スマホと楽曲制作

──普段、スマホで音楽は聴きますか？

けっこう聴きます。以前はiPodかハイレゾウォークマンで音楽を聴いてたんですよ。でも最近はPCで購入した音源がiCloudを通じて全部スマホに同期されるようになったんで、ズルズルそのまま聴いちゃってますね（笑）。今日もスマホで音楽を聴きながらここまで来ました。

──イヤフォンやヘッドフォンにこだわりはありますか？

普段はMarshallのヘッドフォンを使っています。今までいろんなヘッドフォンを試してきたんですけど、これが一番いいなと思って。

──お気に入りのポイントは？

サウンドのバランスが絶妙なんですよ。ローもミドルもハイも完璧で。装着したときに耳が痛くならないっていうのも大きなポイントですね。

──スマホを音楽制作に利用することはありますか？

簡易録音機能っていうのは、ちょっと何かを思いついたときに非常に便利だなと思います。

──実際に活用しているんですか？

前はよく使ってたんですけど、最近は全然です。パッと思いついた曲のアイデアを録音しても、あとで聴き直すと、だいたい意味がわからないんです。酔ってるときに吹き込むっていうパターンが多かったのかもしれないですけど（笑）。明らかにコード感がおかしかったりするし。

──メモに歌詞を書き留めたりすることは？

それはけっこうやってます。次の日に読み返して、こっぱずかしい思いをすることもたまにありますけど、断片的な言葉でも、それを手掛かりに歌詞のイメージが膨らむことがあるので。ちゃんと腰を据えて歌詞を書くときは紙とペンを使うんですけど、ちょっとしたアイデアとかはスマホにメモすることが多いですね。

新しい音楽体験への入り口

──サブスクリプションの定額制聴き放題サービスについて、JUJUさんはどのようにお考えですか？

LINEっていう世界中に普及しているコミュニケーションツールが音楽サービスを始めるっていうのは意義深いことだと思います。最近の若い子たちはPCに楽曲を取り込んだらCDを聴かなくなっちゃうみたいですけど、そういう子たちが定額聴き放題サービスを使って自分が聴きたい曲だけを聴くっていうのは、ある意味、今の時代にあってるのかなって思うんですよ。そこで本当にいいなと思う曲を見つけたら、その曲が入ってるCDを買うかもしれないし。

──最後はフィジカルにたどり着いてほしいという願望があるんですね。

そうですね。やっぱり私はデータよりもCDで音楽を聴くのが好きだし、CDよりもレコードのほうが間違いなく音がいいと思っているから。そういえば、こないだ平原綾香ちゃんとも話したんですけど、最近は音楽をスピーカーで聴いたことがない若者も増えてるみたいで。

──ステレオ装置がない家庭も増えてるみたいですね。

音楽って結局は空気の振動じゃないですか。私は子供の頃からスピーカーの前で三角座りして音楽を聴いてきたんですけど、そうやって耳だけじゃなくて、空間の中で音楽を味わうような機会が増えると、みんなもっと楽しくなるだろうし、その最たるものがライブだと思うんです。生の歌と演奏を感じるっていう。

──音を“体感”するということですよね。

音楽を楽しむ上で、ライブに勝るものはないと思うので。新しい音楽体験への入り口として、いろんな音楽を気軽に楽しめるサービスがスタートしたというのは、すごく素敵なことだなって思います。

11年目の原点回帰

──ニューシングルの「PLAYBACK」についてもお話をお伺いできればと思います。表題曲はこれからの季節にぴったりな開放感あふれるダンスチューンに仕上がっていますね。

夏にリリースするシングルだし、普段のハシャギ好きでイケイケな自分を出したいなと思ったんです。去年デビュー10周年を迎えたんですけど、ここで守りに入るよりも、あえて、どんどん攻めていきたいなっていう気持ちもあったので。

──今作のリリースが発表されたとき、JUJUさんは「今までの11年間は、この曲のためにあったんじゃないか？」という公式コメントを発表されていますが、そこにはどんな思いが込められていたんですか？

「PLAYBACK」は自分にとって原点回帰みたいな曲だなと思っていて。私は10代の頃からずっとダンスミュージックが大好きで、デビュー当時にもそういう方向に向かおうと思っていたんですけど、当時は自分のやりたいことがリスナーにうまく伝わらなかったんです。その後、2年間まったくリリースがない時期を経て、「奇跡を望むなら...」というバラードでJUJUというシンガーを皆さんに知ってもらって。そこからR&Bとかロックっぽい曲とか、いろんな歌を歌っていくうちに、いい意味で、ジャンルが定まらない歌手になれたと思うんです。そんな10年を経た今、デビュー時に歌いたかったようなダンスチューンを歌えるっていうのは、すごく運命的なことだなって。

──昨年に引き続き、8月にはブルーノート東京で、ニューヨーク在住のトランぺッター・黒田卓也さんをはじめニューヨークのトッププレイヤーを迎えたジャズライブが開催されます。

今からすごく楽しみです。ニューヨークの最先端のジャズシーンで活躍している若手ミュージシャンが、昔から脈々と受け継がれているスタンダードナンバーを噛み砕いてアレンジするとこうなるのかっていう楽しさもあって。

──レパートリーはどういう感じになりそうでしょうか？

今、ちょうど考えているところです。今年はスタンダードだけじゃなくて、自分のオリジナル曲をジャズアレンジで演奏してもらうのもアリかなと思って。まだ構想を練ってる段階なので、なんとも言えないですけど。ただ、楽しいライブになることは間違いないです。