水樹奈々|6年間の“変革期”を記録したベストアルバム第3弾

水樹奈々、2017年の漢字は……?

──さらにミュージカルの直後には「アニサマ」出演があり(参照:「アニサマ」大トリは“クイーン”水樹奈々、2018年もSSAで3DAYS開催)、すぐに“アニソンシンガー水樹奈々”に切り替わらなければいけないという。

そうなんですよ! 「アニサマ」は「ビューティフル」の千秋楽の翌々日だったので、すぐにキャロルから水樹に戻らなくてはいけなくて(笑)。時を同じくして「シンフォギア」はじめ、いろいろなアニメのアフレコもあったので、頭の切り替えが特に大変な時期でした。どれだけうまくスイッチを切り替えられるかが勝負で。これを乗り越えたことで、自分の中のキャパシティがだいぶ増えたような気がします。「あれが乗り越えられたのなら今後何があっても大丈夫」みたいな(笑)。

──新しい挑戦もあれば、これまでの歴史につながることもあって。文字通りの特濃な1年でしたね。2016年も濃く実りの多い1年だったとおっしゃってましたけど、2017年はそれ以上に。

はい。「ホントに1年の中で起きたことなんだろうか?」と思うぐらい(笑)、これまでの中でも特に濃かった1年かもしれないです。

──前回は2016年を漢字1文字で表現してもらったところ、急展開の「急」、実りの「実」、そしてまさかの展開による「驚」といった漢字が挙がりました。2017年はどうでしょう?

2017年は「縁」じゃないでしょうか。出雲大社のご縁もありましたし、ツアーの「ZIPANGU」というテーマも長年温めていたもので、自分が子供の頃から触れてきた演歌や歌謡曲、アニメ、ゲームを基軸に日本の文化や心を表現したものだったんですけど、これも冬にツアーを行うタイミングだったからこそ実現できたところもあって。ミュージカルも、私が初めてニューヨークに行ったときにたまたま観たのが「ビューティフル」のプレビュー公演で、それをまさか自分が演じることになるなんて。いろんな縁が奇跡的につながった1年だったので、まさに「縁」の1文字ですね。

水樹奈々“変革期”の6年間が記録された「THE MUSEUM III」

──ベストアルバム「THE MUSEUM III」は2011年1月発表のシングル「Synchrogazer」から録り下ろしの新曲「HOT BLOOD」「粋恋」まで、およそ6年分の歴史が詰まった1枚になりました。このトラックリストで振り返ると、水樹さんにとってどんな6年間でしたか?

水樹奈々

変革期だと思っています。「THE MUSEUM II」(2011年11月発売のベストアルバム第2弾)では“THE 水樹節”とも言える“シンフォニックロック”が構築され、そのあと「シンフォギア」という新たなオリジナル作品に携わる機会をいただいたことで、“デジタルシンフォニックロック”という新たな要素が追加されて。2013年にはT.M.Revolutionさんとのコラボレーションで(参照:T.M.Revolution×水樹奈々「Preserved Roses」インタビュー / 水樹奈々×T.M.Revolution「革命デュアリズム」インタビュー)音楽活動の幅がさらに広がりましたし、歌番組への出演が一気に増えたのもその頃ですね。番組きっかけでいろんなアーティストの方とのコラボを経て、自分の音楽活動を見直す時期にもなったと思うんです。ツアーの途中で喉を壊して、初めてツアーを中断するという挫折も味わったり……。

──2014年の「NANA MIZUKI LIVE FLIGHT 2014」ですね(参照:水樹奈々、声帯炎症のため本日の福岡公演を中止 / 水樹奈々、音声障害の治療により山口&鳥取公演中止)。

ちょうど体作りや生活習慣を意識して見直した時期でもあって……声も楽器なので、共鳴する部分が変わると声質も変わるんです。今回のマスタリングのとき、スタジオのいい音響設備で曲順通りに聴いてみたら、不思議なことに「Vitalization」(2013年7月発売)から歌声に変化が出てくるんですよ。この曲はちょうど西川(西川貴教 / T.M.Revolution)さんとのコラボと並行して作っていたんですけど、ここから少しずつ発声も表現の仕方も変わってるんです。そのあとの「禁断のレジスタンス」(2014年11月発売)はツアーで喉を壊したあと、生活を改め始めたところでレコーディングした曲なんです。なのでここでもまた変化していて。楽器を演奏する方が「この曲にはこの楽器」と選ぶように、例えばどんな素材でできているかで音色が変わるように……。

