン[作詞・作曲:CLIEVY(C&K)/ 編曲:小松一也]
  4. ゴリラパンチ[作詞:ANCHANG(SEX MACHINEGUNS)/ 作・編曲:AKIRASTAR]
  5. 武陵桃源なかよし物語[作詞・作曲:前山田健一 / 編曲:橋本由香利]
  6. 勝手に君に[作詞:ももいろクローバーZ、NAGAE / 作・編曲:大隅知宇]
  7. 青春賦[作詞:桑原永江 / 作曲:しほり / 編曲:冨田恵一]
  8. サボテンとリボン[作詞:只野菜摘 / 作詞・編曲:神前暁]
  9. デモンストレーション[作詞・作曲・編曲:清竜人]
  10. 仏桑花[作詞・作曲:さだまさし / 編曲:近藤研二]
  11. 泣いてもいいんだよ[作詞・作曲:中島みゆき / 編曲:瀬尾一三]
  12. Guns N' Diamond[作詞・作曲・編曲:zopp・小林史知・岡村夏彦]
  13. バイバイでさようなら[作詞:只野菜摘 / 作・編曲:エンドウ.(GEEKS)]
  14. HAPPY Re:BIRTHDAY[作詞・作曲:ティカ・α / 編曲:やくしまるえつこ、山口元輝]
「AMARANTHUS」初回限定盤Blu-ray収録内容
  • 「WE ARE BORN」Music Video
  • 「モノクロデッサン」Documentary Music Video
  • Documentary of "AMARANTHUS"
「白金の夜明け」CD収録曲
  1. 個のA、始まりのZ -prologue-[作曲・編曲:NARASAKI]
  2. 桃源郷[作詞:森由里子 / 作・編曲:NARASAKI]
  3. 白金の夜明け[作詞:前田たかひろ / 作・編曲:横山克]
  4. マホロバケーション[作詞:六ツ見純代 / 作・編曲:invisible manners]
  5. 夢の浮世に咲いてみな[作詞:岩里祐穂、ポール・スタンレー(Kiss)/ 作曲:ポール・スタンレー、グレッグ・コリンズ / 編曲:Kiss、グレッグ・コリンズ]
  6. ROCK THE BOAT[作詞:岩里祐穂 / 作・編曲:グレッグ・カースティン、ニコール・モリエ]
  7. 希望の向こうへ[作詞:桑原永江 / 作・編曲:佐藤晃]
  8. カントリーローズ -時の旅人-[作詞・作曲・編曲:NAOTO(ORANGE RANGE)]
  9. イマジネーション[作詞・作曲・編曲:清竜人]
  10. MOON PRIDE[作詞・作曲・編曲:Revo]
  11. 「Z」の誓い[作詞:森雪之丞 作曲:NARASAKI 編曲:NARASAKI、ゆよゆっぺ]
  12. 愛を継ぐもの[作詞・作曲:前山田健一 / 編曲:Tom-H@ck]
  13. もっ黒ニナル果て[作詞:MURO、BOO / 作・編曲:MURO、SUI]
  14. 桃色空[作詞・作曲:堂本剛(KinKi Kids) / 編曲:堂本剛、十川ともじ]
「白金の夜明け」初回限定盤Blu-ray収録内容
  • 「マホロバケーション」Music Video
  • 「白金の夜明け」Documentary Music Video
  • Documentary of “白金の夜明け”
ももいろクローバーZ(モモイロクローバーゼット)
ももいろクローバーZ

百田夏菜子、佐々木彩夏、玉井詩織、有安杏果、高城れにの5人からなるアイドルグループ。2008年に「週末ヒロイン」「今会えるアイドル」というキャッチフレーズを掲げ、ももいろクローバーとして結成。2009年7月に1stシングル「ももいろパンチ」をリリースし、2010年5月にはシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たした。 2011年4月に行われた東京・中野サンプラザホール公演を最後に、メンバーの早見あかりがグループを脱退。このライブ終了直後、ももいろクローバーZへと改名し、5人編成での活動をスタートさせた。2011年7月にももいろクローバーZ改名後初のシングル「Z伝説 ~終わりなき革命~」「D'の純情」を発表。2012年にはグループ結成当初から目標としていた「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たした。2013年4月に2ndアルバム「5TH DIMENSION」をリリースし、2014年3月には女性グループとして初となる東京・国立競技場での単独ライブを成功させた。2015年1月、「ももいろクローバーZ vs KISS」名義でKissとのコラボシングル「夢の浮世に咲いてみな」を発表。また女優としての活動も行い、青春群像小説「幕が上がる」の映画版および舞台版では主演を務めた。同年夏に静岡・エコパスタジアムでワンマンライブ「ももいろクローバーZ 桃神祭2015 エコパスタジアム大会 ~遠州大騒儀~」を開催。12月には群馬・軽井沢スノーパークでクリスマスライブ「ももいろクリスマス2015 ~Beautiful Survivors~」を実施し、12月31日から2016年1月1日にかけては東京・豊洲PITで初の年越しライブ「第一回ゆく桃くる桃『笑顔ある未来』」を行った。2016年2月に3rdアルバム「AMARANTHUS」、4thアルバム「白金の夜明け」を同時リリース。同月より新作を携えたドームツアーを開催する。


2016年2月19日更新