自分に合ったデス声を発見
──今作でそういうミクスチャー感覚が一番発揮された曲を挙げるとすれば?
今井 6曲目の「New Roses」ですね。これはフランケンシュタインになった気分で、いろんなボディパーツをくっつけて力尽くで作った感じですね。大きく影響を受けたのはFaith No Moreと、Fugaziの部屋みたいなもので、あと基本カウベルはPanteraからきてます(笑)。アウトロはガレージで練習してるPanteraと言うか、本物ほどガチガチじゃない“軟弱なPantera”かな?
森山 面白いですね(笑)。
今井 歌も自分に合ったデス声を発見できたんじゃないかと思ってて、自分が思っていたよりもハイピッチな声がイケるんですよ。Brutal Truthのケヴィン・シャープが大好きなんですけど、彼やCarcassのジェフ・ウォーカーのハイトーンと照らし合わせて、家で練習もしました。みんな飲みすぎたときに吐く声、喉からの発声に近いものがあるんですよね。そういうボミットボイスも新たに開拓した曲です(笑)。
──8曲目の「Real」もゴスペル調のコーラスからだんだんとサイバー感が強まっていく独特のナンバーですが、どこか前作の「Made From Nothing」に通じる世界観がありますよね。
今井 なるほどね。確かに“無”について歌ってますし。これは今作で唯一のバラード的な曲で、電子音も多いから、このアルバムの中で一番「Made From Nothing」と近いかもしれない。曲の元ネタも一番古くて、2年間ぐらい寝かしていたサビとコード進行を持ってきたんですよ。この曲はScorpionsのライブみたいに、みんなでライターを持って揺らすやつですね。
森山 あはは(笑)。
今井 私はScorpionsのことをあまり知らないんですけど、何かのビデオで会場中がライターを揺らしてるのを見て、そのときに初めてそういう文化があるのを知ったんですよ。今はもうやらないでしょうけど。
──そういったイメージを膨らませた曲なんですか?
今井 ビート感はあの時代のヘアメタルをなんとなくイメージしてましたね。私があまり好きじゃなかったタイプのメタルと言うか(笑)。でも、子供の頃、周りでそういう曲がよく流れてたし、記憶の中からそういう要素を取り入れようと思ったんですね。大げさなフィルとか。別に皮肉ってるわけじゃないんですけど、それを電子音と組み合わせてユニークなものにしたいなと思って。
多感な時期に受けた衝撃は呪い?
──そのように今作は1曲ごとにさまざまなインスパイア源がありつつ、全体的には芯の通ったLEOさんらしい作品になってますね。
森山 曲調はバラバラでも“ある時期に聴いてた音楽”という、根源にあるものが一緒だからなんでしょうね。
今井 そうですね。でもそれはある種の呪いなんですよ。
森山 わかります。刷り込まれてるんですよね。
今井 呪いと言うか教育の一部になってて、よくも悪くも解くことができない。
──でもそういった多感な時期に耳にしたり目にした作品が、クリエイティブの源泉にもなってるんでしょうし。
今井 そうなんでしょうね。そういう部分をもっと早く出しておけばよかったと思ってて。いつチャンスがなくなるかわからないから。
好きなものを共有して直感で作品作りを
──7月には大阪と東京で本作のレコ発イベント「VLParty(a release party)」が大阪と東京で行われますね。
今井 リリースパーティに関しては、いつものワンマンとは違うことをやりたいと考えてます。「VLP」というアルバムの青写真が見えるような特別なコーナーを作ろうと思ってて、公開リハーサルみたいな感じで再現しようと。もちろんライブ本編がメインなんですが、新曲と共に、今までの曲もチョイスして、「VLP」のバンドサウンドにアップデートした馬力アップな感じでできればと思ってます。
──さらに8月6日には「メガロボクス」のライブイベント「メガロニア in SHIBUYA WWW」の開催を控えています。
今井 森山さんはラップするんですか?
