ナタリー PowerPush - 喜多村英梨×小松未可子

キタエリ×みかこしの「神ない」サウンド解体新書

喜多村英梨×小松未可子対談 Part2

喜多村英梨、神になる

──先ほど(キタこし対談Part1)は喜多村さんに小松さんの「終わらないメロディーを歌いだしました。」評を伺ったので、ここからは小松さんのターン……。

喜多村英梨 (テーブルに置かれた皿に手を伸ばし)さあ、サクランボいただきます(笑)。

左から喜多村英梨、小松未可子。

──あはははは(笑)。ここからは小松さんに喜多村さんのニューシングル「Birth」の感想を伺おうと思います。

小松未可子 6月30日の大阪ライブを拝見したときにも感じたことなんですけど、とにかく耳を離せないし、目が離せなくなっちゃうんですよ。喜多村さんの曲を聴いているときって微動だにできなくなるんです。例えばアルバム(2012年リリースの喜多村のアルバム「RE;STORY」)を聴かせていただくと「Baby Butterfly」みたいなちょっとジャズっぽくてセクシーな曲もあれば、“真髄”っていう感じのハードロックやメタルっぽい曲もあるから「あっ、キタエリさんっていろんな曲を歌われるんだな」って思わせてくれるんですけど、アルバム全体としては“キタエリサウンド”に仕上がっているので、その世界観に圧倒されてしまって。「Birth」ではそのキタエリサウンドがさらに進化している気がしたというか「神がいる!」みたいな感じがして……。

喜多村 へっ!? 神???

小松 ホントにアルバムのとき以上の存在感を見せつけられたんです。もちろん作詞家さんや作曲家さんの書かれた言葉やメロディ、バンドさんの音とはしっかり共存しながら「Birth」という曲全体をキタエリさんが制している感じがしたんです。しかもキタエリさんの世界を表現しているだけじゃなく、「神さまのいない日曜日」というアニメの世界を司る歌にもなっていて。

──喜多村さん、大絶賛ですよ!

喜多村 あはは(笑)。今のみかこしのレビューはホントにうれしいです。確かに「Birth」は基本的にメタルテイスト。「おなじみの!」という感じのキタエリサウンドをベースにしたいわゆる「喜多村英梨の楽曲」ではあるんですけど、「神ない」という作品の看板を背負った曲でもあるんですよね。

小松 はい。

喜多村 だから「Birth」を歌うときの私は「神ない」の拡声器になろうと思っていて。「神ない」のことを多くの人に知ってもらうために歌おうと思ったんです。そして「じゃあ、どの立場で拡声したのか?」といったら「『神ない』の代表者」という立場なんです。私はディー(・エンジー・ストラトミットス)というキャラクターの声優として「神ない」に携わってはいるものの、彼女は物語の主人公ではない。なのでディーのことではなくて、ディーを通じて知った「神ない」の世界全体のことを歌おうと思ったんです。そういう意味では「神的な視点」というのは、もしかしたらあるかもしれないですね。「私は『神ない』という世界そのものでもあるんだ」という気持ちで臨んでいましたので。

みかこしの耳を育てた「知りたい」という気持ち

小松 あと「神」だと思ったもう1つの理由に「Birth」のミュージックビデオもあって。今まで以上に音と映像の世界を制している感じがしたんです。

喜多村 それはとてもうれしい見られ方です! 今回、これまでのミュージックビデオとはちょっと違う「成長した自分を見てください」っていう取り組み方をしてみたつもりで。これまでのミュージックビデオって、ミュージシャンやダンサーさん以外で出演するのは私だけだったんです。

──確かにそうでしたね。

喜多村 そして歌っているシーンよりもイメージシーンやお芝居をしているカットを多めに使うことで曲の世界を全部自分の手で伝えようとしていて。でも今回のミュージックビデオの私は歌うだけ。イメージシーンやお芝居をするシーンについては別に女の子の役者さんに立ってもらいまして。で、この女の子は喜多村英梨の分身なのか、ディーなのか、それともまったく別の存在なのか。そのあたりは観ている皆さんに自由に解釈していただくっていう作りにしていて。私が歌うことに特化することで、すべてを伝えてしまうわけではない。観ている皆さんにいろいろな感じ方をしていただきたいのですが、でも映像の中の出来事はすべて私の表現であるっていうビデオにしたかったんです。

