LACCO TOWER「変現自在」 PR

LACCO TOWER|5人は何色にもなれる 18年目の初期衝動

結成18年目のロックバンド、LACCO TOWERが8月21日にメジャー5作目となるフルアルバム「変現自在」をリリースした。

本作には、LACCO TOWERがまた1つ進化を遂げたと言えるようなリード曲「若者」をはじめ、「伊勢崎オートレース 2019 イメージソング」の「地獄且天国」、「2019 ザスパクサツ群馬公式応援ソング」の「夜明前」など、強力なナンバー全10曲が収録されている。

音楽ナタリーではメンバー全員にインタビューを実施。新作「変現自在」の話題を中心に、バンドが迎えていた正念場など、アルバムの背景にあった5人の思いまで、赤裸々に語ってもらった。

取材・文 / 田山雄士 撮影 / 竹中圭樹

ようやくすがすがしくなれた

──前作「若葉ノ頃」のリリースから1年が経ちました。この1年を振り返って、新作「変現自在」にどうつながっていったと感じていますか?

真一ジェット(Key) 去年初のホールツアーを経験させていただいて、世界が広がった気がするんです(参照:LACCO TOWER“五人囃子の新時代”を見せつけた初ホールツアー終幕)。その後の2度目のホールツアー(「五人囃子の文明開化」)と「I ROCKS 2019」(LACCO TOWER主催のライブイベント)も大きくて、「まだまだこんなに自分たちの可能性ってあるんだな」という思いのまま、「変現自在」の制作に入れた感じで。ホールで映える曲を意識して作ったわけではないんですけど、今回のアルバムは結果的により広いステージで奏でたい曲が多い印象がありますね。ホールに立って曲を演奏したときの広がりやうねりを目の当たりにして、「僕らの音楽はもっと多くの人に届けられるんじゃないか」と思ったことが表われてるんじゃないかなと。

塩﨑啓示(B) バンドとして17周年を迎えたところなんですけど、真一が言った通り、ホールでやってみて「こんな広がりがあるのか!」と楽曲に対する信用がここに来て増した感じがあったんですよね。だから、ライブハウスツアー(「五人囃子の新時代」)と2度目のホールツアーもやらせてもらって。そこで過去の曲とも向き合えた中、「変現自在」は自分たちがどんな表情や動きをしながらライブしてるかをイメージしながら作れた気がします。今まではそういう感覚があまりないまま、音源だけをイメージしていたなと思う。

松川ケイスケ(Vo)

松川ケイスケ(Vo) 一方で、すごく忍耐のいる1年でしたね。メジャーでやらせていただいたキャリアとバンドとして重ねてきたキャリアが影響してか、よくも悪くも「落ち着く場所」を探しに行ってる感覚があって、そういった感覚に対する疑問があったり。こんなに狭いチームなんだけど、腹の探り合いみたいなのをしなきゃいけなかったりして。それが雪解けするまでしっかり耐えるような……今思えば、そういう時間を過ごしてきた感じもします。

──見えない部分で、そんな思いもあったんですね。

松川 やっぱり17年やってきた中でなあなあになってた部分があって、「言わなくてもなんとなくわかるよね?」的なところが「本当に言わなきゃわからない」状況になっていたり。病気のようなものなんですよね。普通に生活はできるんだけど、なんでかずっと健康診断に引っかかるみたいな感じ。それに耐え忍んできて、このアルバムができて、今年の「I ROCKS」が終わったあたりで、言葉にならないものがだんだん言葉になってきたというか。ようやくすがすがしくなれた気がしますね。

細川大介(G)

細川大介(G) LACCO TOWERと改めて向き合った1年になったよね。本当にありがたいことに、メジャーでこれまで4枚のフルアルバムを出させていただいて。でも、メガヒットを出すことはできなくて。「バンドがこの先どこに向かっていくべきなんだろう」とみんなそれぞれ感じてはいると思ったんですけど、ちゃんと話す場が持てないまま、なんだかんだ活動の規模は大きくなっていって、ホールツアーもやるようになっていく中で、それゆえにというか……メンバーがこうやって近くにいるのに、逆に遠くにいる感覚もあったかな。他愛もない冗談とかは話すんですよ。

──メンバーの仲がすごくいい印象ですからね、LACCO TOWERって。

松川 そうそう、仲はええんよな(笑)。

細川 うん。仲悪いとかじゃない。ただ、悪い意味で大人になってきてたかな。ケンカもしなくなっていってたし、「本当はこう思ってるんだけど、言わなくてもいいでしょ」みたいな感じにどんどんなってました。だから、次もう1回アルバムを出せるなら、もっとメンバーと話をしてわかり合っていかないといけないんじゃないかという思いで、今回は初めてプリプロをやったり、なるべくみんなでいっしょにいる時間を増やしたり。制作中にいろんな話をしましたね。

松川 17年間のうち、スタッフなしのメンバー5人だけで話したことって今までに4回あるんですけど、そのうちの2回がここ数カ月の出来事なんです。

塩﨑 今までの2回は、ライブ終わりでたまたまスタッフがいないとかだったけどね。

松川 最近のは明確に「5人で集まろうか」って感じやもんな。そんなのなかったんですよ! これだけ一緒にいると、真面目に話すのが照れくさいし。

真一 仙台のライブ(7月7日)のときも、終わったあとに5人で飲みに行って。

重田雅俊(Dr)

