ナタリー Super Power Push - きゃりーぱみゅぱみゅ
なんだこれ!?な2ndアルバム「なんだこれくしょん」
きゃりーぱみゅぱみゅ×森山直太朗対談
前回のナタリーのインタビューで「今気になる人は?」の質問に対して、きゃりーが挙げたのが森山直太朗の名前。それならとばかりに、今回の特集ではきゃりーと森山直太朗の対談をセッティングした。2人の間に流れる絶妙な空気感をぜひ味わってもらいたい。
きっかけは洞窟で迷子になった話
きゃりーぱみゅぱみゅ こんにちはー。
森山直太朗 おひさしぶりです。呼んでもらえて光栄です。
きゃりー わ、本当ですか?
森山 今をときめくきゃりーさんから対談相手に選んでもらって、「なんでなんだろう?」ってものすごい不思議なんですけど。
きゃりー あの、以前「スペシャエリア」に出演していただいたときから、すっごい面白い方だなって思ってて。いろんなところで「2012年に一番面白かった人は森山直太朗さん」って言ってるんですけど。
森山 マジすか。あのとき何話したかもちょっとあんまり覚えてなくて。
きゃりー なんか洞窟で迷子になった話みたいなの……。
森山 あー、はいはい。別に音楽バラエティとかで話さなくてもいいような話を一生懸命してましたね。
きゃりー 私は普通に迷子になったのかと思ったら、心の闇の迷子みたいな話で(笑)。予想外すぎて、すごい面白かったです。
森山 でもそのとききゃりーさん薄く笑って「へえ……」みたいな感じだった気がするけど。
きゃりー いやいや、私普段はもっと笑ってないです。あの回たぶん今までで一番笑ってたと思う。
森山 本当に? よかった。面白いって言われるのが僕一番落ち着くんで。ライブのあと楽屋に挨拶来てくれる人とかっているじゃないですか。そういうとき「面白かった」って言われるのが一番ホッとするんですよ。
きゃりー でも緊張しますよね、楽屋挨拶行くときって。
森山 まあね、半分くらい寝ちゃったライブとかは……。
きゃりー いや! それはないですよ。え、寝てるんですか?
森山 寝てないですけど。でもほら、半分くらいは……なんつうの?(笑) でもライブ終わってからその人にかける言葉ってけっこう困ったりしません?
きゃりー 困りますね。しかも私、人見知りで。この前サカナクションのライブに行ってきたんですけど、5人並ぶと「俺たちサカナクションです!」みたいな感じが強くて。
森山 え、どういうこと?
きゃりー 相手が1人だと「すごいよかったです」とか普通に言えるんだけど……。
森山 あー、グループ相手は難しいよね。ていうか人見知りなんだ?
きゃりー すごい人見知りです。だからなんかクールな感じに誤解されちゃって。
森山 わかります。僕も今でこそアレですけど、デビューしたてのときはとがってたと思う。外出るときマスクとかして「俺本当そういうんじゃないですから……」っていう(笑)。
きゃりー あはは(笑)。
森山 ちょっとストイックな自分を演出してたほうがいいのかなって。感じ悪いなって思われてたと思う。でも結局そういうの続けられなくて(笑)。だからもう最近は全然そういうのないです。でもいいんじゃないですか? 曲を聴いてもらって、それを面白いなって思ってもらえるのが一番いいですからね。
「この人と会うのは最後だ」という設定
森山 結局人見知りの人って「私、人見知りって思われてないかな?」っていうことが気になって、それがイヤなわけじゃないですか。
きゃりー そうなんです。特に私はポップなイメージが先走りすぎちゃって、明るくて「イエーイ!」みたいな子だと思われてるから。
森山 でも大丈夫だと思いますけどね。勘のいい人は、根っからそういう子だとは思ってないから。なんかこう1周して、面白がってやってる感じはたぶんみんなにも伝わってると思うし。
きゃりー あ、でも「イエーイ!」ってなるときもあるんですよ。20歳になってお酒を飲めるようになったので、飲むと陽気になってみんなですごく盛り上がったり。中田ヤスタカさん主催のイベントに行ったときにそういう世界を知りました。
森山 じゃあ酒の席だと?
きゃりー もう全然しゃべれます、誰とでも。飲むとけっこう変わりますね。
森山 じゃあそのときの感覚を覚えておいて、Mステ出てるときとかもそういうふうにすればいい。タモさんと肩組んで「このサングラスどこのなの? どこのなの?」みたいな。
きゃりー あはは(笑)。
森山 あとコミュニケーションの話で言うと、設定として「この人と会うのは最後だ」って思っちゃうのがいいですよね。そうするといろんなことが楽になる。少なくとも取り繕うことはなくなるし。ライブとか舞台でもそうだけど、その感覚があるとすごく振り切ってやれたりするっていう。
きゃりー あー、それわかります。私も高校生のときに友達と電車乗ってて、「もうこの人たちには二度と会わない」と思って、知らない人に「イエーイ!」とかやってました(笑)。
森山 え、知らない人に?