森山 いやいや、やるわけないじゃないですか!(笑)
今井 私は出演します。もちろん「Bite」はやりますし、この曲はアルバムを作る根っこの創作欲に貢献したものなので、新曲を多めでやろうと思ってます。それと先ほどの森山さんのお話を聞いて「Wino」と「On Videotape」はやろうと思いました。
森山 ありがとうございます。でもアルバムを先に聴かせてもらって、こうやって対談もさせてもらったので、何を聴いても興奮しそうですけどね(笑)。
──最後に、もしまたご一緒する機会があるとすれば、今度はどんなものを作ってみたいですか?
森山 まずはもっとお話がしたいですね。何をするか決めてから作るというよりは、自分が好きなものとか映画や音楽を集めて、一緒に聴いたり観たりする時間を取って、「こういうものを作りたい」というのを探るような感じでやってみたいです。話しながら直感的に「それ!」と思うところがいちばん強いと思うし、LEOさんとならそういう作り方ができるかなと思って。
今井 うんうん、いいですね。
- LEO今井「VLP」
- 2018年7月11日発売 / 日本コロムビア
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[CD]
3240円 / COCP-40400
- 収録曲
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- Wino
- Bite
- Fresh Horses
- Tiffany
- Sarigenai
- New Roses
- On Videotape
- Real
- Car Alarm
- Need To Leave
- アニメ「メガロボクス」Blu-ray BOX
- 株式会社バンダイナムコアーツ
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2018年7月27日発売
Blu-ray BOX 1 特装限定版
14040円 / BCXA-1372- 収録内容
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- ROUND1~ROUND4(4話収録)
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2018年9月26日発売
Blu-ray BOX 2 特装限定版
14040円 / BCXA-1373- 収録内容
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- ROUND5~ROUND9(5話収録)
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2018年11月22日発売
Blu-ray BOX 3 特装限定版
14040円 / BCXA-1374- 収録内容
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- ROUND10~ROUND FINAL(4話収録)
- 公演情報
LEO今井「VLParty(a release party)」 -
- 2018年7月16日(月・祝)大阪府 CONPASS
- 2018年7月19日(木)東京都 新代田FEVER
- メガロボクス presents
「メガロニア in SHIBUYA WWW」 -
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2018年8月6日(月)東京都 WWW出演者 LEO IMAI(LEO今井、岡村夏彦、シゲクニ、白根賢一) / NakamuraEmi
(NakamuraEmi、カワムラヒロシ、朝光介[カサリンチュ]) / mabanua
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2018年8月6日(月)東京都 WWW出演者 LEO IMAI(LEO今井、岡村夏彦、シゲクニ、白根賢一) / NakamuraEmi
- LEO今井(レオイマイ)
- 1981年に東京にて、日本人の父親とスウェーデン人の母親との間に生まれる。日本語、英語が堪能なほか、スウェーデン語、フランス語も話すことができるマルチリンガルアーティスト。幼少期をロンドンで過ごし、高校生の頃に一時帰国した後、再び大学進学のためにロンドンに戻る。オックスフォード大学大学院在籍中に、日本でアーティスト活動を行うため来日。2006年9月にデビューアルバム「CITY FOLK」をインディーズレーベルから発表した。洋楽とも邦楽とも区別の付かない独特のポップサウンド、英語と日本語を絶妙に組み合わせたユニークな詞世界が特徴。2007年11月にシングル「Blue Technique」でメジャーデビューし、2008年1月には向井秀徳(ZAZEN BOYS)と吉田一郎(ex. ZAZEN BOYS)を迎えた2ndシングル「Metro」を発表。2010年に向井とのユニットKIMONOSを結成。アルバム「KIMONOS」を発売し話題を呼んだ。2013年6月、前作から約4年ぶりとなるアルバム「Made From Nothing」をリリースした。2018年1月に初のアナログ7inchシングル「On Videotape / Stumbling」を発表。7月にテレビアニメ「メガロボクス」のオープニングテーマ「Bite」を含むオリジナルアルバム「VLP」をリリースした。
- 森山洋(モリヤマヨウ)
- 「進撃の巨人」ビジュアルコンセプトや映画「ルパン三世」シリーズのプロップデザインなどを経て、2018年にテレビアニメ「メガロボクス」で初の監督を務める。