ナタリー PowerPush - 喜多村英梨×小松未可子

キタエリ×みかこしの「神ない」サウンド解体新書

2学期後半からつるみ始める2人

──改めて思ったことなんですけど「キタこし」って不思議なコンビですよね。やっている音楽のジャンルは違うんだけど、ちゃんとお互いの思いを理解しあえている。心意気みたいなレベルで通じ合っている感じがします。

喜多村 もしも2人が同じクラスだったら、2学期後半あたりからつるみ始めるような気がするんですよ。夏休みあたりまでは2人とも、相手のことを普通のクラスメイトの1人って感じで見ているんだけど、運動会や修学旅行みたいなイベントをきっかけにお互いの性格を知ったが最後、それからは周りの友達に「なんかあの2人、最近いっつも一緒にごはん食べてるよね」なんて言われちゃうくらい仲良くなっちゃうというか(笑)。

小松 確かにそんな感じがします(笑)。

──お2人にとっては、その運動会や修学旅行に当たるものが「神ない」だった、と。

喜多村 そうですね。メタルと打ち込み系っていう全然違うジャンルをやっているのに、こうやってみかこしと一緒にいられるのは「神ない」のおかげだと思います。一緒にいられる一番の理由は、みかこしと私の波長があったからだとは思うんですけど、お互い「神ない」の登場キャラクターの中の人であり、テーマソングを歌う人という、同じスタンスで作品に携わっていることもスッと寄り添えた大きな理由なんだとは思ってます。

小松 私も「神ない」という作品が、ある意味「なんでもあり」にしてくれている感じがしますね。作品を背負おうっていう気持ちをちゃんと持っていれば、どんなジャンルの音楽でも受け入れてくれるし、キタエリさんともコンビを組ませてくれるんだなって思っていて(笑)。

声優でありアーティストだからできる表現

──タイアップ曲ってノンタイアップの曲よりも制約が多いような気もするんですけど、一概にそうとは言い切れない?

喜多村 私たちのように「神ない」という作品の声優でもあり、テーマソングを歌うアーティストでもある、“声優アーティスト”の場合は特に言い切れないと思います。確かにノンタイアップの曲というのは、真っ白いキャンバスを「どうぞ」と渡されているような状態。私の好きなように絵が描ける、好きなところに走って行ける状態であるのに比べて、アニソンの場合は、私が歌う前からキャンバスにはある程度絵が描かれているし、レールが敷かれている状態なんだとは思うんですけど……。

──アニメのストーリーに寄り添わなきゃいけないですからね。だから喜多村さんは「『神ない』の拡声器」であろうとしたわけですし。

喜多村 でも声優アーティストの場合、そのレールは実は1本じゃないんだろうなとも思っていて。これがレールが1本の場合、つまり「『アニメのキャラクターとして』という立場ではなく、1人のアーティストとして『神ない』のテーマソングを歌ってください」って言われたら、私は迷っていたとも思うんですよ。「着地点を見据えにくいな」って。

小松 そうですね。「神ない」という作品のどこに着目して歌えばいいのか、どう表現していいのか、すごく戸惑うと思うし、すごく漠然としたことを歌ってしまう気がします。

喜多村 ところが私たちは「神ない」の出演者、言ってしまえば「神ない」の身内であり、その一方で小松未可子、喜多村英梨という1人のアーティストでもあるから、自分が見据えた着地点に自信を持てるんだと思います。「神ない」という作品全体の持っている色やニオイ、それから演じているキャラクターの気持ちも知っている。そういうたくさんのヒントを踏まえた上で歌えるから、曲の中で自分らしさを発揮してみたり、挑戦的なことをしてみたりしても「この曲、全然『神ない』に似合ってないじゃん」ということには、まずならないだろうな、って。

小松 すごくわかります!

──だから喜多村さんは「神」や「拡声器」という立場でありつつも、きちんと喜多村英梨作品として「Birth」を歌えたし、小松さんも聴き手に「神ない」の言葉を届けるメッセンジャーでありながらも、小松未可子らしく「終わらないメロディーを歌いだしました。」を歌うことができた?

