いつ牡蛎を食べに行けるかって話し合いを

──前回この北川バンドで回ったツアーが坂本さんにとっての最長公演でしたよね。長いツアーを経て、坂本さんの中で見方が変わったところはありますか？ 「あれ、こんな人だったんだ」とか。

坂本　前回のツアーはちょっと特殊なツアーだったんですよね。途中延期になって、それでさらに期間も延びたので。

奥田　1年のうちの結構長い時間を一緒にいたような感じがするね。震災の日だって一緒にいたんだもんね。ちょうどツアーの福岡公演で。

坂本　そうそう。途中止まらざるを得なくなったことで、より絆が深まったところはありますね。あの頃の……心の支えの全てみたいなね。

北川　みんなで乗り越えていこうって気持ちがあった。

坂本　いろんなアーティストが公演を取りやめていく中で、みんなはどう思っているのかって話し合いを持ったり。そこでみんなが支えになってくれたから、より腹を割って話せる関係になったところはあるかな。それまでとは意味合いの違う、忘れられないツアーになっちゃいましたね。

北川　そうだね。うん。

坂本　6月にツアーが終わって打ち上げをやったのに、その月のうちにまた全員集まったり。全員でシャケ食べに行って（笑）。

奥田　今日も牡蛎の話ばっかしてたけどね。休憩時間のたびに牡蛎の話しかしない（笑）。

坂本　いつ牡蛎を食べに行けるかって話し合いを（笑）。みんなは自分のバンドやほかの方のサポートでもツアーは回ってるだろうし、逆に私のときはほかと比べてどういう感じなんだろうって思っちゃいますね。

──北川さんも奥田さんも、ほかではどちらかというとクールな立ち位置だと思うんですけど、このバンドだとちょっと様子が違う気がするんですよね。

坂本　私も初めはそう思って接してたんですけどね。北川さんは、ときどき「怒ってるのかな」ってぐらいクールな瞬間があるんですよ。急に黙ったりして。でも、その沈黙にあまり意味がないんだなってことはだんだんわかってきた（笑）。

奥田　あれ、全然意味ないんだよ。

北川　何それ！ そんな気にされてるなんて知らなかったよ。

坂本　あははははは（笑）。でも年齢的には私より全然上なのに、不思議な親しみやすさを醸し出してるというか。それはきっとメンバー全員にとって。

奥田　うん。そういうとこがね、やっぱバンマスだなって思うよ。北川くんは絶対神経質になんないからね。

──そうですね。人柄込みのバンマス感というか。それは重要なところなんでしょうね。

北川　じゃああとは、意味なく黙んないようにしないと。

坂本・奥田　ははははは（笑）。

一緒に年を越してくれることを承諾してくれた方たち

──今回は合計15本と、さらに記録を更新する長いツアーになりますが。

坂本　前回のツアーを経てより理解も深まっているので、今回はより良いライブができるだろうなって予感でいっぱいです。もちろん1回目から全力で行きますけど、これだけ長いツアーだったら途中でどんどん変わっていくところも出てくるでしょうし、それも楽しみではありますね。今回はなにせ、一緒に年を越してくれることを承諾してくれた方たちなので。

──そうですよね。ツアーのラストは東京・中野サンプラザ2DAYSで、しかも最終日は大晦日という。

北川　大晦日を自分の家以外で過ごすことがそもそもないんでしょ？

坂本　そうなんです。毎年大晦日は実家にいるので。なのに今年はなぜか中野サンプラザで年を越すことになり（笑）。

奥田　不良娘だよね。元旦早々家にいない。

──あははは（笑）。つまりカウントダウンライブ自体初めてってことですよね？

坂本　そうなんですよ。誰かがカウントダウンしてくれるわけじゃなく自分でやるわけだから、さすがにちょっと緊張しますよね。それこそMCが長いとうまく年を越せない可能性があるので（笑）、気をつけないと。

──なんとなくどういう感じでいくかは決めてます？

坂本　いやあ、今までずっと実家で年を越してたから、急にテンション高い年越しをやれと言われてもわからないですよね。そんなにテンションを上げたことがない人生なので（笑）。でもツアー最終日ということもあるし、全て勢いで行けるんじゃないですかね。

──それでは最後に、ツアーに足を運ぶ読者に向けて「今度のツアーはこんな感じになりそうだぞ」というのを話せる範囲で教えていただけますでしょうか。

坂本　今回はとにかく「ミツバチ」を引っさげてのツアーということで、本当にシングル曲をどんどん歌うライブになると思います。それって私のライブでは結構珍しいことで。きっと初めての方にもいつも以上に楽しんでもらえる内容になると思うので、ここぞとばかりに初めての方にも来てほしいなって。それに、シングルばっかりやるってお祭りみたいなものだと思うので、私たちもそんなにナーバスにならずに、本当に楽しくライブできたらなって考えてます。

奥田　アレンジの段階でもう「いかに楽しくするか」を考えてるからね。

──そうなると、これまで坂本さんが何度か手を出しているギターに再び触れたりすることも……？

坂本　……あ。……。

──大丈夫ですか？ このインタビュー「あ」で終わっちゃいますよ（笑）。

坂本　やったほうがいいのかな……。でも前に武道館で弾いて以来、ほとんど触ってないに等しいので……。

奥田　後ろに置いときゃいいんじゃない？ 置くだけ。

──期待させるだけさせといて、弾かない（笑）。

坂本　ああ、それいいかも（笑）。