音楽ナタリー Power Push - LUNA SEA

ソロインタビューで紐解く 五者五様のライブ観

RYUICHIソロインタビュー

個人個人が水面下で動いている年

──2016年のLUNA SEAについてどう捉えてますか?

RYUICHI

今年は休みが多いですよね(笑)。実際はアルバムの制作が続いていて、「これから、どんな世界を作ろうか?」という感じではあるんですよ。そのために個人個人が水面下で動いているというか。バンド自体の活動としてはポイント、ポイントでのライブですね。9月に大阪と名古屋で開催したファンクラブ限定ライブもそうだし。

──9月のライブは2016年初ライブでしたが、感触はいかがでしたか?

そこまでひさびさという感じではないんです。何年か空いてしまうと、それぞれの機材とかプログラミングされている音色が書き換えられているので、一から構築する感じになるんですよ。でも、今は長くても半年くらいのタームでライブをやっているし、一緒に音を出せば「そうそう、こうだよね」っていうツーカーの関係になっているので。

“Limit”を超えていく

──ライブに向かう気持ちやモチベーションはどうですか?

自分たちの満足と、来てくれたファンのみんなの満足というものを常に考えているんですけど、1つ言えるのは「完成度の高いショーとしてきれいにこなすだけでは、LUNA SEAらしいライブにはなりにくい」ということなんです。いい意味で無理をするっていうのかな。6月に発表した最新シングルの曲名にもなってるけど“Limit”を超えていく瞬間に、自分の中のソウルだとかを感じてもらえると思っていて。ライブでは通常のボルテージではないブッ飛んだ感覚になりたいと思っているし、それをファンにも観てもらいたいんです。そうすればファンのみんなも、ライブのたびに「今日はこういう感じだった」と思ってくれるだろうし、すべてのライブでLUNA SEAが新しく生まれて、壊れて、構築されていくのを感じてもらえるんじゃないかなって。わかりやすく言うと、身体のどこかが痛くないとライブをやった感じはしませんね(笑)。みんなそうだと思うけど、ステージでは自分ができること以上のことをやっているので。でも、「この曲で限界を突破しよう」って決めているわけではなくて、メンバー同士の化学反応によって自然に紡ぎ出されるんですよ。ライブを回想したときに「あの曲でこんなパフォーマンスができたんだな」と思える曲がいくつかあれば、すごくいいですよね。それはまだ見ぬLUNA SEAと出会うことだし、ファンにとっても新しい驚きにつながると思うんです。驚きと感動はすごく近いですからね。

──メンバー同士がぶつかり合うような感じもLUNA SEAのライブの魅力だと思います。そういう関係性は今も変わってないですか?

そうですね。でもライブに向かう気持ちは、以前よりも余裕は出てきたと思います。MCでもなんでもそうなんですけど、デビュー当時のライブは全然余裕がなかったんですよね、振り返ってみると。今は出ていく前から高いボルテージを維持しなくても、ステージに上がった瞬間にバン!と過熱できるんですよ。真矢くんのカウントが入れば、すぐにその楽曲の世界に入っていけるというか。ライブって、ものすごい高い位置で綱渡りしているような緊張感があって、それに慣れないといいパフォーマンスはできないんです。ビルとビルの間にロープを張って、その上を歩けって言われたら、誰でも緊張するじゃないですか。ステージに上がるというのも、そういう感覚があるんです。それを何度も経験していく中で「普通に歩けば大丈夫なんだな」という実感を持つことで初めて自分の表現を発揮できるというか。昔はそれができなかったんですよね。常に緊張してた。でも、そのギリギリ感が初期のLUNA SEAの魅力だったと思うし。逆に今は楽しんでステージに上がってますよ。

──では、初期の楽曲を歌うことに関してはどんな感情を持ってますか?

声が変わっているのは事実なので、あまり初期と同じものは追い求めないようにしてますね。「昔はどうしてあんな歌い方をしていたんだろう?」と思うこともあれば、「子供みたいな声をしているな」って感じることもある。でも、何よりも大事なのは「今の自分でその楽曲を表現する」ということですからね。叫びたいときは叫んで、きれいに歌いたいときはきれいに歌って。「こうじゃなくちゃいけない!」と音源や昔の自分の歌に捉われないようにするというか。もちろん、いろんなことを考えるんですよ。ポール・マッカートニーやスティング、ミック・ジャガーの歌を聴いて「こんなふうに歌ってるのか。じゃあ、自分はここを直そう」なんて思ったこともあるし。でも、それをあとになって聴き直してみると「不自然な歌い方だな」と感じてしまうんです。付け焼刃で何かを試すのではなくて、自分の中にあるものを追求していくべきなんですよね、やっぱり。

──でも、LUNA SEAの場合、初期の楽曲と最新曲を並べて演奏しても違和感がないように感じます。音楽的に筋が通っているというか。

そうですね。今、痛感しているのは「得意なものは、そう多くない」ということなんです。メンバー全員にそれぞれのコード感、ボイシング、リズムパターンというものがあって、一番の武器は変わってないんじゃないかなって。だからと言って、「ファンが喜ぶコード進行とメロディだけで曲を作ればいいじゃないか」というわけではないんです。変えていこう、進化しようと常にもがいているんですけど、そうやってぐるぐると螺旋階段を上っていると、気付けば以前と同じ景色を見ていることがあって。それは自分たちをコピーしたり、模倣しているわけではなく、高い位置から同じ景色を見ているんだと思うんですね。コード進行、歌詞の中に1つのLUNA SEAとしての秩序があるというか。それが自分たちの個性のコアなんでしょうね。

無駄な曲は作りたくない

──12月23、24日にさいたまスーパーアリーナで行われる「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit-」に対しては、どんな思いを持っていますか?

