音楽ナタリー Power Push - LUNA SEA

ソロインタビューで紐解く 五者五様のライブ観

INORANソロインタビュー

これからも先へ先へ向かっていくバンド

──2016年のLUNA SEAについてどう捉えてますか?

INORAN

2007年に活動を再開してからの流れの中で、2014年に結成25周年の大きなツアーをやって……これからも先へ先へ向かっていくバンドだと思っているし、2016年は結成30周年に向けてさらに走り出した年ですよね。「Limit」を出したあとも、各々が新しい曲のデモを持ち寄っているんですよ。まだセッションはしてないので、形になるかどうなるかはわからないですけどね。

──ライブに対するモチベーションについては?

それは昔も今もまったく変化してないです。会場に来てくれるファンのみんなも、僕らが安定することをいい意味で許してくれないし、全身全霊で挑んできてくれて。メンバーもみんな素晴らしいミュージシャンなので、5人で音を出すときは生半可な気持ちではやれないですよね。大きな箱だろうと小さな箱だろうと、スタッフもプロフェッショナルとしてライブを完成させようと挑んでくれるし。

──ファンもスタッフも、もちろんメンバーも“挑む”という姿勢なんですね。

そうですね。LUNA SEAのライブはまさに“ライブ”というか、エンタテインメントとかショーではないと僕は思っているので。だからといって、緊張感だけではないんですけどね。戦っているような瞬間もあるんだけど、ただクソ真面目にやっているわけではなくて。遊びというか、ちょっとホッコリすることもあるんですよ(笑)。それがすごく面白いし、刺激的だし。バンド全体の可能性が全然尽きないんです。そういう状況の中で自分も成長したいし、成長できていると思ってるんですよね。それはみんなも同じ気持ちじゃないかな。音楽人として進化しているというか。

──全員が進化していないと、バンドのテンションも保てないですからね。

基本はね。ただ、長い人生の中でいろんなことがあるじゃないですか。バイオリズムがいいときもあれば悪いときもあるから、それはお互い補っていかないと。それがバンドという共同体ですからね。お互いに戦っているところもあるけど、やっぱり補い合うことが大事じゃないかな。これだけ長くやっているとあうんの呼吸もあるし、ライブの中でSUGIZOらしい動き方、真矢くんらしい叩き方を見ると「誰か1人欠けてもLUNA SEAは成立しないんだな」って思うので。それはすごく尊いことだし、ライブをやるたびにステージに立てることを音楽の神様に感謝したくなるんだよね。

5人が出す音というのは筋が通っている

──ライブで初期の楽曲を演奏することも多いと思いますが、表現の方法は変化していますか?

変化はしてるでしょうね。でも、楽曲は自分の血であり、肉であるから、昔の曲を弾いているときに違和感はないですけどね。過去の曲をプレイする機会があったときは、そのときの自分の気持ちに正直にやるだけなので。機材やマイクが変わることはあるけど、5人が出す音というのは筋が通っているというか、ブレないですからね。細かいことにもこだわらなくなって、今はもっと大義みたいなものを大事にしてるんですよ。

──では、INORANさんにとって“いいライブ”の基準とは?

やっぱりステージから観たファンのみんなの顔がいいことですよね。泣いてたり騒いでたり首を振ってたり、いろんな人がいるんだけど、特に笑顔があふれてるライブっていうのはいいですよね。そういうときはギターの弦が切れようが関係ないんですよ。もちろん演奏がうまくいったほうがいいけど、大事なのはそこではないので。細かいことにこだわっていると、すり抜けてしまうものもありますからね。

──そういう境地になれたのは再結成以降ですか?

でしょうね。30代でLUNA SEAの活動を1回止めて。その後、いろんな経験をする中で、「実は俺はまだ何も見ていない。まだまだ先があるんだろうな」ということがわかり始めたタイミングで「One Night Dejavu」(2007年12月24日に東京ドームで行われた公演「LUNA SEA GOD BLESS YOU~One Night Dejavu~2007.12.24TOKYO DOME」)をきっかけにLUNA SEAの活動が再開して。その中で「俺はこのバンドに生かされているんだな」ということを感じたというか。もちろん、初期の頃に細かいことにこだわり抜いたからこそ、今の自分のマインドがあるんだと思いますけどね。髪を立てて、派手な格好して、チャラチャラして見えてたかもしれないけど、みんなで一生懸命に練習したし、「オンリーワンのバンドになるためにはどういう曲を書いたらいいか」「ギターのフレーズはどうしたらいいか」ということを話し合いながらレコーディングして。そういう職人的なことも好きなメンバーですからね。

──ほかのアーティストの音楽、ライブから刺激を受けることもありますか?

ありますよ。僕自身も音楽ファンだし、最近、好きなバンドのライブを観に行くときのドキドキ感がよみがえってきてるんですよ。そういう熱が戻ってきたのは、2015年のフジロック(FUJI ROCK FESTIVAL)で観たFoo Fightersがきっかけだったのかもしれないです。

──デイヴ・グロールが足を骨折していて、ド派手な椅子に座ってパフォーマンスしたときですね。

そうそう。ストイックなのもいいし、突き詰めることも必要だけど、ハミ出ることを忘れちゃダメだなって思ったんですよね。怪我しながら歌って、キーがめちゃくちゃハズれていても、カッコいいっていう。ああいうロック感はやっぱり大事だし、LUNA SEAはそれが表現できるバンドだと思うんです。思い切りハミ出して、小さくまとまらないというか。でも、最後はみんなの気持ちを1つにするんですけどね。

新しい歴史の1ページを作りたい

──12月23、24日にさいたまスーパーアリーナで行われる「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit-」に対しては、どんな思いを持っていますか?