──君臨すれど統治せず、というか。

喜多村 そういう感じかもしれませんね。すべてを知ってはいるんだけど、「神ない」の拡声器である以上、皆さんの感じ方や聴き方までコントロールすべきではないので。だからみかこしがミュージックビデオを観て「制している」と感じてくれたのなら「ちゃんと伝わってよかったな」って思えます。というわけで、小松さん、大正解です!(笑)

小松 やったー!(笑)

──レビューじゃなくてクイズみたいになっちゃってますけど(笑)。

小松 でも誰かが何かを作ったり表現したりするときには、そこには必ず伝えたいことがあるはずですし、特に「Birth」のような自分の好きな曲の伝えたいことについては、ちゃんと感じてみたいと思っています。キタエリさんの思いをちゃんと受け取れたんだと知れたことはやっぱりうれしいですね。

──なんで喜多村さんの寓意をちゃんと受け取れたんだと思います?

小松 CDデビュー前は好きなアーティストやジャンルを深く深く掘っていくっていう音楽の聴き方をしていたんですけど、デビュー後はいろんなジャンルの曲を歌わせていただくようになっていて。今、それがすごく楽しいんです。歌ってみたらすごく楽しかったジャンルや音っていうものがたくさんあったので、1つの音の海に深く潜るだけじゃなくて、いろんな音の海にも浸かっていきたいんです。「いろんな音楽を知りたいし、その音楽を私もやってみたい」っていう気持ちが芽生えたからかもしれませんね。

喜多村英梨 ニューシングル「Birth」/ 2013年8月7日発売 / KING RECORDS
初回限定盤[CD+DVD] 1890円 / KICM-91460
通常盤[CD] 1200円 / KICM-1460
CD収録曲
  1. Birth
  2. Lifetime Trader
  3. Birth (Off Vocal Ver.)
  4. Lifetime Trader (Off Vocal Ver.)
初回限定盤DVD収録内容
  • Birth(Music Clip)
小松未可子 ニューシングル「終わらないメロディーを歌いだしました。」/ 2013年7月24日発売 / スターチャイルド
通常盤[DVD] 1500円 / KICM-91464
通常盤[DVD] 1200円 / KICM-1465
初回限定盤収録曲
  1. 終わらないメロディーを歌いだしました。 [作詞・作曲・編曲:ナカムラヒロシ(i-dep)]
  2. LISTEN!! [作詞・作曲・編曲:前山田健一]
  3. 終わらないメロディーを歌いだしました。(off vocal ver.)
  4. LISTEN!!(off vocal ver.)
通常盤収録曲
  1. 終わらないメロディーを歌いだしました。
  2. ABC (終わらないサンバを刻みはじめました。 ver.)
  3. 終わらないメロディーを歌いだしました。(off vocal ver.)
  4. ABC (終わらないサンバを刻みはじめました。 ver.)
喜多村英梨(きたむらえり)
喜多村英梨

「キタエリ」の愛称で知られる声優・アーティスト。2003年に声優としての活動を開始し、出演作品は「フレッシュプリキュア!」「まよチキ!」「魔法少女まどか☆マギカ」「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!! 」など多数。歌手としては2004年4月にデビューを果たし、2011年にスターチャイルドに移籍。3枚のシングルがヒットを記録し、2012年7月に1stアルバム「RE;STORY」をリリース。オリコン週間アルバムランキングで最高5位をマークする。同11月には4thシングル「Destiny」を、2013年1月に5thシングル「Miracle Gliders」を発表し、8月には6thシングル「Birth」をリリースした。

小松未可子(こまつみかこ)
小松未可子

1988年11月11日、三重県生まれの声優、歌手。女優として活動しながら、2010年にアニメ「HEROMAN」の主人公ジョセフ・カーター・ジョーンズ役で声優としてのキャリアをスタート。2012年1月より放送のアニメ「モーレツ宇宙海賊」では主人公・加藤茉莉香の声を務め、4月には同アニメのイメージソング「Black Holy」で個人名義による歌手デビューを果たす。7月にはミニアルバム「Cosmic EXPO」、11月7日に2ndシングル「冷たい部屋、一人 / 夏至の果実」を、2013年2月13日には1stフルアルバム「THEE Futures」をリリース。同7月24日、3rdシングル「終わらないメロディーを歌いだしました。」を発表した。