ナタリー PowerPush - LiSA

“LiSA語録”からその素顔に肉薄! 追跡「best day, best way」への道

いつ東京に出るか? 今でしょ!

──卒業ライブ後もバンドは続いたんですか?

卒業ライブと同時に解散しちゃいました。でもステージで歌う気持ちよさが忘れられなくて、高校に入ってすぐに新しいバンドを始めたんです。

──そのバンドではどんな曲を?

組んだばっかりの頃はアヴリル・ラヴィーンとか、あとNOFXとかZEBRAHEADとかGREEN DAYとか。メロコアが多かったですね。

──今のLiSAさんの音楽性を形作ったのはその頃?

LiSA

そうですね。バンドのメンバーがそういうカルチャーが大好きだったので。ハーパン履いて、ハイソックス履いて、スケボーやって……みたいなタイプで。その子たちにメロコアとか西海岸の音楽を教えてもらったおかげでそういう音楽にハマったって感じなので、今のLiSAがあるのは当時の友達のおかげなんだと思ってます。

──その後、高校3年生のときにはもう音楽の道で生きていくことを決めたんですよね?

高校2年生の頃、よく出ていたライブハウスの人に「勝負したいんだったら本当にオリジナルをやらなきゃダメだよ」って言われて、必死でオリジナル曲をたくさん作ってライブをやったら、お客さんの反応がすごくよくて。岐阜だけじゃなくて名古屋や大阪でもライブをできるようになったんですけど、それでなんかすごく夢を見てたんでしょうね。学校の成績はけっこうよかったから、先生には「大学に行きながらでもバンドはできるし、そのあと道を選んだって遅くないんだよ」って言われたんですけど「いや、バンドやるんで」って言っちゃってました(笑)。

──男前だなあ(笑)。で、そのバンドで上京するんですか?

いや、メンバーはそれぞれ進学したり、就職したりしていたので、だんだん思うような活動もできなくなったので解散しました。それが20歳くらいのときだったんですけど「みんなはそれぞれの道に進んだけど、じゃあ自分はどうしよう?」って考えたとき「いつやるか?」って感じになり……。

──東進ハイスクール的に言うなら(笑)。

「今でしょ!」と(笑)。「チャンスは今しかない」と思って1人で東京に出てきたんです。

アニソンシーンに見つけたロックの熱さ

──そして2010年にGirls Dead Monster(ガルデモ)のボーカリスト・ユイの歌唱パート担当として楽曲を発表するわけですけど、それまでの東京での活動って順調だったんですか?

ぜんっぜん!(笑) いろんなオーディションを受けては落ちてっていうのを繰り返してました。それでもあきらめずに受け続けた中の1つがガルデモのオーディションだったんです。

──それこそ高校の進路指導の先生じゃないんだけど、まだ20歳そこそこだったんだし、そこまでオーディションに落ち続けたんなら音楽以外の道を探ることもできましたよね。

でもそれしかなかったんですよ。

──「歌うことしかなかった」っていうこと?

LiSA

ええ。私、音楽以外にずっと続けてきたものって何もないんです。みんなで蔵に集まってバンドの練習をしたり、ライブハウスに行ったりすること以外の遊びは知らないし、バイト先もそのライブハウスだったし(笑)。今もそうなんですけど、胸を張って「これをやってきました」って言えることって音楽しかないんですよ。生きている意味っていうと究極的すぎるんですけど、「音楽を取ったら私にはほかにできることなんて何もないな」とは今でも思ってますし。あと、ずっと私を育ててくれた親にはすごく感謝もしているんだけど、いっぱい迷惑をかけちゃったな、とも思っていて。高校を卒業する頃からずっと「ちゃんと1人でメシを食えるようにならなきゃ」「そして私にできることってきっと音楽なんだろうな」って考えてました。

──じゃあ(「Angel Beats!」の脚本家でガルデモの楽曲を手がけた)麻枝准さんのお眼鏡にかなったときはうれしかった?

もちろんうれしかったんですけど、正直戸惑いはありました。それまで「自分の好きな音楽で世界に羽ばたいてやるぜ」って思いながら活動していて、アニメのことはあんまり知らなかったので。そんな私のことはアニメファンの人たちにはどう見えるんだろう? 本当に私なんかが歌って大丈夫なのかな?って。

──ところがアニメファン、アニソンファンからは諸手を挙げて受け入れられたわけですよね。

だからすごくビックリして! しかもアニメファンの人って本当に熱いじゃないですか。みんな「アニメが好きなんだ!」「この場、この瞬間を楽しむんだ!」「オレらの好きなものってカッコいいだろ!」って感じでライブを盛り上げている。あの熱さって私がずっと観てきたロックのライブの熱さと何も変わらないんですよね。

──確かに2000年代前半から中盤のメロコアシーンの熱さと、今のアニソンシーンの熱さって似ているのかも。

しかも私がその熱さを直接体験したのはアニソンのライブが初めてだったんですよ。地元でバンドをやってたころって対バンライブをやっても、ほかのバンドのお客さんは私たちの出番のときには客席の一番後ろで腕組みをしているだけだったし。

──売れているバンド同士の対バン企画でもない限り、ライブハウスのお客さんって基本的にそういうリアクションをしますよね。

ええ。なのにアニメファンの人たちは「自分たちが大好きなアニメの音楽なんだから」ってことで、新人の私のこともすごく熱く迎え入れてくれて。そのジャンルに対する愛や優しさにはすごく心を打たれましたね。オーディションに落ちまくりながら「メシを食えるようにならなきゃ」ってがんばってた私に「Angel Beats!」とガルデモのユイちゃんとファンのみんなが居場所を与えてくれたんだ、って。

ニューシングル「best day, best way」 / 2013年4月3日発売 / アニプレックス / 完全数量生産限定盤 [CD+DVD+小冊子] / 2940円 / SVWC-7932~4
完全数量生産限定盤
初回限定盤 [CD+DVD] / 1680円 / SVWC-7930~1
初回限定盤
通常盤 [CD] / 1260円 / SVWC-7935
通常盤
CD収録曲
  1. best day, best way
  2. I'm a Rock star
  3. シロイトイキ
  4. best day, best way(Instrumental)
完全数量生産限定盤DVD収録内容
  • I’m a Rock star ミュージッククリップ
初回限定盤DVD収録内容
  • best day, best way ミュージッククリップ
LiSA(りさ)

6月24日生まれ、岐阜県出身。学生時代よりバンド活動を始め、2008年に活動の拠点を東京に移す。2010年春にはテレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。Girls Dead Monsterでの活動が好評を博し、2011年4月にはミニアルバム「Letters to U」でLiSA名義によるソロデビューを果たす。2013年4月3日に3rdシングル「best day,best way」をリリース。