喜多村 「私も『神ない』を作っている1人なんだから大丈夫」っていう自信があったからこそ、そういう歌い方ができたんだと感じますし、そうやっていろんなことにチャレンジができるのが声優アーティストの強みなんだろうな、という気持ちは確かにありますね。

小松 しかも私の場合、キタエリさんとご一緒したことで、いろいろな方法で「神ない」の世界を表現できるんだっていう発見もあって。それも「キタこし」コラボをやってみて、うれしかったこと、勉強をさせていただいたことだったんだと思ってます。いろんな角度からアニメの世界を表現できるのもアニソンの強みなんだなって。私もキタエリさんみたいな歌い方、表現の仕方にチャレンジしてみたいなって。

まだまだ面白いことはできるはず

──「キタこし」は「神ない」がきっかけで始まったコラボレーションではあるものの「神ない」限定企画にしちゃうのもなんかもったいないですね。

喜多村 すごくそう思います(笑)。みかこしが「勉強になった」って言ってくれたのと同じように、私もみかこしから吸収したいことがたくさんありまして。さっき(キタこし対談Part1)お話したように、私にとってハウスはよく聴いているジャンルではあるものの、私の表現の引き出しの中にあるジャンルではないんです。だから、ナチュラルなんだけど強い意志を感じさせてくれる、みかこしのような歌い方には憧れています。きっかけやチャンスがあれば、ぜひまたこういった機会があるといいなと思います。まだまだ面白いことができる気がするし、今回のコラボをきっかけにみかこ市民とキタエリストがクロスしてくれたら、また新しい化学反応が起きるんじゃないかという気もします。

──対談序盤、喜多村さんは「天使のみかこしが悪魔の喜多村に食われる!みたいに見えるんじゃないかと心配で」と笑っていましたけど、実際、お互いのファンって「キタこし」をどう見てるんでしょう?

小松 「コラボします」って発表したら、キタエリさんのファンの方から「がんばってください」「楽しみにしています」っていうメッセージをいただけたんですよ。あと「もともと2人のファンでした」って言ってくださる方がいて。

喜多村 みかこ市民とキタエリストというと、なんかものすごいカップリングのように見えるんだけど(笑)、私たち自身が例えば2学期の後半から仲良くなれたのと同じように、ファンの方同士も実は似ているところやクロスしている部分があったんですよね。

小松 そのことに“キタこし”コラボが気付かせてくれました。

喜多村英梨 ニューシングル「Birth」/ 2013年8月7日発売 / KING RECORDS
初回限定盤[CD+DVD] 1890円 / KICM-91460
通常盤[CD] 1200円 / KICM-1460
CD収録曲
  1. Birth
  2. Lifetime Trader
  3. Birth (Off Vocal Ver.)
  4. Lifetime Trader (Off Vocal Ver.)
初回限定盤DVD収録内容
  • Birth(Music Clip)
小松未可子 ニューシングル「終わらないメロディーを歌いだしました。」/ 2013年7月24日発売 / スターチャイルド
通常盤[DVD] 1500円 / KICM-91464
通常盤[DVD] 1200円 / KICM-1465
初回限定盤収録曲
  1. 終わらないメロディーを歌いだしました。 [作詞・作曲・編曲:ナカムラヒロシ(i-dep)]
  2. LISTEN!! [作詞・作曲・編曲:前山田健一]
  3. 終わらないメロディーを歌いだしました。(off vocal ver.)
  4. LISTEN!!(off vocal ver.)
通常盤収録曲
  1. 終わらないメロディーを歌いだしました。
  2. ABC (終わらないサンバを刻みはじめました。 ver.)
  3. 終わらないメロディーを歌いだしました。(off vocal ver.)
  4. ABC (終わらないサンバを刻みはじめました。 ver.)
喜多村英梨(きたむらえり)
喜多村英梨

「キタエリ」の愛称で知られる声優・アーティスト。2003年に声優としての活動を開始し、出演作品は「フレッシュプリキュア!」「まよチキ!」「魔法少女まどか☆マギカ」「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!! 」など多数。歌手としては2004年4月にデビューを果たし、2011年にスターチャイルドに移籍。3枚のシングルがヒットを記録し、2012年7月に1stアルバム「RE;STORY」をリリース。オリコン週間アルバムランキングで最高5位をマークする。同11月には4thシングル「Destiny」を、2013年1月に5thシングル「Miracle Gliders」を発表し、8月には6thシングル「Birth」をリリースした。

小松未可子(こまつみかこ)
小松未可子

1988年11月11日、三重県生まれの声優、歌手。女優として活動しながら、2010年にアニメ「HEROMAN」の主人公ジョセフ・カーター・ジョーンズ役で声優としてのキャリアをスタート。2012年1月より放送のアニメ「モーレツ宇宙海賊」では主人公・加藤茉莉香の声を務め、4月には同アニメのイメージソング「Black Holy」で個人名義による歌手デビューを果たす。7月にはミニアルバム「Cosmic EXPO」、11月7日に2ndシングル「冷たい部屋、一人 / 夏至の果実」を、2013年2月13日には1stフルアルバム「THEE Futures」をリリース。同7月24日、3rdシングル「終わらないメロディーを歌いだしました。」を発表した。