7月21日で結成15周年を迎えたLACCO TOWERが、メジャー3枚目となるニューアルバム「遥」を8月23日にリリースする。
本作は3月発売のミニアルバム「薔薇色ノ怪人」からわずか5カ月で届けられたフルアルバム。15年の活動の中で磨き続けてきたバンドとしての核をより実感し、それを信じることで生まれたというこの作品には、自然体の魅力を漂わせる全10曲が並んでいる。LACCO TOWERにとって初のプロデューサーとして亀田誠治を起用した「遥」(TVアニメ「ドラゴンボール超」エンディング主題歌)をはじめ、みずみずしい衝動を感じさせる楽曲群からはキャリアに裏打ちされた説得力と未来に向けた希望を感じられるはずだ。
音楽ナタリーではメンバー5人にインタビューを実施。彼らにとっての新たなマイルストーンになるであろう本作に込めた思いを聞いた。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 西槇太一
結成15周年記念のライブ「黒白歌合戦」
──7月17日にLIQUIDROOMで開催された「黒白歌合戦」は、なかなかすごい内容でしたね。めちゃくちゃ楽しめました(参照:LACCO TOWER、白と黒の表情見せた15周年記念ワンマン)。
松川ケイスケ(Vo) 「白の部」と「黒の部」の2部制でトータル3時間、26曲もやったんでかなり疲れましたね。
塩﨑啓示(B) 26曲をバーッと一気にやるならいいんですけど、1部と2部の間が30分くらい空いたんで、あれがわりとじわじわきたよね。
重田雅俊(Dr) その30分で全員が睡魔に襲われましたから。危ないとこでしたよ(笑)。
──バラードやミディアムナンバーを並べた「白の部」も、激しいナンバーで攻めた「黒の部」も、演奏するうえでそれぞれ違ったカロリー消費の仕方をしそうですよね。
松川 僕らとしては白のほうが大変でしたけどね。
細川大介(G) うん。バラードのほうが演奏に力が入ると言うか、気持ちを込めて弾かなきゃって意識が強くなりますからね。それを連続でやるとなるともうね、疲れちゃう。
松川 なんかごめんなさいね、感想が「疲れた」ばっかりで(笑)。
──あははは(笑)。あのライブはLACCO TOWER結成15周年を記念したものでしたが、これまでの軌跡をしっかり振り返ることもできたんじゃないですか?
細川 そうですね。ひさしぶりにやる昔の曲もけっこうあったんですけど、それが最近の曲と並んだときにまったく違和感がなかったんですよ。それはつまり、当時から高いクオリティで楽曲を作れていたってことでもあるわけで。そこに気付けたのは大きかったです。
松川 歌詞に関しても、昔の曲を歌うことで「若いながらいいこと書いてんな」って改めて思ったところはありましたね。手前みそですけど(笑)。で、それを今の自分が歌うことでより説得力が出るところもあったり。そういう感覚は面白かったですね。
重田 若気の至りだなって思うアレンジもあったけど、それを今の俺らがやるとまた違うニュアンスが出せるしね。
真一ジェット(Key) 僕は演奏しながら、それぞれの曲を作っていた時期の思い出がよみがえってきました。「あー、この曲作ってるときはあの子に嫌われたな」「この曲のときはあの子に嫌われたな」とか。
塩﨑 何があったんだよ!(笑) でもそういう思い出は本当によみがえったな。「白の部」の1曲目に「白」(2009年リリースのミニアルバム「短編傷説」に収録)をやったんですけど、あの曲を出した頃はメンバーが重田、塩﨑、松川の3人になってしまった時期でもあって。そういう思い出がフラッシュバックする瞬間は確かにありましたね。
細川 当時100人とか150人の前でやってた曲を、今回1000人くらいの前で演奏できたことで、改めてその曲の輝きを知ってもらえる機会にもなったしね。そういう意味では曲たちも喜んでくれたんじゃないかな。
バンドとしては発信し続けるしかない
──そんなライブを経て16年目へと突入したLACCO TOWERからニューアルバム「遥」が届けられます。ミニアルバム「薔薇色ノ怪人」から約5カ月というハイペースでのリリースに驚きました。
松川 「薔薇色ノ怪人」と同時進行で今回のアルバムの曲の制作もずっとやっていたんですよ。本当、毎日制作し続けてました。
真一 去年やった「心臓文庫」のツアー中からもう制作を始めてましたね。表題曲の「遥」なんかはまさにそのツアー中に作った曲だし、ほかにも同時期にできた曲が今回は多いですね。
塩﨑 あわよくば2016年のうちに出したいくらいの気持ちだったんですよ。
──昨年6月にはフルアルバム「心臓文庫」をリリースしていたのに? そのスピード感にはどんな理由があったんですか?