ほかのメンバーも言うと思いますけど、12月23日はLUNA SEAにとって特別な日の1つなんです。その日になると自分も心がザワつくし。今回もしっかり新しい歴史の1ページを作りたいですね。ファンの人たちも、この日に対してはいろんな思いを持っていると思うんです。「年末になるとLUNA SEAのライブに行ってたな」と思い出す人もいるだろうし、今年初めて来るという人は「12月23日にいろんなことをやってたんだな」って調べてくれるかもしれない。それぞれの気持ちがクロスオーバーする日だし、「幸せだな」と思ってくれる人が1人でも多くなるようなライブをやりたいですね。メモリアルな日があるバンドって、いいじゃないですか。

──そうですね。年を重ねるごとに重みも増していきますよね。

重みを感じるというより、LUNA SEAでプレイすることの責任を感じますね。これだけ多くの人たちに支持されて、25年間、1人も欠けることなく続いてきたわけですからそこに対する責任というのは絶対にあると思うので。

──ライブ当日は、会場でしか手に入れることができない楽曲を用意するそうですね。

みたいですね(笑)。そこにもいろいろなことが重なってると思うんですよ。これから自分たちが向かう方向、今まで過ごしてきた日常、世の中の動き方を含めて、「今回のライブに向けた楽曲がほしい」ということになったので。去年はそうならなかったし、来年企画したとしてもまた違った感じになるだろうし……その楽曲に関しては、自分たちがやりたいというよりも、皆さんからもらったものを返す感じなんです。それをクリスマスの時期に完成させて、みんなに贈りたいなと。感謝の気持ちを伝えるタイミングも逃したくないんです。「明日でいい」「次でいい」ではなくて、今年のさいたまスーパーアリーナでやりたいんですよね。

──オーディエンスから受け取ったエネルギーを楽曲にして返すという感覚も?

そう。ライブのエネルギーはすごいですからね。そこで受け取るものはとても大きいし、曲を書く原動力になるので。そういう熱を感じられるのは、自分もすごく楽しみなんですよね。これは僕の勘ですけど、さいたまスーパーアリーナの2日間の中で、すごくいいエネルギーが蓄積できるだろうし、そこで「また何かやろうよ」という流れになるんじゃないかなって。

──2017年はメジャーデビュー25周年、SLAVEが発足25周年、メンバーの皆さんのソロ活動20周年の年でもあり、動きのある1年になりそうですね。

そうですね。LUNA SEAとしてもそうだし、20年ソロとして活動できたことに対する感謝もすごくあるので。その相互作用で充実した1年になると思います。

「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」
2016年12月23日(金・祝)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
OPEN 15:30 / START 17:00
2016年12月24日(土)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
OPEN 14:30 / START 16:00
チケット料金(全席指定):9500円(税込)※3歳以上有料
チケット最終先行受付(e+先着)

受付期間:2016年10月10日(月・祝)12:00~10月24日(月)11:00

受付URL:http://eplus.jp/ls16nb/ (PC、携帯、スマホ)

チケット一般発売日:2016年10月29日(土)
LUNA SEA初のクリスマスソングリリース決定!LUNA SEA「HOLY KNIGHT」
CD盤

2016年12月23、24日の埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」会場でのみ限定販売。

価格:800円 ※1曲入り

配信版

ファンクラブ「SLAVE」会員限定で先行配信。詳細後日発表。

シングル「Limit」2016年6月22日発売 / UNIVERSAL J
初回限定盤A [SHM-CD+Blu-ray Disc] 2480円 / UPCH-7146
初回限定盤B [CD+DVD] 1890円 / UPCH-7147
通常盤 [CD] 1260円 / UPCH-5877
エンドライド盤 [CD] 800円 / UPCH-7148
CD収録曲
  1. Limit
  2. I'll Stay With You(※エンドライド盤未収録)
初回限定盤 Blu-ray Disc / DVD収録内容
  • Limit –Music Video-
LUNA SEA(ルナシー)

RYUICHI(Vo)、SUGIZO(G, Violin)、INORAN(G)、J(B)、真矢(Dr)からなるロックバンド。1989年に現編成での活動を開始し、1991年にYOSHIKI(X JAPAN)主宰の「Extasy Records」から1stアルバム「LUNA SEA」をリリースする。翌1992年に2ndアルバム「IMAGE」でメジャーデビューを果たした。1994年のシングル「ROSIER」がロングヒットを記録し、東京ドームや横浜スタジアムなどでライブを行うなど日本を代表するロックバンドへと成長する。しかし2000年11月に“終幕”を発表し、同年12月26、27日に行われた東京ドーム公演をもってバンドの歴史に幕を下ろした。

終幕以降も各メンバーはソロアーティストとしてのキャリアを重ね、精力的な音楽活動を展開。2007年12月24日に東京ドームで一夜限りの復活ライブを行い、このライブをきっかけに2010年8月に“REBOOT”と称して本格的な再始動を発表した。結成25周年を迎える2014年5月29日には国立代々木競技場第一体育館でスペシャルライブ「LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE -The Unfinished MOON-」を実施。2015年6月には主催フェス「LUNATIC FEST.」を千葉・幕張メッセで行い大成功を収める。2016年12月に埼玉・さいたまスーパーアリーナで2DAYSライブ「LUNA SEA The Holy Night -Beyond the Limit- at さいたまスーパーアリーナ2days」を開催する。