ナタリー PowerPush - LiSA

“LiSA語録”からその素顔に肉薄! 追跡「best day, best way」への道

「私も私自身を信じなきゃダメだ」

──2011年春にはガルデモのユイ名義ではない、LiSAとしての1stミニアルバム「Letters to U」をリリースしています。

LiSA

また自分が求められたこと、また歌を歌わせてもらえるようになったことがホントにうれしかったですね。

──ところが2011年当時のLiSAさんの発言を振り返ってみると、ちょっとネガティブなんですよ。「まだ未来は見えない」「不安がある」「皆さんに引っ張ってもらっている」って言っています。

確かにうれしい半面、すっごい不安はありました。ガルデモのポップなギターロックを歌っているユイちゃんのことを愛してくれていた人たちが、それよりももうちょっとハードなLiSAという人の音楽を楽しんでくれるのかな、って。

──でも「Letters to U」はオリコン週間アルバムランキングで14位に入り、秋にリリースしたアニメ「Fate/Zero」のオープニング曲「oath sign」はシングルランキングで5位になってますよね。

だからファンのみんなに引っ張ってもらっている感じがしてたんです。私自身はとっても不安だったんだけど、ガルデモファンの人たちや、新しく私のことを知った人たちがちゃんと「Letters to U」を楽しんでくれたわけですから。「oath sign」にしても「Fate/Zero」っていうすでにたくさんのファンがいる作品の曲だから、そのファンの人たちにちゃんと受け入れてもらえるのか不安でしたし。それに「oath sign」ってガルデモとも「Letters to U」とも違う印象の楽曲だったから「今までのLiSAの音楽とはちょっと違うな」って思われたらどうしようとも思っていて。だけど「Letters to U」と同じように楽しんでくれた。やっぱりデビューの年はファンのみんなに支えられてた気がします。

──その不安や、支えられている感じっていつ頃払拭できたんですか? というのも、ここ1年くらいのインタビューを見てみると、LiSAさんの言葉がビックリするくらい力強くなってるんですよ。

2年目に入ったばっかりの頃、野音(東京・日比谷野外大音楽堂)でライブをした頃(2012年4月)かなあ。

──確かにその頃野音についての意気込みを聞かれて「みんなが作ってきたこの1年が最高なものにならないわけがない」って答えています。

去年の2月に出た「LOVER“S”MiLE」っていうフルアルバムを作っている頃、さっきお話したようなこと、私の不安をファンのみんなが1つひとつ崩してきてくれたことに気付いて。私が一番大事にしなきゃいけないことってそういう人たちに対する愛と笑顔なんだなって思うようになったんです。それで「そういう人たちにありがとうの笑顔が届きますように」っていう意味を込めて「LOVER“S”MiLE」ってタイトルを付けて、そのアルバムを手に野音のステージに立ったら、ホントに大勢の人が待っていてくれた。愛や笑顔を届けたいっていう気持ちが通じたというか「自分が願ったことや信じた音楽を一緒に信じてくれる人がこんなにたくさんいるんだ」っていうことがわかったら私自身をちょっと信じられるようになったんです。

UNISON SQUARE GARDEN田淵智也が書いたLiSAみたいな詞

──で、2012年夏リリースのアニメ「ソードアート・オンライン」のオープニング曲「crossing field」が10万枚以上のセールスを記録して、年末には「信頼があるから今はまったく未来は見えないんだけどワクワクできる」「次は私が引っ張っていく」とまで言えるようになった、と。

確かに最近はそんな感じですね。野音が終わって自分を信じられるようになったとき「じゃあ信じた自分は何をすればいいんだろう」って考えたんですよ。

──結果、どんな結論に至りました?

LiSA

ちゃんとした作品、「期待しかしないでね」って言える曲をみんなに届けることだろうな、って。そしてそういう気持ちで作った「crossing field」がすごくたくさんの人に受け入れられたとき「もっとみんなの期待に応えられる歌を歌わなきゃ」っていう新しい目標ができたんです。

──今回の「best day, best way」ってその決意を強く打ち出したシングルですよね。特に表題曲は徹頭徹尾ポジティブ。初っぱなから「希望、汗にして 昨日に重ね続けた物語はもう始まってる」と、今日という日に対してものすごい期待をもたせておいて、1コーラス目のサビで「今日が最高なんだから 走り出した心 もう止まれないんだよ」と、ホントに今日は最高なんだと言い切っている。

私が書いた詞みたいですよね(笑)。

──そこがこの曲の面白いところなんですよ。LiSAさんの思いが色濃く投影されているのに、作詞はなぜかUNISON SQUARE GARDENの田淵智也さんが担当しているという(笑)。

田淵さんって私がガルデモをやっていたときからけっこうライブを観ていてくださっていて。あとLiSAとしてデビューしてからもずっと曲を書いていただいたり、一緒に詞を書いたりしているし……。

──2人してTwitterで元東洋大学、現富士通の柏原竜二選手の話題でさんざん盛り上がった挙げ句、その柏原選手の応援歌を共作しちゃったりもしてるし(笑)。

そうそうそう(笑)。その「ジェットロケット」って曲まで作っちゃうくらい、ずーっと一緒に仕事をしていた人、ずーっと私のことを見ていてくれていた人だし、私がライブなんかでいっつも「今日もいい日だ」「明日も最高に楽しもうね」って言っていることを知ってくれている人なので。だからLiSAとして3年目の最初の曲は田淵さんにお願いしたかったんです。

──田淵さんにはどんなオーダーを出したんですか?

特に「こういう詞にしてください」ってお願いはしてないかなあ。……あっ、母親に言われた言葉だけは伝えてた!

──どんな言葉ですか?

ガルデモを始めた頃「本当に私にできるのかな?」ってポロッと漏らしたことがあるんですよ。そしたら母親が「今がんばらんと3年後は輝かんよ」って。で、確かに3年後の今、私はLiSAとして歌を歌えている。だから田淵さんには「経験は絶対にムダにならない」って歌いたいって話はしました。そしたら「あれっ、これ私が書いたのかな?」っていう詞ができあがってきました(笑)。

ニューシングル「best day, best way」 / 2013年4月3日発売 / アニプレックス / 完全数量生産限定盤 [CD+DVD+小冊子] / 2940円 / SVWC-7932~4
完全数量生産限定盤
初回限定盤 [CD+DVD] / 1680円 / SVWC-7930~1
初回限定盤
通常盤 [CD] / 1260円 / SVWC-7935
通常盤
CD収録曲
  1. best day, best way
  2. I'm a Rock star
  3. シロイトイキ
  4. best day, best way(Instrumental)
完全数量生産限定盤DVD収録内容
  • I’m a Rock star ミュージッククリップ
初回限定盤DVD収録内容
  • best day, best way ミュージッククリップ
LiSA(りさ)

6月24日生まれ、岐阜県出身。学生時代よりバンド活動を始め、2008年に活動の拠点を東京に移す。2010年春にはテレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。Girls Dead Monsterでの活動が好評を博し、2011年4月にはミニアルバム「Letters to U」でLiSA名義によるソロデビューを果たす。2013年4月3日に3rdシングル「best day,best way」をリリース。