ナタリー PowerPush - 宮野真守

音楽活動5周年&30歳の節目を彩る「カノン」

ライブそのものを表現した「カノン」

──そして今年は宮野さんの歌手デビュー5周年となりますが、まずは今年最初のシングル「カノン」が発売されます。タイトル曲は宮野さんも出演されるテレビアニメ「うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE2000%」の主題歌ですね。

はい。アニメ1期に続いて担当させていただきました。

──前作の「オルフェ」に続き、作詞・作曲は上松範康さんですが、相当ロックな仕上がりで。

「オルフェ」もとても疾走感あるロックチューンでしたが、今回もかなり情熱的な曲に仕上がったのではないかと思います。上松さんにも「今回もロックサウンドでいきたい」っていう話をさせていただきました。

──どんな楽曲にしたいかは、宮野さんからリクエストをされるんですね。

毎回、楽曲制作の前にクリエイターさんたちとお話させていただくのですが、上松さんもいつも僕自身がやりたいことを尊重してくださるんです。「カノン」を制作するにあたっても、上松さんといろいろお話して楽曲のコンセプトや方向性を決めていきました。そのとき上松さんに伝えたのが「ライブそのものをすごく意識した曲がやりたいです」ということ。自分のライブ空間をそのまま切り取ったような作品が作りたかったんです。この5年間で行ってきたライブの経験は、今の自分にすごくいい影響を与えてくれていて。お客さんとの気持ちのやり取り、心のセッションみたいなものが今の自分にはとてもプラスになっているので、その思いを歌にしたかったんです。

──なるほど。

そこから上松さんが、旋律を重ねあうという意味の「カノン」をキーワードに楽曲を広げてくれて。ロックサウンドに「カノン」という言葉をいかに取り入れていくか、という感じで作っていきました。

──完全にバンドサウンドですよね。聴いているとバンドを従えて演奏しているところがありありと目に浮かぶというか。

MVはまさに、バンドでライブをやるようなシーンも撮ってきました。骨太でグッとシンプルに。

──ジャケットには力強さの中にクラシカルな雰囲気がありますね。ビジュアルイメージを作るときも宮野さんから意見を発信していく感じでしょうか。

スタッフみんなで話し合いながらですね。今回は、曲自体は骨太なロックですが、「カノン」というタイトルが付いたことで美しい印象を持つ曲になったので、ロックな部分とクラシカルな部分を融合したビジュアルが作りたかったんです。

──ビジュアルを作りこんでいく作業はお好きですか?

楽しいです。僕は楽曲やビジュアル、すべてをひっくるめてひとつの作品として捉えてます。スタッフも、すべてにおいて僕の意見を聞いてくれるし、反映してくれるし、間違ったところは正してくれる。意見を言わせてもらいながら作っているので、すべての作品に自信を持っていられるんだと思います。

どロック、どダンス、どバラード

──一方のカップリング2曲は「カノン」とはまったく違うタイプの楽曲が揃っていますね。「カノン」がロックなら、「THANK YOU」はダンスチューン、そして「FOREVER LULLABY」は宮野さんの歌声を存分に聴かせるバラードと、どの曲もそれぞれのジャンルをとことん追求したような印象で。どロック、どダンス……。

どバラード(笑)。

──ですよね(笑)。全3曲のバランスは考えましたか?

前作「ULTRA FLY」はバランスを考えた上でアゲアゲな3曲を揃えた作品だったんですけど、今回はそれを経てのシングルなので、しっかりと見せ方を考えようって思っていました。自分がやってきた音楽活動の中でできる、すべてのことをしっかり表現できたんじゃないかなと思います。

──2曲目の「THANK YOU」は、宮野さんの楽曲ではお馴染みのSTYさん作詞・作曲による、非常にノリのよいダンスチューンで。

おしゃれでさわやかで、大好きな曲です。この曲自体は実はだいぶ前にいただいていて、「絶対やりたい」と思って、ずっと温めていたんです。今回ようやく満を持して発表することができました。

──タイトルがそのものズバリですが、感謝の気持ちが込められてますね。やはり5周年ということを意識したのでしょうか。

はい。5周年だったり30歳だったりというこのタイミングだから、やっぱり「感謝」をテーマにした歌を歌いたいなと思ったんです。歌詞は友人に向けた感謝の気持ちになっているのですが、身近にいる大切な人へ向けてもいて。大事な人って親しくなればなるほど、素直に「ありがとう」って言いづらくなりますよね。だからこの曲を聴いた人が、自分の大事な人へ素直に「ありがとう」って言えるような、そういうメッセージを込めて作りました。レコーディングでは、支えてくれているスタッフやファンの皆様への感謝の気持ちも込めて歌いました。

──そして「FOREVER LULLABY」。この楽曲はすでにツアーで披露されていますね。

そうなんです。発売前に新曲を披露するのは初めての試みで、かなり緊張したんですけど、みんなにちゃんと届くように歌えたかなと思っています。

──音が本当に豪華で。ストリングスが複雑なコードを奏でながらも、メロディはド直球のきれいなバラード。まさに宮野さんの声と歌をじっくりと聴ける曲ですね。

ありがとうございます。その感じていただいた豪華さは、marhyさんの素敵な歌詞とメロディを、大御所の松浦(晃久)さんがストリングスも入れたアレンジにしてくださったことによって生み出されたものだと思うので、この相性もすごいよかったんだなって思いますね。

宮野真守(みやのまもる)
宮野真守

1983年6月8日、埼玉県生まれの声優、俳優、歌手。7歳から劇団ひまわりに所属し、子役として活動を始める。声優としてのデビューは2001年放送のNHK海外ドラマ「私はケイトリン」グリフェン役。以降はアニメ、ゲーム、洋画吹替など幅広く活躍し、2003年にはミュージカル「『テニスの王子様』 Remarkable 1st Match 不動峰」でも高い評価を集めた。ミュージカルや出演アニメのキャラクターソングで歌手としての実力も発揮し、2008年にシングル「Discovery」でメジャーデビュー。2009年3月には1stアルバム「BREAK」を発表した。ライブ活動も積極的に行っており、2012年5月には神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールにてワンマンライブ「MAMORU MIYANO SPECIAL LIVE 2012~FIGHTING!~」を大成功に収めた。2013年4月10日には通算9枚目となるニューシングル「カノン」をリリース。10月4日には初の日本武道館公演が決定している。