重田雅俊(Dr) 話さないとわからない部分を話せたことによって、お互いの意志が確認できました。「誰が抜けてもLACCO TOWERじゃないから、解散はしないぞ!」という結論まで出せたし、「変現自在」のリリース前、レコ発ツアーの前に、メンバー全員がしっかり同じ方向にベクトルを向けられたのは本当によかったと思いますね。今は「自分たちがもっと行けるんじゃないか」という期待があるんです。

──アルバムのリリースを発表した際に「未来のように敷かれている『着地点』こそ変えるべきなんじゃないのでしょうか」というケイスケさんのコメントがありましたけど、話を聞いていてそのテーマに向かった理由がわかった感じがします(参照:LACCO TOWER新アルバムは「変現自在」、新曲も配信リリース)。

松川 本当に自分たちの気持ちの回収と言いますか。アートワークやアルバムタイトルも今回は僕が責任を持って考えさせていただいて、これまでのメジャーでの経験を含めて、すべての伏線を回収していったような感覚がありました。ジャケットはメジャーデビューアルバムの「非幸福論」を踏まえたデザインで、何かに変わる瞬間を色と自分で表現したくてこういうアートワークにしていて、ブックレットを開くとメンバーがそれぞれ写ってるんです。色合いはとにかく明るいものにしたかったんですよ。

塩﨑 初めてですよ、こんなに色鮮やかなジャケは。

細川 「黒」「白」というLACCO TOWERが持つ二極の側面はこれからも大切にしていくんですけど、それ以外のカラーもあるんじゃないかなと思ったりしてますね。今回のアルバムは曲を聴いたときに5人の色がくっきり浮かぶような、各自が何をやってるのかわかるような、全体的にスッキリしたミックスにしてあるんです。

ウニみたいになるアルバム

──プリプロの話もそうですけど、アルバムの作り方はこれまでと変わったんでしょうか。

松川 そうですね。基本的に曲を持ってきてくれるのは真一なんですけど、そのタイムキープを(細川)大介にコントロールしてもらったりとか。

細川 いつまでに何曲作る、プリプロやレコーディングの日を決めてスタジオを押さえるといった、アルバムの年間スケジュールですね。その中で真ちゃんと「こういう曲を作るのどうかな?」とかいろいろ話をしながら、イメージを擦り合わせていきました。

松川 メンバーと意志を伝え合う場面はおのずと増えたよね。

細川 そうそう。曲作りにしても、これまでは「真ちゃんが絶対にいい曲を持ってくる」とわかっちゃってる部分があった。そこで「いいんじゃない?」で進めちゃうんじゃなくて、例えば「いい曲なんだけど、こういう曲を入れたほうがいいと思うんだ」みたいに、もっといいものにする努力をしなきゃいけなかったんですよね。今回はそのあたりも話をするようになって。

真一 曲順もメンバーそれぞれ「どんな感じが好きなのか」とか。

松川 服や絵もだけど、「なんで好きなのか」をロジカルに説明しようとするのは野暮だったりするじゃないですか。作ってるときにいろいろ言われると、「ロジカルに組み上げたものが果たしていいと感じてもらえるのかな」って気持ちもあったり。そこのせめぎ合いはあったんですが、今まで僕らがそういうことをしてこなさすぎたので、入り込んで話せたのは曲のボトムアップにつながってよかったと思います。

──挑戦することを始めた原点を思い出したような感覚ですか?

真一ジェット(Key)

真一 そうですね。原点、初心、初期衝動をもう一度感じながら作れたと思います。「やりたいことをやる」っていうコンセプトがあったのと、すべての曲を1つひとつとがったものにして、合わさったときにウニみたいになるアルバムにしたかったんですよ。

塩﨑 ウニッ!?

松川 ここまでけっこう探す時間あった中で、海産物で例えてきたな!(笑)

真一 丸のイメージじゃないんですよ。六芒星みたいにそこまで形が整ってなくていい。ちょっと触ったときに「痛っ!」くらいのアルバム。となると、俺が今一番いい例えだと思ったのがウニ!

松川 アルバムに「六等星」っていう曲も入ってるし、なんかややこしいねん!

細川 とにかく「自分たちが好きなことをやりたくて会社を作って、好きなことをやってるんだけど、それなのにどこかでブレーキをかけてるところがあるんじゃないか」って話はケイスケともしたんですよ。なので「この曲すごく激しいから、もうちょっと聴きやすくしたほうがいいかな」みたいな、周りを意識した考え方はほぼ捨てましたね。やりたいように振り切って作れたアルバムです。

塩﨑啓示(B)

塩﨑 僕が好きな言葉で「丸くなるな、星になれ」ってのがあるんですけど、そういうとがり方はしたかったですね。前作の「若葉ノ頃」はLACCO TOWERらしさができあがってた感じがあって、型にはめ込みやすかったんですよ。

真一 前作はタイアップ先行が多かったのもあるしね。

塩﨑 うん。でも、今回はそれじゃダメだなと思って。「プリプロがあるからまずはとにかく思いっきり弾いてみて、イマイチだったらあとで引き算すればいい」という考え方で作っていきましたね。僕個人のことで言うと、「夜明前」を15年ぶりにピックで弾いてみたりとか。2019年のザスパクサツ群馬の公式応援ソングでもあったので、チームの状況を含め、少しでも何かを変えたかったんです。きれいな指弾きじゃなくて、あえて荒々しく挑んだというか。こだわりを覆して、自分が少し変われた部分ですね。