最初はおそらく東京ドーム(1995年12月23日に開催された初の東京ドーム公演「LUNATIC TOKYO」)だと思いますが、12月23日と24日はそれ以降もいろんな会場でライブをやってきたし、ファンのみんなの記憶にも残っていると思うんですね。特に23日はLUNA SEAの記念日の1つだし、ほかのアーティストとは違うクリスマスの在り方を提示したいという思いがあるんですよね。今年のさいたまスーパーアリーナでもLUNA SEAなりのクリスマスの過ごし方を打ち出せたらいいなって思うし、世界中で一番濃い時間にしたいですね。特にあの会場は、東日本大震災のあとに大きなチャリティライブを開催した場所でもあるし、いろいろな思い出もあるので。

──ライブ当日は、会場でしか手に入れることができない楽曲を用意するそうですね。

それも「LUNA SEAの記念日をしっかりと発信したい」という意気込みの表れなんですよね。楽曲の制作もそうだし、演出もそうだし、とにかく「この日、この場所でしか観られないライブにしたい」と思っているので。あと5人共お祭りごとが好きだし、血が騒ぐんですよ(笑)。どういうオープニングがいいか、MCはどんな感じにするか、アンコールの演出はどうするか……。新曲を含めて「今までやったことがないことを実現したい」という思いもあるし、これからいろんな話が出てくると思いますね。今は定期的にミーティングしているし、ライブの打ち上げなどでも「こういうことやったら、ファンのみんなは喜んでくれるよね」という話をしていて。そこからアイデアが生まれることも多いですね。

──普段の会話もすべてライブにつながっていく、と。

それは昔から変わってないですね。楽曲を作るときもそう。以前は5人でスタジオに入ってセッションしながら作っていたんですけど、そのときは「このギターリフ、ファンのみんなもカッコいいと思ってくれるんじゃない?」と言うような思いで制作していたし、その最中も「何千人、何万人というファンのみんなに支えられている」という意識があって。普段の打ち合わせなども含めて、常にライブにつながっているという感覚はありますね。とにかく、ライブ会場で交換されるエネルギーの量はすごいですから。

──2017年はメジャーデビュー25周年、ファンクラブ「SLAVE」が発足25周年、メンバーの皆さんのソロ活動20周年と、さまざまなアニバーサリーが重なっていますし、LUNA SEAの新しいアルバムにも期待が集まります。

来年の活動において、新譜は絶対に必要だと思っています。ただ、新しい楽曲が無秩序に生まれていくと、ツアーのメニューを決めるときも「新曲を中心にするのか、それともファンの思い入れがある大切な楽曲を多く演奏するのか」という選択も難しくなるし……だから制作は時間をかけてやりたいんですよね。無駄な曲は作りたくないというのかな。「Limit」もそうですけど、新曲を作るからには、以前の曲と並べても不自然ではないものにしたいし、代表曲、人気曲と言われている楽曲の中に入っても輝いていなくてはいけないので。1つひとつ、筋の通った楽曲を作っていきたいんですよね。

「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」
2016年12月23日(金・祝)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
OPEN 15:30 / START 17:00
2016年12月24日(土)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
OPEN 14:30 / START 16:00
チケット料金(全席指定):9500円(税込)※3歳以上有料
チケット最終先行受付(e+先着)

受付期間:2016年10月10日(月・祝)12:00~10月24日(月)11:00

受付URL:http://eplus.jp/ls16nb/ (PC、携帯、スマホ)

チケット一般発売日:2016年10月29日(土)
LUNA SEA初のクリスマスソングリリース決定!LUNA SEA「HOLY KNIGHT」
CD盤

2016年12月23、24日の埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」会場でのみ限定販売。

価格:800円 ※1曲入り

配信版

ファンクラブ「SLAVE」会員限定で先行配信。詳細後日発表。

シングル「Limit」2016年6月22日発売 / UNIVERSAL J
初回限定盤A [SHM-CD+Blu-ray Disc] 2480円 / UPCH-7146
初回限定盤B [CD+DVD] 1890円 / UPCH-7147
通常盤 [CD] 1260円 / UPCH-5877
エンドライド盤 [CD] 800円 / UPCH-7148
CD収録曲
  1. Limit
  2. I'll Stay With You(※エンドライド盤未収録)
初回限定盤 Blu-ray Disc / DVD収録内容
  • Limit –Music Video-
LUNA SEA(ルナシー)

RYUICHI(Vo)、SUGIZO(G, Violin)、INORAN(G)、J(B)、真矢(Dr)からなるロックバンド。1989年に現編成での活動を開始し、1991年にYOSHIKI(X JAPAN)主宰の「Extasy Records」から1stアルバム「LUNA SEA」をリリースする。翌1992年に2ndアルバム「IMAGE」でメジャーデビューを果たした。1994年のシングル「ROSIER」がロングヒットを記録し、東京ドームや横浜スタジアムなどでライブを行うなど日本を代表するロックバンドへと成長する。しかし2000年11月に“終幕”を発表し、同年12月26、27日に行われた東京ドーム公演をもってバンドの歴史に幕を下ろした。

終幕以降も各メンバーはソロアーティストとしてのキャリアを重ね、精力的な音楽活動を展開。2007年12月24日に東京ドームで一夜限りの復活ライブを行い、このライブをきっかけに2010年8月に“REBOOT”と称して本格的な再始動を発表した。結成25周年を迎える2014年5月29日には国立代々木競技場第一体育館でスペシャルライブ「LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE -The Unfinished MOON-」を実施。2015年6月には主催フェス「LUNATIC FEST.」を千葉・幕張メッセで行い大成功を収める。2016年12月に埼玉・さいたまスーパーアリーナで2DAYSライブ「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」を開催する。