──ボディの鳴りが違う。

そうそう! そう言えばサックスもそうだったなって。体全体を共鳴させて音が鳴ってるんだと意識したら、歌に対する向き合い方も変わってきました。表現の幅が広がったことで、いろいろアイデアも生まれて。歌も変わったし、体に対する考え方も変わったし、女性としても2度の厄年を経ていろいろ変わったし(笑)。「THE MUSEUM III」は変化がググッと詰まった1枚になったなと思います。

再び「バジリスク」の世界へ

──その6年間の変化と鍛錬の成果を表現する場となったのが新曲2曲だと思いますが、この2曲はテレビアニメ「バジリスク ~桜花忍法帖~」のエンディングテーマということで、テイストは異なるもののどちらもオリエンタルなテイストが盛り込まれていますね。

「バジリスク ~桜花忍法帖~」のスタッフさんから「“静バージョン”と“動バージョン”を作ってほしい」とオファーがありました。それは「バジリスク ?甲賀忍法帖?」(2005年放送のテレビアニメ。水樹はこの作品でもエンディングテーマを2曲提供していた)からの流れを汲んだリクエストで。実は「NEOGENE CREATION」を制作していた頃からこの2曲の準備は進めていたので、トータル1年がかりの制作になったんです。というのも、やっぱり「バジリスク」という作品に思い入れが強くて。それは私だけじゃなく、ほかのキャストの皆さんも同じで……甲賀忍法帖のチームはみんな死んでしまいましたけど(笑)、「続編あるんだって? どんなふうになってる? 奈々ちゃん知ってる?」っていろんな現場で聞かれたり(笑)。そのくらいキャストの皆さんの思い入れは強かったし、アニメーションスタッフさんにも「甲賀忍法帖」のときから引き続き携わっている方もいらっしゃって、「お前またやるんだ、いいなあ」って周りの制作陣から言われるそうなんです。

──関わった皆さんの熱量がすごいですね。

もちろんどの作品でもキャスト、制作陣共に全力投球ですけど、中でも「バジリスク」は入り込み方がすごかったんだなって改めて感じていて。視聴者の方も、山田風太郎先生の原作からのファンの方も、続編となると並々ならぬ思いがあると思うんです。だからこそ、「これだ!」というものを見つけ出すまでにすごく時間がかかりました。自分たちでハードルをうんと高く設定していたので、デモテープの会議も3回ぐらいやったんですよ。2005年の「バジリスク」以降も、「悦楽カメリア」(2009年6月発売の7thアルバム「ULTIMATE DIAMOND」収録曲)や「純潔パラドックス」(2011年8月発売のシングル)など和モチーフの楽曲はたくさん生まれていて、そのどれとも違う新しい切り口の曲をと考えたこともあって。静と動、それぞれ3曲くらいずつまで候補を絞って、最終的には「何度も聴きたくなる曲」という基準で判断しました。インパクトも必要なんですが、何度も繰り返し聴きたくなるスルメ系の曲をチョイスしようと。それで選んだのが、静の「粋恋」と動の「HOT BLOOD」です。