塩﨑 いやもう、バンドとしては発信し続けるしかないじゃないですか。ツアー中はライブだけの活動になりがちだけど、僕らは常に追い込まないとダメだなっていう気持ちが大きくて。だから前回のツアーファイナルの前にレコーディングもやってました。ライブとレコーディングのテンションはまたちょっと違うんで大変なところもあったんですけど、でもがんばって録ってましたね。曲を作る真一は特に大変だったと思う。
細川 ギターもツアー中のホテルにレコーディング機材を持ち込んで録ったりしてましたからね。それくらいしないと間に合わないと思ってたんで。
真一 正直、「薔薇色ノ怪人」のレコーディングが終わったタイミングで僕の気持ちの糸が切れちゃって。全然曲が出てこなくなっちゃったんですよ。その状況からどうやって復活したかは全然覚えてないんですけど(笑)、そういう時期も乗り越えて今このアルバムを世に出せるのはみんなががんばってくれたおかげだなと思いますね。すごく感慨深いです。
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LACCO TOWERの根幹をわかりやすく表現したメジャー3作目
- LACCO TOWER「遥」
- 2017年8月23日発売 / 日本コロムビア
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[CD] 3240円
COCP-40093
- 収録曲
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- 遥
- 喝采
- 純情狂騒曲
- 葉桜
- 夜鷹之星
- 火花
- 擬態
- 夕顔
- 葵
- 夕立
- LACCO TOWERワンマンツアー「遥なる軌跡」
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- ~遥なる仙台~ 2017年9月17日(日)宮城県 仙台MACANA
- ~遥なる新潟~ 2017年9月24日(日)新潟県 CLUB RIVERST
- ~遥なる梅田~ 2017年10月1日(日)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
- ~遥なる福岡~ 2017年10月8日(日)福岡県 Queblick
- ~遥なる名古屋~ 2017年10月15日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- ~遥なる高崎~ 2017年10月21日(土)群馬県 高崎clubFLEEZ
- ~遥なるフィナーレ~ 2017年10月28日(土)東京都 Zepp DiverCity Tokyo
- LACCO TOWER(ラッコタワー)
- 2002年の結成以来、都内と群馬を拠点に活動するロックバンド。自ら“狂想演奏家”を名乗り、結成当初より楽曲タイトルはすべて「日本語ひとつの言葉」にこだわり続けている。ロック、パンク、ポップス、歌謡曲など特定のジャンルにカテゴライズされない、ソウルフルかつエモーショナルなサウンドが魅力。その叙情的な世界観とは裏腹に、攻撃的なライブパフォーマンスも人気を集めている。現在のメンバーは松川ケイスケ(Vo)、塩﨑啓示(B)、重田雅俊(Dr)、真一ジェット(Key)、細川大介(G)の5名。2013年にメンバーで「株式会社アイロックス」を設立し、自身主催のフェス「I ROCKS」を2014年から4年連続で地元・群馬県の群馬音楽センターにて開催している。インディーズレーベルからアルバム4枚を発表し、2015年6月にフルアルバム「非幸福論」で日本コロムビア内レーベル・TRIADよりメジャーデビュー。「薄紅」でフジテレビ系アニメ「ドラゴンボール超」のエンディングテーマを担当し、同曲を収めたアルバム「心臓文庫」を2016年6月にリリースした。2017年3月にミニアルバム「薔薇色ノ怪人」を発表。2017年7月に亀田誠治プロデュースの新曲「遥」で再び「ドラゴンボール超」のエンディングテーマを担当。8月に同曲を収録したアルバム「遥」をリリースする。