LACCO TOWER|17年目のロックバンドが

前作で自信を得て自然体でプレイできるように

──重田さん、塩﨑さんは今回、演奏に関してどうアプローチしましたか?

重田雅俊(Dr) 今回は楽曲の幅が広いぶん、「非英雄」のような今までにないアプローチもあるにはあるんだけど、基本的にはシンプルにやった感覚はありますね。スローテンポならスローテンポ、8ビートなら8ビートに振り切ってやることでアルバム全体としてのメリハリをしっかり出そうかなと。今回はほとんど悩まなかったっすね。真一……天才がデモで提示してきたビートと、僕の中で鳴ってるビートが近かったっていうのもあったし。

塩﨑啓示(B)

塩﨑 じゃあ、おまえも天才ってことじゃん。

真一 天才ってことだな。

重田 ……え?(笑)

──今までだと真一さんから提示されたビートと重田さんの中のイメージにギャップがあることも多かったんですか?

重田 昔はすごいありました。真一の家まで行って、「ここをこうしたいんだけど」って言ってガラッとビートを変えたこともけっこうあったし。それが今回はほぼなかったからすごくスムーズでしたね。バンドとしての月日が経ったことで、メンバー同士が思い描く曲に対しての意識が近くなっているのかなって。今回の制作ではそれをより強く感じました。

──塩﨑さんはどうですか?

塩﨑 さっき大介も言ってたけど、今までは頭でっかちに考えてフレーズを作って演奏することが多かったと思います。でも今は本当に自然体でプレイできているんですよ。それはね、前作の「遥」という曲を亀田(誠治)さんにプロデュースしてもらったときに、「君のベースはすごくいいから、そのままで行こう」って言ってもらえたことがすごく自信になってるから。あの亀田さんに褒めていただけたことで、俺は俺らしいことをやればいいんだって強く思えるようになったんですよね。だから今回は自信を持って堂々としたプレイができたと思ってます。

普通のことを普通に言えることのカッコよさに気付いた

──ではいくつかピックアップして曲についてのお話を。まずは1曲目「若葉」。FM ぐんまの高校野球中継テーマソングとして書き下ろされたそうですね。

真一 タイアップである“高校野球”をヒントとして、ド明るい雰囲気ではなく、ちょっと哀愁みたいなものを含んだ曲にしたかったんですよね。頭のサビとイントロの30小節に命をかけて、そこができた瞬間、「あ、この曲は完成だ!」って思いました。で、残りは30秒くらいで作ったんですけど。

松川 なんで嘘つくの? その嘘いる?

真一ジェット(Key)

真一 ……流れている時間の感じ方が違ったんだと思います。天才なので。

──(笑)。みずみずしい蒼さを感じるグッドメロディが印象的ですよね。歌詞はラブソングのようであり、今のバンドのことを歌っているようでもあり。

松川 実は僕、今回の10曲の中でこの「若葉」だけはまったくの“無”で詞を書いたんですよ。言葉の響きは大事にしたし、Dメロの部分は今の自分として言いたいことではあったけど、それ以外の部分の意味合いはそれほどないと言うか。アルバムの入り口なので、何も考えず、それぞれ自由な受け止め方をしていただければいいかなと。

──でもそれが結果として、アルバムのタイトル曲的な役割として意味を持ったということなんですかね?

松川 この曲は制作の最後のほうにできたこともあって、そういう意味が自然と出てきたところはあったかもしれないですね。まあでも僕としては、この曲は音として皆さんの耳に残ってくれればいいかな。一方では新しいLACCO TOWERの可能性が見えた気がした「薄荷飴」のような歌詞もあるんでね、いろんな楽しみ方をしてもらえたらうれしいです。

──本作には“未来”“明日”というワードが使われた曲が多いのも印象に残りました。松川さんの今のモードが影響しているんですかね?

松川 確かに今のモードは関係あると思います。今回はタイアップ曲が多かったりして、周りのスタッフや関係者の方に支えられている感じが自分の中にはすごくあったんですよね。そういう状況の中で先を見ながら書いた歌詞が多いから、自然とそういうワードが多くなったのかもしれない。

──また、「雨後晴」なんかが顕著ですけど、ストレートに思いを吐露する歌詞も多くなっているような。

松川 うん。それは前作くらいからの傾向なんですけど、自分の中の価値観が変わってきたからだと思います。普通のことを普通に言えることのカッコよさがわかってきたと言うか。だからストレートに書く歌詞も増えてきたんだと思います。

LACCO TOWER「若葉ノ頃」
2018年8月22日発売 / TRIAD
LACCO TOWER「若葉ノ頃」

[CD]
3240円 / COCP-40471

Amazon.co.jp

収録曲
  1. 若葉
  2. 蜜柑
  3. 雨後晴(Album Mix)
  4. 薄荷飴
  5. 最果
  6. 狂喜乱舞
  7. 愛情
  8. 切手
  9. 非英雄
  10. 花束

公演情報

LACCO TOWER 「若葉ノ頃」発売記念ホールツアー2018「五人囃子の新時代」
  • 2018年9月8日(土) 群馬県 高崎市文化会館
  • 2018年9月16日(日) 愛知県 芸術創造センター
  • 2018年9月17日(月・祝) 大阪府 サンケイホールブリーゼ
  • 2018年9月24日(月・振休) 東京都 昭和女子大学人見記念講堂
LACCO TOWER「若葉ノ頃」発売記念ライブハウスツアー2018「五人囃子の新時代」
  • 2018年10月7日(日) 広島県 HIROSHIMA BACK BEAT
  • 2018年10月20日(土) 群馬県 高崎clubFLEEZ
  • 2018年11月11日(日) 岩手県 the five morioka
  • 2018年12月1日(土) 静岡県 Shizuoka UMBER
  • 2018年12月8日(土) 東京都 下北沢SHELTER
LACCO TOWER(ラッコタワー)
LACCO TOWER
2002年の結成以来、都内と群馬を拠点に活動するロックバンド。自ら“狂想演奏家”を名乗り、結成当初より楽曲タイトルはすべて「日本語ひとつの言葉」にこだわり続けている。ロック、パンク、ポップス、歌謡曲など特定のジャンルにカテゴライズされない、ソウルフルかつエモーショナルなサウンドが魅力。その叙情的な世界観とは裏腹に、攻撃的なライブパフォーマンスも人気を集めている。現在のメンバーは松川ケイスケ(Vo)、塩﨑啓示(B)、重田雅俊(Dr)、真一ジェット(Key)、細川大介(G)の5名。2013年にメンバーで「株式会社アイロックス」を設立し、自身主催のフェス「I ROCKS」を2014年から4年連続で地元・群馬県の群馬音楽センターにて開催している。インディーズレーベルからアルバム4枚を発表し、2015年6月にフルアルバム「非幸福論」で日本コロムビア内レーベル・TRIADよりメジャーデビュー。「薄紅」でフジテレビ系アニメ「ドラゴンボール超」のエンディングテーマを担当し、同曲を収めたアルバム「心臓文庫」を2016年6月にリリースした。2017年3月にミニアルバム「薔薇色ノ怪人」を発表。2017年7月に亀田誠治プロデュースの新曲「遥」で再び「ドラゴンボール超」のエンディングテーマを担当し、8月に同曲を収録したアルバム「遥」をリリースした。2018年8月に群馬のサッカークラブ・ザスパクサツ群馬の2018年公式応援ソング「雨後晴」やTBS系テレビ「CDTV」8月度エンディングテーマなどタイアップ曲を多数収録したアルバム「若葉ノ頃」を発売。