きゃりー そうです。ドア閉まって電車がゆっくり発車していくときに「ウエーイ!」って。
森山 すげえ(笑)。レベル高いですね、それ。
きゃりー ふふふ(笑)。
まばたきをしないイメージ
きゃりー 森山さんって趣味とかあるんですか?
森山 もちろんありますよ(笑)。僕は体を動かすのがけっこう好きなので、まあサッカーやったりジョギングしたり……。
きゃりー 運動!
森山 そう、運動。でもそれ以外はあんまりないかもしれないですね。
きゃりー 森山さんとお話するの今日で2回目ですけど、やっぱりいい意味で変わってますよね。オーラというか、なんか不思議な雰囲気がすごいある。
森山 自分のことはよくわかんないんですけど、俺から見たきゃりーさんは、まあ飄々としてますよね。あと印象としてはまばたきをしない。
きゃりー え? 私まばたきしてないですか?
森山 や、人間だししてるとは思うんですけど(笑)。印象の話で、たぶん感情を顔に出さないっていうか、それがまばたきをしないっていうイメージなのかも。
きゃりー すっごいめちゃくちゃ楽しいのにそれがあんまり外に伝わんなかったり。
森山 あー、だからそれがちょっと喰えない、つかみどころがない印象になってるんじゃないですかね。どこまで本気でやってるのかわかんない。で、そのわからないっていうのはものすごく大事なことで。興味につながるんですよね。それはセルフプロデュースなのかもともと持ってる感性なのかわかんないですけど。
きゃりー 私けっこう性格があまのじゃくなところがあって、みんなが予想しないことをやるのが好きなんです。新曲も「インベーダーインベーダー」っていう曲だから、きっとみんな銀色の衣装とか宇宙船とかイメージしてるんだろうなって思ったから、まったく関係ナシにヘンな古着をたくさん集めた服を着て。
森山 へえ。そういうのも自分で?
きゃりー そうです。自分で考えて。
森山 なるほど。僕はたぶんあんまり考えてないです。曲作りも「これ面白いな」っていう感覚だけを頼りにやってますね。ほんと好きなようにやってるだけなんで。
きゃりー ですよね。今日も前回テレビでお会いしたときと全然変わらなくて安心しました。
森山 マジすか。よかった。
きゃりー ほんと超楽しかったです。これからも仲良くしてください。
森山 ああ、もうぜひ。だってお酒飲むんだもんね。
きゃりー 飲みます飲みます。ぜひまたよろしくお願いします!
森山直太朗(もりやまなおたろう)
1976年東京生まれのシンガーソングライター。フォークシンガーの森山良子の実子で、お笑い芸人の小木博明(おぎやはぎ)は義兄にあたる。2001年3月にインディーズからミニアルバム「直太朗」を発表し、2002年10月にアルバム「乾いた唄は魚の餌にちょうどいい」でメジャーデビュー。2003年3月に発表したシングル「さくら(独唱)」が異例のロングヒットとなり、100万枚を超えるセールスを記録した。また、その後も2008年にリリースされた16thシングル「生きてることが辛いなら」など話題曲を発表。2013年4月に最新アルバム「とある物語」をリリースした。10月からは「森山直太朗コンサートツアー2013~2014『自由の限界』」の開催が決定。23都市28会場を回る。
- 2ndアルバム「なんだこれくしょん」 / 2013年6月26日発売 / unBORDE
- 初回限定盤 [CD+DVD+フォトブック] / 3800円 / WPZL-30633~4
- 通常盤 [CD] / 3150円 / WPCL-11518
CD収録曲
- なんだこれくしょん
- にんじゃりばんばん
- キミに100パーセント
- Super Scooter Happy
- インベーダーインベーダ—
- み
- ファッションモンスター
- さいごのアイスクリーム
- のりことのりお
- ふりそでーしょん
- くらくら
- おとななこども
初回限定盤DVD収録内容
- 「ファッションモンスター」ビデオクリップ
- 「ふりそでーしょん」ビデオクリップ
- 「にんじゃりばんばん」ビデオクリップ
- 「インベーダーインベーダー」ビデオクリップ
きゃりーぱみゅぱみゅ
1993年東京生まれ。フルネームはきゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅ。高校生のときから原宿系ファッションモデルとして活動し、キュートなルックスとブログでの奔放な言動が話題を集める。2011年8月にはワーナーミュージック・ジャパンから中田ヤスタカ(capsule)プロデュースによるミニアルバム「もしもし原宿」でメジャーデビュー。2012年は5月に1stフルアルバム「ぱみゅぱみゅレボリューション」をリリースした後、初の全国ツアー、初の日本武道館ワンマンライブ、「NHK紅白歌合戦」初出場と怒涛の快進撃を続ける。2013年も1月、3月、5月にシングルを発表し、2月からはヨーロッパ、アジア、アメリカを回る初のワールドツアーを開催するなど、より精力的に活動。6月には2ndアルバム「なんだこれくしょん」をリリースした。
2013年6月26日更新