音楽ナタリー Power Push - LUNA SEA

ソロインタビューで紐解く 五者五様のライブ観

SUGIZOソロインタビュー

今、新しい音楽がどんどん生まれてきてる

──2016年のLUNA SEAについて、どんなふうに捉えていますか?

SUGIZO

水面下で活発な感じですね。今、新しい曲がどんどん生まれてきています。次のLUNA SEAのスタイル、未来のLUNA SEAの在り方を思い描きつつ、それに向かって少しずつ制作を進めている。去年、「LUNATIC FEST.」を開催したときは「これが終わったら真っ白な灰のようになるのかな」と思っていたんですが、終わってみたら意外とケロッとしていました。感傷に浸ることもなく、次に作りたいもの、表現したいものが次々と浮かんできているので、それ以降まったく止まっていない感じです。あと、来年はLUNA SEAデビュー25周年なので、それを1つの指針として動いているところもあります。さらにメンバー全員のソロデビュー20周年でもあります。今年の僕は47年の人生の中でも一番と言っていいほど忙しいのですが、来年はこれを超えるんじゃないかな。もしかしたら、粉々になっているかもしれません(苦笑)。

──とにかく活動のビジョン、制作のインスピレーションは尽きることがない、と。

はい。ありがたいことに、それは年を経れば経るほど増えていますね。創作の源泉は尽きることがなく、生まれてくるアイデアに溺れている感じです。僕の生涯では、おそらく表現しきれないでしょうね。ソロ、LUNA SEA、X JAPANを含めて、各プロジェクトで実現したい理想、夢が無限に大きくなっているので、忙しくなって当然なんですけど。

LUNA SEAの中にいても“自分”がない

──ライブに対する姿勢、思いといったものは変化していますか?

ライブに対するアティチュードは25年以上、一切変わっていないですね。ライブこそが自分たちの最重要な場であって、ライブ表現のないLUNA SEAはありえない。個人的には楽曲制作、スタジオワークが本職だと思っているのですが、スタジオで生まれた楽曲が僕らの子供だとしたら、それを育てていくのはライブであり、ライブでファンの皆さんとエネルギーをやり取りすることで、僕らはここまで生きながらえてこれましたから。近年の音楽市場はCDの市場がどんどん落ちてきて、多くのアーティストにとってライブの収益がとても重要になっていますよね。自分たちが全霊をかけてパフォーマンスをして、お客さんがそこに対価を支払ってくれることで、僕たちは生活できている。それは音楽家としてとても真っ当だし、決してネガティブな状況ではないと思います。本物が残って、偽りは淘汰されている。僕らが結成当初からライブにおける表現を重要視してきたことは、間違ってなかったなとつくづく思っています。

──メンバー全員のぶつかり合い、そこから生まれる緊張感、爆発力もLUNA SEAのライブの魅力だと思いますが、ステージ上でのメンバー同士の関係性も以前と変わらないですか?

以前は「闘争心剥き出しのバトルロワイアル」という感じだったのですが、今は違っていてもっとピースフルだと思います。音をぶつけ合うときはもちろん全力なんですが、昔が本気の殴り合いだったとすれば、今はボクシングのように試合が終わればハグできるんです。愛を持った真剣な殴り合いと言えばいいのかな。昔はまさに殺し合いの感覚でした。でも僕らも人間ですから、ずっと闘争心のみでは生きられない。20代はそれでもよかったけど、もうアラフィフですからね。できれば平和な生活がしたいです(笑)。ただ、自分が成し遂げたい音楽の表現は、より研ぎ澄まされてきていて。表現に対する思いが年々増しているし、それこそが自分の生きる価値なんです。ぶつかり合ったり、いがみ合うよりも、表現に身を焦がしたい。つまり、すべては音楽のためなんですよね。ほかのメンバーはわからないですけど、僕は自分自身より音楽のほうが重要なんです。自分は音楽の召使いだと思っているし、LUNA SEAの中にいても、意外と“自分”というものはいないんです。

──メンバー全員が音楽家として向上し続けていれば、LUNA SEAの音楽も当然研ぎ澄まされていきますよね。

その通りですね。ただ、LUNA SEAはロックバンドですからね。ロックバンドにとって重要なのは「いかにうまく演奏するか」ということでも、「いかにクオリティの高いことをやるか」でもないんですよ。僕は準備段階ではとことんクオリティを追求しますが、ステージではそれをすべてブッ壊します。もう1つは「誰がやるか」ということ。そういう意味では、僕らがステージに立っていること自体がとても大事なんです。例えばキース・リチャーズもそうですよね。彼はパット・メセニーのように弾くことはできないですが、世界中の人がカッコいいギタリストだと認識している。僕らも同じように「LUNA SEAであること」をひたすら追求していきたいですね。

──現在のLUNA SEAは、音楽的な成熟と破壊的な衝動が共存しているのかもしれないですね。

そう言ってもらえるのはうれしいですね。LUNA SEAの最初のアルバム(1991年リリースの「LUNA SEA」)はパンク、ニューウェイブ、ゴスな小僧たちが作った作品ですが、2011年にリレコーディングしたときに音楽の骨格だったり、楽曲自体は素晴らしいと自分たちで再認識できた。そこにはすでにPink Floyd、King Crimsonのような壮大なロックの要素が大きく横たわっていたし、ジャズの要素さえあった。僕らはBauhausとKing Crimsonの両方を聴いていたし、どちらの方向も表現したかった。だからこそ、普通は共存しない要素が最初からサウンドに含まれていたんですね。そのように異色のものを融合できたことがLUNA SEAの基軸になっていて、それが今も変わっていないのかもしれないです。ただ、昔の音源は抹消したいですけどね。あまりにも稚拙だから、恥ずかしくて聴けないし、当時の映像なんて観れない。現在は普通に20年前の映像や画像がネットに氾濫していますが、それがイヤでしょうないんですよ。僕にとって大事なのは“今”なので。

