「スペナタ」#06 「LUNATIC FEST. 2025」|RYUICHI×吉井和哉×TAKUYA∞による“決起鼎談”

音楽の魅力をテキストで伝える音楽ナタリーと、映像で伝えるスペースシャワーTVがタッグを組み、毎回1組のアーティストをフィーチャーする「スペナタ」。この企画では、さまざまなアーティストに合同で取材を行い、音楽ナタリーではインタビューページ、スペースシャワーTVでは特番という形で紹介している。

第6弾となる今回は特別編として、LUNA SEAが11月8、9日に千葉・幕張メッセで開催するロックフェス「LUNATIC FEST. 2025」をフィーチャー。7年ぶりの開催に向けて、主催アーティストであるRYUICHI(LUNA SEA)と、出演者の吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)、TAKUYA∞(UVERworld)の鼎談をお届け。ユーモアたっぷり、含蓄満載の3人のトークを楽しみつつ、「LUNATIC FEST. 2025」への期待を高めてほしい。

取材・文 / 西廣智一撮影 / 田辺佳子

「出ます!」TAKUYA∞、RYUICHIの声がけに即答

RYUICHI(LUNA SEA) 「LUNATIC FEST.」7年ぶりの開催ということで、特に今回は90年代から活躍している人たちに出てほしいなと思いまして。加えて、お二人は声のインパクトがすごいので、どちらにも出てほしくてお声がけしました。

吉井和哉(THE YELLOW MONKEY) 前回からそんなに時間が経ってるように思えないですね。

RYUICHI 「いつかまたやりたいね」と言っていたら7年経っていたみたいな。

吉井 僕ね、1回目のときにSUGIZOくんにお誘いいただいたんだけど、ちょうどうちが再集結直前のタイミングでスケジュールが合わなかったんですが、ようやく出られてうれしいです。

TAKUYA∞(UVERworld) 僕はデビュー前から、LUNA SEAをずっとテレビで観させてもらっていて。特に、うちのベース(信人)もサックス(誠果)も全曲コピーするぐらい好きですし、僕もカラオケでよく歌わせてもらったりするぐらいレジェンドな存在なので、今日はこの3人で並ぶことが本当におこがましいです。

左から吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)、RYUICHI(LUNA SEA)、TAKUYA∞(UVERworld)。

左から吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)、RYUICHI(LUNA SEA)、TAKUYA∞(UVERworld)。

吉井 なんか様子がおかしいよね。俺と2人のときとは違くない?(笑)

TAKUYA∞ いやいや、いつも通りですよ(笑)。

RYUICHI 後輩と言っても、年齢的には10歳ぐらいしか違わないのかな。

吉井 そうか。TAKUYA∞は今何歳?

TAKUYA∞ 45です。

吉井 RYUICHIくんは?

RYUICHI 55です。

吉井 そっか。僕、来年60なんだよね。

RYUICHI 吉井さんはずっと90年代の頃のままで、年齢とかまったくわかんないですよね。今回の出演者には昔はライバルだった人たちもいれば、未来を担う人たちもいて。オーディエンスにも「LUNA SEAが育った時代にはこんなライバルがいたんだ、こんな先輩がいたんだ、そして後輩たちがこういうふうに音楽を発展させているんだ」っていうことを、2日間を通してうまく見せられたらいいなと思っています。ちなみに、外から「LUNATIC FEST.」ってどういうふうに見えていますか?

吉井 フェスって言うと太陽とか夏とか、そういう開放的なイメージだけど、「LUNATIC FEST.」は「月の祭典」っていう印象がある。

RYUICHI ありがとうございます。やっぱり自分たちの音楽自体が影とか闇とか、いろんなものを内包しているので、確かに「月の祭典」はぴったりですね。次からこれをタイトルにしよう(笑)。

吉井 どうぞ、差し上げます(笑)。

RYUICHI TAKUYA∞くんは「LUNATIC FEST.」って知ってたかな?

TAKUYA∞ もちろん知ってましたし、名前もいろんなところで聞いていました。僕はいろんなアーティストのワンマンライブに遊びに行かせてもらうことが多いけど、フェスは基本観に行くことがなくて。自分たちもフェスにあまり出ないというか、僕たちの立場で言うのはあれなんですけど、直接フェスに誘われたときは「事務所に聞いて」と言って一旦置くんです。でもRYUICHIさんから連絡をいただいたときは、公私ともにお世話になってますし、その場で「出ます!」とお答えしました。なので、なんのイメージもないまま飛び込ませてもらう感じです。あとからラインナップを見たら伝説のバンドがたくさんいらっしゃって、胸を借りるつもりでがんばりたいなと思います。

RYUICHI 後輩にそう言われたら、僕らが呼ばれたときには同じように「出る」って即答したいよね。イエモンもいろんなフェスから声をかけられると思うけど、どういう基準で出演を決めているんですか?

