横山健について

──Junさんはバンド歴が長いし、今までいろんな人たちとやってきたと思いますが、そういう人たちと健さんはどこが一番違いますか。

Jun　単純にソングライティング面でも、ほかのバンドとは一線を画してるかな。あとは“圧倒的な存在感”があると思う、あんまり褒めたくないけど（笑）。

──フロントマンとしての存在感ですね。

Jun　あいつが意識してるかわからないけど、特にライブで一緒にステージに立ったときに、フロントマンとしての存在感が圧倒的だと思うんですよ。演奏しててもそうだし、MC1つとってもよくこんなことが言えるなあと（笑）。

──ステージ上での存在感は観客にも伝わってますね。それ以外の日常的な場ではいかがですか。

Jun　どんな場面でも機転が利くし賢いなあと思いますよ。

──私は取材の場くらいしか彼に接する機会がないですけど、頭がいいし、よくしゃべるし、どんな質問をしても逃げないし、気配りもある人という印象です。

Jun　それはあまり変わらないかも。普段のあいつも独壇場というか、ツアーに出ても常にしゃべってるか寝てるかしかない（笑）。どの場にいてもその場の中心にいたいタイプでしょうね。

Minami　僕は過去にギター2人のバンドでやることがなかったので、その点で得るものがいっぱいありましたね。あと健さんは自分にないものをたくさん持ってるし、引き出しも多いし、すごく刺激になります。ふざけてる部分もいっぱいあるけど、芯が通ってるし、言ってることに嘘がなくて。いつもスタジオ練習の帰りに車で送ってもらってまして、車内でふざけた話も真面目な話もする。30分くらいなんですけど、その話にいちいち説得力がある。ステージに立ってる健さんそのものだと思います。

Jun　オンオフはあまりないね。

Minami　ないですね。

Jun　ステージに上がるときに、バンドによっては円陣組んで気合い入れてから出たりするけど、うちらは正反対というか。あいつは「風呂行ってくるね！」ぐらいの感覚でステージに立ちたいと言ってる。

──ライブ前になるとピリピリしてるとかは？

Jun　全然ない。ダラダラしたままステージに上がる。あいつがそういう感じでステージに立っちゃうんで、そういう雰囲気は俺にも伝染した（笑）。俺は「気合い入れていくぜえ！」みたいな雰囲気のバンドも昔やってたけど、今はもう、大きなフェスに出ても出番ギリギリまで寝てる。

──つまりどんな場に出ても素の自分が出てくると。切り替えてカッコつけるとかは？

Jun　ないですねえ。

Minami　でもステージに立った瞬間に気合い入ってるんだと思いますよ。

Jun　うん、テンションはもちろん上がってると思う。ステージに立ってお客さんに煽ってもらってテンションを上げていくんじゃないかな。

Hi-STANDARDの横山健とKen Bandの横山健

──ここ数年、健さんはKen Bandのほかにもハイスタや、BBQ CHICKENSなどいろんなバンドを兼任してますが、そこでの横山健とKen Bandでの横山健はどう違うんでしょう。

Minami　ほかのバンドやってるときの健さんは一緒にいるわけじゃないんでよく知らないですけど、Hi-STANDARDになると、ちょっと慎重になるみたいですね、やっぱり。ピリピリとまではいかないけど、やってる間はこっちもちょっと気を遣うし。BBQ CHICKENSはもっと楽な感じでやってると思います。

Jun　BBQとKen Bandに関してはあいつの中でそんなに違いはないんじゃないかな。ほかの人に気を遣う必要もないだろうし、気心の知れてる、いつも一緒にいるチーム一丸となってステージに立ってるという感覚だろうけど。ハイスタは別のスタッフもいっぱいいて、そういうわけにもいかないだろうし。

──Ken Bandにはより自然体に近い、素の横山健がいるんですね。皆さんにとってKen Bandってどういう存在でしょうか。

Jun　俺はそういうあいつの考えが伝染しちゃってる部分があるからなあ（笑）。こういう楽しみ方があるんだって気付かされたというか。「ロックは非日常なんだ！」って感じで、昔はどこか構えてやってた部分があったんだろうなって思う。

──特にパンクやってると、そういうピリピリした現場はいくらでもありそうですよね。

Jun　うん。

Minami　僕はもうちょっとJunさんよりは責任感があるというか（笑）。もちろんJunさんもあると思うんですけど、健さんのやっていることを支えていこうという意識は強いですね。

──健さんから何を求められてると思います？

Jun　（Minamiは）真面目担当。「ちゃんとバンドのこと見といて」みたいに思われてると思う。

──Minamiさんはそういう自覚あります？

Minami　ありますあります。

──あるんだ（笑）。

Minami　自然と。

Jun　俺とか健はステージに出ると勢い出すぎてどうなっちゃうかもわかんないけど、Minamiは安定してるし。

──バンド全員が健さんやJunさんみたいな人ばかりだとグダグダになる可能性もあるけど、Minamiさんがにらみを利かせているので、バンドが安定すると。

Minami　どうなんでしょうねえ（笑）。健さんの機嫌がちょっと悪そうだなーとか感じたら、その場の雰囲気を変える役割になるとか。

──どういうときに機嫌悪くなるんですかね。

Minami　理由はわかんないです。でもなんかピリピリしてるときはありますね。

Jun　例えばライブの直前まで裏でダラダラやってたのに、ステージに出るとなんかの理由で突然ヘイトモードになってたりする。結局予定調和が嫌いなんですよ。セットリストもフェスだろうがなんだろうがライブの直前に決めるし。それでステージに上がっていいグルーヴを生み出して楽しく終われるときもあれば、そういうモードになるときもある。

──直前まで曲が決まらないって、やりづらくないですか？

Minami　だいぶ慣れました！

Jun　直前に「えっそれやるの？」つって、バックステージで慌てて練習したりしてますけど（笑）。そこらへんはあいつの気分だから。

──やる楽曲とやらない楽曲の判断基準って、「この歌詞を今は歌う気になれない」とかですかね。

Jun　それはあると思う。