コブクロ「QUARTER CENTURY」インタビュー|まだまだ旅の途中、25周年の集大成に込めた決意 (3/3)

このメロディにはこの歌詞しかない

──そのほか、アルバムで初出しの新曲は「雨」「Blame It On The Love Song」ですね。

小渕 候補はもうちょっとあったんですけど、この2曲は真逆のイメージだし、同じような曲はないからいいなと思って。とにかく歌詞にこだわって、「このメロディにはこの歌詞しかない」というのを考えました。

──小渕さんは黒田さんが入院されている期間に「今できることを」とたくさん曲を作っていたそうですが(参照:コブクロ黒田俊介が急性肝炎を発症、全国ツアーさいたまスーパーアリーナ公演の開催見送り決定)、あの期間だったから生まれた楽曲、もっと言えば思考の方向性もあったのかなと思います。

小渕 そうですね。あの期間がなかったら、アルバムの内容も全然変わってたんじゃないかと。時間がたっぷりある中で作れましたからね。

──新曲もまさに今ここに収まるべき2曲だったんだろうなと。

小渕 歌詞を大事にするのは変わらず、どの曲もずっと妥協なくやってきているんですけど、もっと妥協がなくなるのは、先にメロディができたものなんですよね。

──というと?

小渕 先に書きたい歌詞があると、歌詞をバーッと書いて、この言葉の意味が伝わるメロディならよし、となるんです。ロックかもしれないし、レゲエかもしれない。出口はいくらだってある。でも先に1つのメロディができて、それを損なわない歌詞を突き詰めていくと1個しかないんですよ。中途半端なものを書きたくないから、アレンジして、弦を入れて、それをまた100回も200回も聴いて、景色がはっきり見えてポロッと言葉が出てくるまでは書きたくない。この2曲も、そうやって書き出しました。

──新曲がその思いとともにリスナーに届くといいですね。

小渕 そうですね。「Blame It On The Love Song」は、僕らのデビュー当時にずっとプロデュースをしてくださっていた笹路正徳さんにアレンジをしていただきました。新曲2曲、聴き込めば聴き込むほど「ここ、こうなってるんだ」「なんでここにハモリが入ってるんだろう」と、隅々まで楽しんでもらえるような仕上がりになったと思います。

──アルバムを締めくくるのは、大阪・関西万博オフィシャルテーマソングである「この地球(ほし)の続きを」。来年、そしてこの先へと向かう勢いが伝わってくる曲順だと思いました。

小渕 ほかの曲もいろいろ並べてみた結果、この曲でしか終われなかったですね。これは自分で書いて、聴いてて思ったことなんですけど、「RAISE THE ANCHOR」には「この目で未来を見た者など 何処にも居ないさ」、「この地球(ほし)の続きを」には「未来見に行こう」という歌詞があって。「だから未来を模索するんだ」「わくわくする未来を見に行こう」というように、1曲目と最後で意味的にループしてるんです。未来の書き方がそれぞれ違うのも面白いなと思いました。

25周年を最高の通過点として

──8月には全国ツアー「KOBUKURO 25TH ANNIVERSARY TOUR 2024 "QUARTER CENTURY"」が始まります(※取材は7月に実施)。

小渕 この25年、一緒に旅をしてくださっている皆さんと、また旅の1ページをともにできる。そういう意味でも過去最高のツアーにしなきゃいけないと思ってますので、ぜひ楽しんでほしいですね。

黒田 どえらいセットリストになってるんで、がんばります。

──そのツアーが終わると、来年はいよいよ大阪・関西万博。ぜひ「この地球(ほし)の続きを」で盛り上げていただきたいなと思います。

黒田 会場で歌わせてもらう機会があったらいいなと思うんですけど。

小渕 勝手に歌うのもアリかも(笑)。で、会場に来た人に「今日、黒田見た?」「見た見た!」「あいつまた歌ってたわ」って、いろんなところで目撃される。そしてTikTokに動画が上がるっていう(笑)。

黒田 (笑)。

小渕 万博でコブクロが毎週ストリートやってるみたいな感じも面白い(笑)。

黒田 歌いには行きたいけど、忙しくなりすぎたら嫌だなと思います(笑)。

──25周年を終え、この先へと向かうコブクロとどんな旅ができるのか楽しみです。

小渕 とにかくやりたいことが多いので、25周年に実現できたことは半分ぐらい。そのはみ出した部分だけでも何年分かはアイデアがあります。25周年を最高の通過点として、ここからまたスピードを上げていきたいなと思ってます。

黒田 僕は去年急性肝炎で大変だったので、皆さんも体調に気を付けていただいて(笑)、一緒にがんばっていきましょう!

コブクロ

コブクロ結成25周年イヤー記念企画
後日公開

セルフライナーノーツ
「Route Of QUARTER CENTURY」

公演情報

KOBUKURO 25TH ANNIVERSARY TOUR 2024 "QUARTER CENTURY"

  • 2024年8月10日(土)群馬県 高崎芸術劇場 大劇場
  • 2024年8月11日(日・祝)群馬県 高崎芸術劇場 大劇場
  • 2024年8月16日(金)広島県 上野学園ホール
  • 2024年8月17日(土)広島県 上野学園ホール
  • 2024年8月23日(金)東京都 東京ガーデンシアター
  • 2024年8月30日(金)愛媛県 松山市民会館(※公演中止)
  • 2024年8月31日(土)香川県 レクザムホール(香川県県民ホール)(※公演中止)
  • 2024年9月6日(金)宮崎県 宮崎市民文化ホール
  • 2024年9月7日(土)宮崎県 宮崎市民文化ホール
  • 2024年9月14日(土)石川県 本多の森 北電ホール
  • 2024年9月15日(日)福井県 フェニックス・プラザ エルピス 大ホール
  • 2024年9月22日(日・祝)福岡県 福岡サンパレス
  • 2024年9月23日(月・振休)福岡県 福岡サンパレス
  • 2024年9月28日(土)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2024年9月29日(日)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2024年10月5日(土)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2024年10月6日(日)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2024年10月13日(日)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
  • 2024年10月14日(月・祝)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
  • 2024年10月19日(土)神奈川県 ぴあアリーナMM
  • 2024年10月20日(日)神奈川県 ぴあアリーナMM
  • 2024年11月9日(土)大阪府 Asueアリーナ大阪
  • 2024年11月10日(日)大阪府 Asueアリーナ大阪

プロフィール

コブクロ

1998年、路上ライブをしていた小渕健太郎と黒田俊介が出会い結成。2001年にシングル「YELL~エール~」でメジャーデビュー。2005年に発売したシングル「ここにしか咲かない花」「桜」がロングヒットを記録する。2006年5月には初の東京・日本武道館公演を大成功に収め、2012年9月にリリースしたベストアルバム「ALL SINGLES BEST」は350万枚を超える大ヒットに。その後も数々のヒット曲やコラボ作を発表している。「2025年日本国際博覧会」アンバサダーに就任し、オフィシャルテーマソング「この地球の続きを」を2022年にシングルリリース。2024年9月に11枚目のオリジナルアルバム「QUARTER CENTURY」を発表した。同年8月から11月にかけて、アルバムタイトルを冠した結成25周年ツアーを実施中。