水樹奈々「THE MUSEUM III」
2018年1月10日発売 / KING RECORDS
水樹奈々「THE MUSEUM III」CD+Blu-ray

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3780円 / KIZC-437~8

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水樹奈々「THE MUSEUM III」CD+DVD

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3780円 / KIZC-439~40

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CD収録曲
  1. Synchrogazer
    [作詞:水樹奈々 / 作・編曲:上松範康(Elements Garden)]
  2. METRO BAROQUE
    [作詞:水樹奈々 / 作曲:やしきん / 編曲:中山真斗(Elements Garden)]
  3. BRIGHT STREAM
    [作詞:水樹奈々 / 作曲:吉木絵里子 / 編曲:藤間仁(Elements Garden)]
  4. Vitalization
    [作詞:水樹奈々 / 作曲:上松範康(Elements Garden)/ 編曲:上松範康、菊田大介(Elements Garden)]
  5. 禁断のレジスタンス
    [作詞:水樹奈々 / 作・編曲:加藤裕介]
  6. エデン
    [作詞:水樹奈々 / 作曲:藤森真一(藍坊主)/ 編曲:藤間 仁(Elements Garden)]
  7. Angel Blossom
    [作詞:水樹奈々 / 作曲:光増ハジメ / 編曲:EFFY]
  8. Exterminate
    [作詞:水樹奈々 / 作曲:藤田卓也 / 編曲:藤田淳平(Elements Garden)]
  9. STARTING NOW!
    [作詞:水樹奈々 / 作曲:藤田卓也 / 編曲:藤田淳平(Elements Garden)]
  10. Destiny's Prelude
    [作詞:水樹奈々 / 作・編曲:加藤裕介]
  11. TESTAMENT -Aufwachen Form-
    [作詞:水樹奈々 / 作曲:上松範康(Elements Garden)/ 編曲:藤田淳平(Elements Garden)]
  12. HOT BLOOD
    [作詞:水樹奈々 / 作曲:山田竜平 / 編曲:加藤裕介]
  13. 粋恋
    [作詞:岩里祐穂 / 作曲:K-WONDER、SAS3 / 編曲:藤間仁(Elements Garden)]
  14. Preserved Roses / T.M.Revolution×水樹奈々
    [作詞:井上秋緒 / 作・編曲:浅倉大介]
  15. 革命デュアリズム / 水樹奈々×T.M.Revolution
    [作詞:Hibiki / 作曲:上松範康(Elements Garden)/ 編曲:岩橋星実(Elements Garden)]
  16. 花は咲く ~アニメスター・バージョン~ / 山寺宏一&水樹奈々
    [作詞:岩井俊二 / 作・編曲:菅野よう子]
  17. えがおは君のためにある
    [作詞:篠原勲、市川勇嗣 / 作曲:篠原勲 / 編曲:石戸谷斉]
Blu-ray / DVD収録内容
  • 「粋恋」MUSIC CLIP
  • at SUGA SHIKAO 20th ANNIVERSARY「スガフェス!~20年に一度のミラクルフェス~」
    1. ETERNAL BLAZE
    2. はじまりの日 feat. Mummy-D
    3. 恋想花火
  • 水樹奈々のMTV Unpluggedを科学する -Special Edition-

公演情報

水樹奈々「NANA MIZUKI LIVE GATE 2018」
  • 2018年1月11日(木)東京都 日本武道館
  • 2018年1月13日(土)東京都 日本武道館
  • 2018年1月14日(日)東京都 日本武道館
  • 2018年1月16日(火)東京都 日本武道館
  • 2018年1月18日(木)東京都 日本武道館
  • 2018年1月20日(土)東京都 日本武道館
  • 2018年1月21日(日)東京都 日本武道館 ※ライブビューイングあり
水樹奈々(ミズキナナ)
愛媛県出身の声優アーティスト。1997年に声優としてデビューし、「魔法少女リリカルなのは」「ハートキャッチプリキュア!」「NARUTO -ナルト-」といったアニメ作品で人気を集める。2000年にはシングル「想い」で歌手デビュー。2009年6月にリリースされたアルバム「ULTIMATE DIAMOND」で、声優アーティストとして初のオリコン週間ランキング1位を獲得した。同年12月には「NHK紅白歌合戦」に初出場。2011年12月には声優アーティスト初の東京ドームコンサートを2日間にわたって開催し、大成功に収めた。2013年には初の台湾公演を行い、海外へも活動の幅を広げている。2016年9月には長年の夢として掲げていた兵庫・阪神甲子園球場でのワンマンライブを実現させ、12月には通算12枚目となるオリジナルアルバム「NEOGENE CREATION」を発表。2017年1月より全国ツアー「NANA MIZUKI LIVE ZIPANGU 2017」を開催し、4月には島根・出雲大社東神苑でスペシャルライブ「水樹奈々 出雲大社御奉納公演」を行った。7月には2枚同時シングル「Destiny's Prelude」「TESTAMENT」を2枚同時にリリース。7月から8月にかけて東京・帝国劇場で上演されたブロードウェイミュージカル「ビューティフル」では平原綾香とのダブルキャストで主人公のキャロル・キングを演じた。2018年1月にはベストアルバム「THE MUSEUM III」を発表し、合計7日間におよぶ東京・日本武道館公演「NANA MIZUKI LIVE GATE 2018」を行う。