──楽曲自体は色褪せていないが、当時の演奏、録音物には納得していないと。

そうです。楽曲の3分の2は気に入ってるし、20代でそういうものを作れたことには誇りを持っていますが、当時の演奏技術、録音環境でパッケージされたものはキツイですね、今の僕の感覚には。だからこそ、ライブが重要なんですよ。当時の楽曲を今の自分たちで表現できるわけですから。大切な楽曲をライブで表現できるチャンスがあるのは、素晴らしいことですね。今のLUNA SEAであれば、25年前の楽曲と一番新しい楽曲「Limit」を同一線上で違和感なく表現できる。今のLUNA SEAを観てもらうことが、僕ら自身が一番望んでいることです。

「えっ!?」と驚くような発表も

──12月23、24日にさいたまスーパーアリーナで行われる「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit-」に対しては、どんな思いを持っていますか?

12月23日は「LUNA SEAの日」みたいになっていますよね。最初は東京ドーム、21年前の「LUNATIC TOKYO」ですね。20年前には真冬に野外ライブを横浜スタジアム(「UN ENDING STYLE TOUR FINAL Christmas STADIUM~真冬の野外~」)で行ったり、メンバーにとってもファンのみんなにとってもメモリアルな日なんです。結成25周年を経て、今年は12月23日にさいたまスーパーアリーナのステージに立てることは本当にうれしいですね。個人的にとても思い入れのある会場です。震災後に大きなチャリティライブを行った場所でもあるし、僕にとってはとても重要な意味を持っている場所です。

──ライブ当日は、会場でしか手に入れることができない楽曲を用意するそうですね。

そう、以前からメンバーとも「やりたいね」と話していたんですが、LUNA SEAなりのクリスマスソングを作りたいとずっと思っていた。そのように1つの目的に対してLUNA SEAが楽曲を制作したことはほとんどないし、それをさいたまスーパーアリーナの公演だけで販売したい。ライブではその曲と、今年リリースした「Limit」とカップリング曲の「I’ll Stay With You」を披露する予定です。そういう新しい要素と同時に、この25年間の感謝を込めた“ベスト・オブ・LUNA SEA”を感じてもらえるライブになると思います。って言いながら、まだわからないですけどね。気が変わって、全曲新曲になるかもしれないし(笑)。

──さきほどSUGIZOさんがおっしゃったように、2017年はメジャーデビュー25周年、ファンクラブ「SLAVE」が発足25周年、メンバーの皆さんのソロ活動20周年の年でもあり、動きのある1年になりそうですね。

そうですね。LUNA SEAとしても次のプロジェクトに向かって進んでいるし、おそらくみんなが「えっ!?」と驚くような発表もできると思います。今、音源を含めて新しいアプローチもどんどん試しているんですよ。これまでとは違った、さらに研ぎ澄まされた作品が生まれる可能性が大いにありますね。

「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」
2016年12月23日(金・祝)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
OPEN 15:30 / START 17:00
2016年12月24日(土)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
OPEN 14:30 / START 16:00
チケット料金(全席指定):9500円(税込)※3歳以上有料
チケット最終先行受付(e+先着)

受付期間:2016年10月10日(月・祝)12:00~10月24日(月)11:00

受付URL:http://eplus.jp/ls16nb/ (PC、携帯、スマホ)

チケット一般発売日:2016年10月29日(土)
LUNA SEA初のクリスマスソングリリース決定!LUNA SEA「HOLY KNIGHT」
CD盤

2016年12月23、24日の埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」会場でのみ限定販売。

価格:800円 ※1曲入り

配信版

ファンクラブ「SLAVE」会員限定で先行配信。詳細後日発表。

シングル「Limit」2016年6月22日発売 / UNIVERSAL J
初回限定盤A [SHM-CD+Blu-ray Disc] 2480円 / UPCH-7146
初回限定盤B [CD+DVD] 1890円 / UPCH-7147
通常盤 [CD] 1260円 / UPCH-5877
エンドライド盤 [CD] 800円 / UPCH-7148
CD収録曲
  1. Limit
  2. I'll Stay With You(※エンドライド盤未収録)
初回限定盤 Blu-ray Disc / DVD収録内容
  • Limit –Music Video-
LUNA SEA(ルナシー)

RYUICHI(Vo)、SUGIZO(G, Violin)、INORAN(G)、J(B)、真矢(Dr)からなるロックバンド。1989年に現編成での活動を開始し、1991年にYOSHIKI(X JAPAN)主宰の「Extasy Records」から1stアルバム「LUNA SEA」をリリースする。翌1992年に2ndアルバム「IMAGE」でメジャーデビューを果たした。1994年のシングル「ROSIER」がロングヒットを記録し、東京ドームや横浜スタジアムなどでライブを行うなど日本を代表するロックバンドへと成長する。しかし2000年11月に“終幕”を発表し、同年12月26、27日に行われた東京ドーム公演をもってバンドの歴史に幕を下ろした。

終幕以降も各メンバーはソロアーティストとしてのキャリアを重ね、精力的な音楽活動を展開。2007年12月24日に東京ドームで一夜限りの復活ライブを行い、このライブをきっかけに2010年8月に“REBOOT”と称して本格的な再始動を発表した。結成25周年を迎える2014年5月29日には国立代々木競技場第一体育館でスペシャルライブ「LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE -The Unfinished MOON-」を実施。2015年6月には主催フェス「LUNATIC FEST.」を千葉・幕張メッセで行い大成功を収める。2016年12月に埼玉・さいたまスーパーアリーナで2DAYSライブ「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」を開催する。