ナタリー PowerPush - 坂本真綾
「シングルコレクション+ミツバチ」インタビュー&ツアー直前座談会
坂本真綾×北川勝利(ROUND TABLE)×奥田健介(NONA REEVES)全国ツアー直前座談会
3人の出会い
──今回のツアーは、2011年に行われた「坂本真綾 LIVE TOUR 2011 "You can't catch me"」のバンドメンバー再集結ということで。今まさにツアーリハーサル2日目が終わったばかりとのことですが、リハは順調ですか?
北川勝利 順調順調。
奥田健介 超順調ですよ。
坂本真綾 ホント? あーよかった。みんながどう思ってるか知らないし(笑)。
──お2人は坂本さんに楽曲も提供していますし、このインタビューではバンドメンバー、作曲者、同業のアーティストとして坂本さんのことをお訊きできたらと。皆さんの活動は1990年代から別々に見ていたのですが、この数年でまさか一堂に会することになるとは思ってもみませんでした。それぞれ出会いは楽曲制作を通じて?
坂本 北川さんと最初にちゃんとお話したのは楽曲制作のときですけど、その前からお互いずっと知ってはいたんですよね。
北川 曲を書いたのは「Get No Satisfaction!」(2009年1月発売の6thアルバム「かぜよみ」に収録)が最初ですけど、僕らと真綾ちゃんはエンジニアさんが一緒だったりしたので、それこそ10年以上前から。名前もどんな音楽をやってるのかも知ってたし。
坂本 ちょっとお会いすることもあったし。
北川 うん、そうだね。
坂本 奥田さんも曲を作ってもらう前から。最初はファンクラブツアーでギターを弾いてもらったんですよね?
奥田 そのときのバンマスが中塚武くんで。
坂本 「夕凪LOOP」(2005年10月発売の5thアルバム)の頃ですね。そのファンクラブツアーで全国6カ所ぐらい一緒に回ったし、中にはギターとパーカッションだけの日もあったから、すごく密にお世話になったというか(笑)。そのあとミニアルバムの「30minutes night flight」(2007年3月発売)で「ドリーミング」を書いていただいて。
「なんて難しい曲を歌ってるんだろう」と
──今回のアルバム「シングルコレクション+ミツバチ」に収められているのは、坂本さんがさまざまなアーティストと組んで音楽を作り始めた、言わば“冒険期”と呼べるような作品で。北川さん、奥田さんとの関わりはまさにこの時期に始まったわけですよね。
坂本 とにかく無我夢中にやっていた頃で、ちょっと恥ずかしい時期に出会った感じもありますけど。
奥田 いやいや、みんな恥ずかしいよ(笑)。
坂本 そういう時期を知ってての今、というのがまたいいんじゃないかと(笑)。
──その頃の坂本さんの印象は?
北川 ROUND TABLE featuring Ninoではレーベルも同じだし、元々音楽的な部分でも近い印象を持ってたんだよね。
奥田 僕は「なんて歌がうまいんだ」と思いましたね。言葉がすごく入ってくるなって。あと「なんて難しい曲を歌ってるんだろう」と。どんないきさつがあってこんな難しい曲を歌っているのか。
坂本 あはははは(笑)。
奥田 複雑な曲を軽々と歌いこなしていたから驚愕しました。話してみたら意外と家が近いとか、そういう共通点もあって。共通の知り合いも多かったし。その後、銀河劇場かな? ファンクラブのライブで僕がバンマスをやったり。そういう独特の距離感でお付き合いを(笑)。
坂本 そうそう、だから「You can't catch me」のツアーはちょっと久しぶりに会ったみたいな感じだったんですよね。
──奥田さんが手伝っていたファンクラブライブの頃と去年のツアーでは、坂本さん自身のライブに対する心構えが結構変わっていますよね。
坂本 奥田さんにはわからなかったかもしれないけど、あの頃はまだライブに対して自分でどうしていいのかわからなくて、なんかやみくもな感じだったんですよ(笑)。何をもって「今日は良かった」「ダメだった」とジャッジしていいのかわからないぐらいで。
奥田 うん、今考えてみると全然違うかも。当時は当時ですごく堂々としてるなと思ってたけど。あ、MCは長くなったよね。
北川 苦手苦手って言ってるけどね。
坂本 ホントにMCは嫌なんですけどね。みんなに「最近MCが長い」って言われるんです。……長いですかね?
奥田 ……短くはないよ。
坂本 西寺(郷太 / NONA REEVES)さんも長いですよね?
奥田 最近はなるべくしゃべらせないような方向に(笑)
坂本 ノーナのライブを観たとき「この人よくしゃべるなー」と思ってたんですよ(笑)。人のこと言えないな。
ニューアルバム「シングルコレクション+ミツバチ」/ 2012年11月14日発売 / FlyingDog
SHM-CD収録曲
- ループ [作詞:h's / 作・編曲:h-wonder]
- マジックナンバー [作詞:坂本真綾 / 作・編曲:北川勝利 / ストリングス編曲:河野伸]
- DOWN TOWN [作詞:伊藤銀次 / 作曲:山下達郎 / 編曲:服部隆之]
- トライアングラー [作詞:Gabriela Robin / 作曲・編曲:菅野よう子]
- さいごの果実 [作詞:坂本真綾 / 作曲:鈴木祥子 / 編曲:斎藤ネコ]
- スピカ [作詞:坂本真綾 / 作・編曲:h-wonder]
- action! [作詞:坂本真綾 / 作・編曲:h-wonder]
- やさしさに包まれたなら [作詞・作曲:荒井由実 / 編曲:DEPAPEPE]
- 雨が降る [作詞:坂本真綾 / 作曲:かの香織 / 編曲:斎藤ネコ]
- Buddy [作詞:坂本真綾 / 作曲:School Food Punishment、江口亮 / 編曲:江口亮]
- Private Sky [作詞:坂本真綾 / 作曲:多保孝一 / 編曲:中村タイチ]
- 風待ちジェット~mitsubachi edition [作詞:坂本真綾 / 作曲:鈴木祥子 / 編曲:飯田高広]
- モアザンワーズ [作詞:岩里祐穂 / 作・編曲:菅野よう子]
- おかえりなさい [作詞:坂本真綾 / 作曲:松任谷由実 / 編曲:森俊之]
- プラリネ [作詞:坂本真綾 / 作曲:山沢大洋 / 編曲:武藤星児]
- エイプリルフール feat. 坂本真綾 / 冨田ラボ [作詞:イルリメ / 作・編曲:冨田恵一]
- 猫背 [作詞:岩里祐穂 / 作・編曲:菅野よう子]
Blu-ray Disc収録内容(PV)
- さいごの果実
- トライアングラー
- 雨が降る
- マジックナンバー
- everywhere
- DOWN TOWN
- 秘密
- Buddy
- おかえりなさい
- ショートムービー Driving in the silence
- モアザンワーズ
- ユニバース
坂本真綾(さかもとまあや)
1980年3月31日生まれ。幼少時より劇団で活動し、1996年にテレビアニメ「天空のエスカフローネ」のオープニングテーマ「約束はいらない」で歌手デビューを果たした。声優、女優としても活躍しながら、コンスタントにオリジナル作品を制作している。2010年3月にはデビュー15周年を記念した2枚組ベストアルバム「everywhere」を発表。2012年7月には初期の作品を数多く手がけた菅野よう子×岩里祐穂コンビによるシングル「モアザンワーズ」が発売された。11月14日にはシングルコレクションアルバム第3弾「シングルコレクション+ミツバチ」がリリース。