本当にマジで天才だと思った

──ザスパクサツ群馬の公式応援ソングとなっている「雨後晴」は、ライブではコール＆レスポンスやシンガロングで大きく盛り上がるようですね。

細川　そうなんですよ。LACCO TOWERの曲でシンガロングって初でしょ？

松川　うん。コール＆レスポンスをやったのも初。お客さんが勝手に「ラッコ！ラッコ！」言ってくれることは今までもあったけど。

真一　今回のアルバムにはそういう曲がけっこうあるよね。「愛情」も「♪ラララ」で歌うところがあるし。

塩﨑　「花束」もそう。最後にみんなの「♪ラララ」で終わるアンセム曲的な広がりがあるよね。ライブのエンディングにもすごく向いてる曲だと思う。

──バラード「最果」もすごくよかったです。松川さんの書く失恋の歌詞はグッときますね。

松川　LACCO TOWERには失恋曲しかないような気もするんですけどね（笑）。僕は昔からハッピーな曲を書くのが本当に苦手なので。「最果」は2番Aメロの「君の涙が作る雨に」のところから書いたんですよ。そこが出てきたことでこの曲はもう大丈夫だと思ったんで、あとはサラサラっと進みましたね。

重田　いい歌詞だよね、これね。

松川　ありがとうございます、先生（笑）。

細川　この曲は16年間ロックをやってきたバンドだからこそできるポップバラードだと思うんですよね。LACCO TOWERの強みが出てるような気がする。

真一　これができたときはマジで、本当にマジで天才だと思った。この曲のAメロは今まで作ってきたメロディの中で1番好きかもしれない。できた瞬間、「こんなバラードはもう作れないんじゃないか」って思いましたからね。まあ作ってしまうんでしょうけど。

もっとヒリヒリしたい

──で、アルバムラストには「花束」が。これは昨年のツアーファイナル、Zepp DiverCity公演で初披露されていました（参照：LACCO TOWER、初Zepp DiverCityで迎えた夢のようなフィナーレ）。結成16周年を迎えたLACCO TOWERからファンに向けた大きな感謝が詰め込まれた曲だなと。

松川　はい。ただね、これまでの活動を応援してくれたことへの感謝はもちろんなんですけど、それよりは今という瞬間を一緒に共有してくれていることに対して「ありがとう」を言いたい気持ちのほうが強かったんですよね。人間は誰しもいつかいなくなってしまうものなので、瞬間瞬間の感謝を伝えたいなって。

──人生に永遠はない、誰にでも終わりは必ず来る。だからこそ今を必死に生き、"未来"や"明日"に思いを馳せる……今回のアルバムからは、そんな生きる者としてのヒリヒリしたメッセージを感じることもできますよね。

松川　16年やってきて、さもすればバンドとして落ち着ける安定した場所にポコッとはまれる感覚もなくはないんですよ。でもそれってすごくつまんないなって思うんですよね。ここからももっとヒリヒリしたいし、もっと違う場所を求めるためにいろんなことにチャレンジしたい。いろんな姿を見せられるバンドでありたいという思いが、ここにきてより強くなってるんですよね。

塩﨑　今まではね、16年もやっていればバンドとしての形がある程度できあがって、安定した活動ができるイメージがあったんですよ。でも実際は、走れば走るほど気持ちはヒリヒリしてくるし、いつまで経っても崖っぷちだし、予期せぬ何かが常に起きる。緩く活動してればそんなことを感じることもないのかもしれないけど、「どうせやるなら」っていうスタンスが僕らには常にありますからね。安定なんて言葉は求めてないんですよ。

細川　傍から見れば僕らはキャリアもあるし、シーンの中でもある程度の位置にいるように見えるかもしれない。何も問題はなさそうだなって。でも僕らが目指してる場所は、まだこんなもんじゃないんですよ。思い描いている場所にはまだ全然行けていない。だからこそ現状に満足せず、新しいことを求め続けてるんだと思うんですよね。

──「若葉ノ頃」というアルバムタイトルが象徴的ですよね。16年経ってもなお自分たちを"若葉"だと言い切るという。

松川　そうそう。何言ってんだよって感じですけどね（笑）。

──いや、すごくカッコいいと思います。本作を引っ提げて9月に行われる初のホールツアーも楽しみです。

松川　うん。歌ってて気持ちのいい曲が多いんで、僕らもすごく楽しみです。

重田　ここまでライブが途切れることなく続いているので、いい流れでホールツアーも回れるんじゃないかなって思いますね。ホールが似合う曲も多いと思うんで、いい感じに行けると思います。

真一　アルバム制作で生まれた若葉が、ツアーが終わるころにはきっとでっかい世界樹くらいに成長してると思います。だから次のアルバムタイトルはたぶん「世界樹」になると思います！

松川　たぶん違うよね（笑）。

LACCO TOWER「若葉ノ頃」: 2018年8月22日発売 / TRIAD; [CD]
3240円 / COCP-40471

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収録曲

若葉
蜜柑
雨後晴（Album Mix）
薄荷飴
最果
狂喜乱舞
愛情
切手
非英雄
花束

公演情報

LACCO TOWER 「若葉ノ頃」発売記念ホールツアー2018「五人囃子の新時代」

2018年9月8日（土）群馬県高崎市文化会館
2018年9月16日（日）愛知県芸術創造センター
2018年9月17日（月・祝）大阪府サンケイホールブリーゼ
2018年9月24日（月・振休）東京都昭和女子大学人見記念講堂

LACCO TOWER「若葉ノ頃」発売記念ライブハウスツアー2018「五人囃子の新時代」

2018年10月7日（日）広島県 HIROSHIMA BACK BEAT
2018年10月20日（土）群馬県高崎clubFLEEZ
2018年11月11日（日）岩手県 the five morioka
2018年12月1日（土）静岡県 Shizuoka UMBER
2018年12月8日（土）東京都下北沢SHELTER

LACCO TOWER（ラッコタワー）: 2002年の結成以来、都内と群馬を拠点に活動するロックバンド。自ら“狂想演奏家”を名乗り、結成当初より楽曲タイトルはすべて「日本語ひとつの言葉」にこだわり続けている。ロック、パンク、ポップス、歌謡曲など特定のジャンルにカテゴライズされない、ソウルフルかつエモーショナルなサウンドが魅力。その叙情的な世界観とは裏腹に、攻撃的なライブパフォーマンスも人気を集めている。現在のメンバーは松川ケイスケ（Vo）、塩﨑啓示（B）、重田雅俊（Dr）、真一ジェット（Key）、細川大介（G）の5名。2013年にメンバーで「株式会社アイロックス」を設立し、自身主催のフェス「I ROCKS」を2014年から4年連続で地元・群馬県の群馬音楽センターにて開催している。インディーズレーベルからアルバム4枚を発表し、2015年6月にフルアルバム「非幸福論」で日本コロムビア内レーベル・TRIADよりメジャーデビュー。「薄紅」でフジテレビ系アニメ「ドラゴンボール超」のエンディングテーマを担当し、同曲を収めたアルバム「心臓文庫」を2016年6月にリリースした。2017年3月にミニアルバム「薔薇色ノ怪人」を発表。2017年7月に亀田誠治プロデュースの新曲「遥」で再び「ドラゴンボール超」のエンディングテーマを担当し、8月に同曲を収録したアルバム「遥」をリリースした。2018年8月に群馬のサッカークラブ・ザスパクサツ群馬の2018年公式応援ソング「雨後晴」やTBS系テレビ「CDTV」8月度エンディングテーマなどタイアップ曲を多数収録したアルバム「若葉ノ頃」を発売。