RYUICHI(LUNA SEA)

RYUICHI(LUNA SEA)

吉井 やっぱりギャラですかね。……ウソウソ、冗談です!(笑) 率直にお話を伺ってピンとくるかどうか、もちろんスケジュールとかいろんな条件はあると思うんですけど、やっぱり「出たい、やってみたい」って100%思わないと絶対に受けられないですね。1%でも「ちょっとなあ」と思うとうまくいかないし、お互いに失礼になっちゃうから。

RYUICHI 確かに。刺激がないとダメですよね。

吉井 SNSで見たんだけど、TAKUYA∞はステージ直前まで何か食べてるじゃん。

TAKUYA∞ はい。

RYUICHI えっ、食べてからライブをするの?

吉井 食べてからそのままステージに行くのよ。

TAKUYA∞ SEが流れる1分から2分前ぐらいを計算して、何か爆食してから出たりとかちょっとトリッキーなことをしています。「LUNATIC FEST.」でも何かしたいとは考えてます。

吉井 一緒に食べようかな(笑)。

RYUICHI がっつり食べて、声はどうなの?

吉井 そうなの、そこなんだよ。

TAKUYA∞ でも、それ(爆食してからステージに出たの)は人生で1回だけです。ほかの日はピーマンを焼いたりとか、その日その日の出し物がありますね。

RYUICHI 歌う直前に食べたら声をうまく出せないと思うけど、大変だった?

TAKUYA∞ いや、僕はけっこう大丈夫なんですよ。

RYUICHI お酒を飲んでから出る人もいるじゃない。

吉井 飲んで出るとMCで変なことを言いがちなので(笑)。

RYUICHI ベロベロになったら、ヤバいしね。リズムとかもひどくなるし。

吉井 なので、やめておくのが正解です。

吉井和哉が「LUNATIC FEST」出演を決めた理由

RYUICHI LUNA SEAとTHE YELLOW MONKEYはインディーズで活動していた時期が被っていると思うんですけど、イエモンはどのライブハウスに出ることが多かったんですか?

吉井 僕らは渋谷La.mamaが中心で、たまに目黒鹿鳴館。それは前のバンドの名残だったんだけど、あとは新宿LOFTかな。

RYUICHI 鹿鳴館は重なってますね。

吉井 もともとは同じ穴のムジナ的な部分をお互い感じていたと思うんだけど、その流れで(1994年開催の)「L.S.B.」っていう、今で言うところのフェスだよね。あれに出させていただいて、当時全然売れてなかったTHE YELLOW MONKEYがその後ブレイクしたので、もう本当にもう命の恩人です。

吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)

吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)

RYUICHI いやいや、イエモンは当時も十分有名でしたよ。でも、おっしゃるように「L.S.B.」はフェスのはしりでしたよね。そういうイベントに出演すると、「あのボーカル、こんなに声が出るんだ」とか「このバンド、めちゃめちゃ音が太いな」とか、いろんな刺激をもらえますし。「L.S.B.」、懐かしいです。

吉井 TAKUYA∞に説明すると、「L.S.B.」っていうのはLUNA SEAとSOFT BALLET、BUCK-TICK(現BUCK∞TICK)の3バンドの頭文字を取った、フェス形式で全国を回るイベントで。THE YELLOW MONKEYはそこにゲストとして出させてもらったの。

TAKUYA∞ なるほど。

RYUICHI けっこう強烈な個性のバンドが集まってましたよね。

吉井 で、打ち上げにX JAPANのHIDEさんとかいろんな人が遊びにきて。

RYUICHI ガチャガチャになりましたよね(笑)。

吉井 なったかもしれない(笑)。

RYUICHI すごく懐かしいです。でも、本当に同じ穴のムジナじゃないけど、いろんなところで生息していた人たちが2025年の今も残っているわけですから。

吉井 なおかつ、僕はちょっと喉の病気をして、RYUICHIくんもやっぱり喉の病気をして、お互いに克服し始めているタイミングの今年、お誘いいただけたことにも運命的なものを感じました。それも出させてもらいたいと思った理由の1つでした。