横山健(Vo, G)率いるロックバンドKen Yokoyamaが、ニューシングル「The Ballad」を3月25日にリリースした。
表題曲はKen Yokoyamaにとって初となるタイアップ曲で、テレビアニメ「ゴールデンカムイ」最終章のエンディングテーマ。これまでは英語詞を歌い続けてきた彼らだが、この曲で初めて日本語詞に挑戦している。
音楽ナタリーでは、Hi-STANDARDツアーの真っ最中でもある横山健にインタビュー。「ゴールデンカムイ」の話題はもちろん、シングルに収録されるCOBRAのカバー「STRANGERS」と、プロ麻雀チーム・TEAM RAIDENのチャンステーマ「RAIDEN GO」についても聞いた。さらに、繊細な歌詞のカップリング曲「Goodbye So Long」の話題から派生して、心の奥底にある感情と向き合う、今の思いを掘り下げた。
取材・文 / 田中和宏
「ゴールデンカムイ」を全巻読んだ横山健
──今日はよろしくお願いします。横山健さんにインタビューをするのはこれが初めてで緊張しています。
いざ話すとなると、内容の組み立て方とかも考えちゃうから頭がわーっとなっちゃいますよね。
──横山さんのライブのMCを聞いていると、話の組み立てがすごいなと思うんです。下ネタもすごいですけど(笑)、決めるところでビシッと決めて。
でもね、あれは後先を考えずに話し始めてるからできるんですよ。オチとかまったく考えてないんです。話し始めて、適当に収めるという(笑)。
──さすがです。今日はニューシングル「The Ballad」についてじっくりお伺いしたいのですが、まずはKen Yokoyama初のタイアップ曲であるテレビアニメ「ゴールデンカムイ」最終章のエンディングテーマ「The Ballad」で全編日本語詞に初挑戦したことについて聞かせてください。「ゴールデンカムイ」自体はもともとお好きだったんですか?
実はお話をいただいてから初めて読みました。でも一気に引き込まれましたね。マンガも全部読みましたし、Netflixで実写版も観ました。
横山健が日本語で歌う、変化の理由は
──「The Ballad」の制作はいつ頃から始まったのでしょう。
けっこう前です。ちょうど僕たちがカバーアルバム「The Golden Age Of Punk Rock」(2024年10月発表)を出して、ツアーが始まった頃に書き始めました。だからけっこう大変でしたよ。Bad ReligionやNOFXのカバーをライブで演奏しながら、東京に帰ると日本語詞を考える。「ゴールデンカムイ」という1つの大きな題材のために、Ken Yokoyamaにとって初めての日本語曲を書くというのは、心境的にかなり大変でした。
──日本語詞というのは、最初からオーダーがあったんですか?
ありました。これまでもタイアップのオファーがなかったわけじゃないんですけど、全編英語詞というのがたいていネックになって、話が流れてしまうことが多いんですよ。ただ「ゴールデンカムイ」の場合は、「ぜひやっていただきたいんです。ただ、日本語で歌ってほしい」という、いつもと逆のアプローチだったんです。英語がネックという伝え方ではなく、「日本語で」というオーダーだった。「日本語で歌ういいきっかけになるかもな」と思って、取りかかることにしました。
──変化を求めていたというか、「変わったほうがいいな」と思うタイミングでもあったんでしょうか?
そうですね。「変わったほうがいい」と言うとすごい切迫感がありますけど、やっぱりなんだろう……バンドとして飽きてたんだと思うんですよね。コロナ禍明けぐらいからずっと、自分たちでやることを決めては早いペースで詰め込んできて。ここ4、5年、音源もたくさん出して自分たちの世界観──決まったゾーンの中でやってきた。そこにポコンと、まったく違う視点の仕事が入ってきたので、「やってみたいな」という思いにさせられましたね。
──横山さんは英語で歌うことに長年こだわってきたわけですけど、日本語で歌うことに抵抗はなかったのでしょうか?
もちろん何周も考えました。でも最終的に「自分のこだわりなんてどうでもいいんだよ」って。固執しているから狭い範囲から出られないんじゃないか、というところに今回は着地しました。「英語で歌う横山健」がアイデンティティだと思ってくれている人を裏切ることになるかも、とは考えましたけど、物事ってやってみないとわからないですからね。ポジティブなほうだけ見て全振りしてやろうと。
──ちなみに過去に日本語で曲を作ったことはあるんですか?
18歳くらいのときかな、ザ・ブルーハーツを模倣して日本語で書いていたことがあって。そのときの感覚を思い出しながら取りかかりました。第一言語だと、言葉以上のニュアンスを感じるんですよね。例えば「ここにコップがある」とするのか、「コップあるよな」とするのか。その言い切りや語尾のわずかな差で印象が全然違う。英語の歌詞でももちろんそういうニュアンスを表現したものにはしていたんですけどね。日本語だと特にそういう違いがより出るから厄介に感じていたし、40年弱書いていなかったので、ひさしぶりにやったら本当に大変でした。
杉元佐一と横山健
──歌詞の内容から、主人公の杉元佐一と横山さん自身が重なる部分が多いと感じました。
軸は杉元ですけど、自分の生き様を多分に入れ込むことができました。杉元と僕は人物像に通じるところがあるのかもしれない。「俺は不死身の杉元だ!」という彼が戦っている最中の名言がありますけど、僕もずっと不死身だと思ってやってきましたから。初めての日本語詞の題材が「ゴールデンカムイ」だったのは、ラッキーだったし、奇跡的でしたね。初挑戦にしては上出来だなと(笑)。
──楽曲の構成についても、アニメ側からのリクエストがあったそうですね。
サイズとかの指定はもともとあったんですけど、やりとりの中で「イントロをもう少し長くしてほしい」と言われて。そこでアコースティックギターでアルペジオを足したら、メンバーと「Metallicaの『Battery』みたいでカッコいいね」という話になって。それで納品したら制作サイドもOKだったし、結果的に曲としてもよくなった気がします。
ギター談義「不便でもカッコよければ使う」
──ギターのフレーズやサウンドについても、かなりこだわりが詰まっていると感じます。月並みな感想ですけど、ギターの音がめちゃくちゃカッコよくて。新しいギターも使ってるんですか?
機材は、ベーシックはNavigatorの黒いレスポールカスタムタイプのSkate(Hi-STANDARD「Growing Up」から「Angry Fist」期に活躍)かな。あとは一昨年に買った1969年製のGibsonのレスポールカスタム。今ハイスタでも使ってる青いGibson SGはまだ購入前でした。いろんなギターを試してます。
──今回は使われてないそうですけど、青いSGのブリッジに付いているビグスビーやバイブローラも、最近の横山さんのギターだと搭載されていることが多いですよね。Fenderの改造テレキャスター然りで。
あれね、正直あんまり使わないし、アーミングで使うとチューニングが狂っちゃうんだけど、モノとしてカッコいいんですよ。あとSGに関しては、ボディが軽いから立って弾いてるとヘッドが下に落ちちゃうんです。でもあのユニットがあることで重量が稼げてヘッド落ちの解消にもなるんです。だから僕のSGはヘッド落ちしないですよ。まあアームひとつ取って言うなら、不自由さを楽しんでいるところもありますね。精度を求めるなら付けないほうがいいけど、カッコいいから付けるんです。世の中そんなことだらけだよなって思います。
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