ナタリー PowerPush - 片平里菜

亀田誠治、スカパラ茂木&沖と世代を超えた音楽談義

片平里菜が通算3枚目にして初の両A面シングル「Oh JANE / あなた」をリリースしたことを記念して、ナタリーでは片平の特集を企画。第1弾として「Oh JANE」のアレンジを手掛けた亀田誠治との対談を掲載する。

対談でお互いの第一印象やレコーディング時のエピソードなどが語られる中、亀田はプロデューサー的視点から片平のアーティスト性を分析。また片平も亀田との作業を通じて見えた、自身の音楽観を改めて明かしている。

取材・文 / 西廣智一 撮影 / 小坂茂雄

 
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片平里菜×亀田誠治 対談

互いの第一印象は「若いのに確信犯」「雲の上の人」

──まず亀田さんが片平さんを知ったのはいつ頃、どういうきっかけだったんですか?

左から亀田誠治、片平里菜。

亀田 去年の9月に福島で行われた「LIVE福島 CARAVAN日本 2013 FINAL 風とロック芋煮会2013」で、里菜ちゃんが野外で弾き語りをやってるのを拝見したのが最初です。ちょっとした広場に10cmぐらいの高さのステージがあって。

片平 ふふふ(笑)。そうでしたっけ。

亀田 お客さんはみんな地べたに座って観ていて、彼女は「福島在住の片平里菜と申します」なんて言ってギターで弾き語りを始めたんですけど、そのときになんかこう……一言では言えないんですけど、ビビッとくるものを感じたんです。そのときはただ通りがかっただけだったんですけど、「これは面白い、もっと観ていたい」と思って僕も地べたに座って。

片平 そうだったんですか(笑)。

亀田 里菜ちゃんがいろんな表情の声を出すのが面白いなあと思って。ただまっすぐなだけじゃなくて、なんかこうヒラヒラ舞うようなというか……音楽プロデューサー的な視点で言うと、自分の声の使い方をよくわかってる人だなと思ったんです。今何歳でしたっけ?

片平 21歳です。

亀田 とにかく若いのに確信犯っていうか、自分の音楽や自分の歌を「これが私の生きる道」っていう感じで確信犯的に歌ってるなと。そういう力強さを感じたんですよ。で、ちょうど彼女のスタッフさんがね……そのとき僕がプロデュースで携わっていたcinema staffのスタッフさんだということが判明して、これはご縁だなと。なんて思ってたら一緒にやりませんかという話につながっていった感じです。

──片平さんはもともと亀田さんのことはご存知でしたか?

片平里菜

片平 もちろん。亀田さんがプロデュースを手掛けた椎名林檎さんとかずっと聴いて育ってきたので、本当に雲の上の人、大御所っていう印象で……大御所って言ったらおかしいのかな。

亀田 どっちかって言うと、中御所だね(笑)。

片平 いやいや、そんなことないですよ(笑)。そんな、自分の手が届かない存在っていうか、一緒にお仕事したいと誘っても断られるだろうと。それにちょっと怖い印象もありましたし。PVで演奏する姿とか雑誌のインタビュー記事とかのイメージですけど、どういう方なのかなって(笑)。

亀田 ああ、音も歪んでいたり、昔モヒカンだったし、どんだけ怖い人なんだろうみたいな?

片平 そうですね。

亀田 こうやってしゃべってると、急に怒って帰ったりみたいな(笑)。全然違ったでしょ?

片平 はい(笑)。同じレーベルのcinema staffさんからも亀田さんのお話は聞いていて、「風とロック芋煮会」のときに初めてお会いするまでここまで気さくな方だとは思ってなくて。

亀田 そうだったね。「すごくよかった」と伝えたくて、僕から声を掛けてご挨拶して。そこで二言三言会話を交わしたんです。

「すごく派手なんだけどシンプルにしてほしい」

──片平さんの楽曲についてはそのときどう思いました?

亀田誠治

亀田 J-POPのロジックで作られてなくて、すごく洋楽っぽいなと思いました。ギターのコードの響きと気持ちよいメロディが耳に残るんだけど、でも一番伝えたいのは歌詞なんだろうなって。いわゆる欧米のシンガーソングライターみたいな印象を受けました。声に存在感があるので最初はその声が耳に引っかかってくるんだけれど、実は楽曲自体の存在感も強い。今回の「Oh JANE」を初めて聴いたのは里菜ちゃんが弾き語りで作ったデモなんですけど、そこからいろいろディスカッションしたんですよ。この柔らかくてしなやかで、おっとりした口調の里菜ちゃんからいろんな主張が飛び出してきて、そこで彼女は本能的に、感覚的に動いてるアーティストなんだなと思ったんです。経験値も含めてボキャブラリー的にはシンプルなんですけど、言ってる内容はすごく的を射ている。それに「私はこういうサウンドにしたい」とか「こういう音は嫌い」とか、そういった考えが明確に里菜ちゃんの中に存在してるんだなっていう。

──片平さん、亀田さんに実際どういう注文をしたか覚えてますか?

片平 あのときはめちゃめちゃ緊張してたので……今くらいに(笑)。意味のわからない注文をしてた気がしますね。「すごく派手なんだけどシンプルにしてほしい」とか、あとはなんて言ったかな……。

亀田 ストリングスは入れないでくれって言ったよね。

片平 あ、言いました。

亀田 ストリングスというものに対しても里菜ちゃんなりに基準があって、「Oh JANE」には必要ないだろうと。あと、里菜ちゃんは楽器1つひとつの鳴りについてもこだわりがあって、1つひとつの表情が見えるものを求めてるんだなと感じました。なので、音を重ね過ぎないでほしいとも言われましたし。

片平 そうですね。たくさん重ねるのが好きじゃなくて。

亀田 うん。完全に「重ねるのが嫌い」って言ってましたから(笑)。僕、今までいっぱい重ねた曲を作ってきたし、もしかして僕のこと嫌いかなと思ったんです(笑)。

片平 あははは(笑)。そんなことないですよ。

亀田 そういう明確なビジョンを持っていたから、そこに沿いながら作り上げていった感じです。

片平里菜 あの場所で偶然 弾き語りツアー2014
2014年5月12日(月)
宮城県 BLUE RESISTANCE
2014年5月13日(火)
岩手県 LIVEHOUSE FREAKS
2014年5月14日(水)
岩手県 KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
2014年5月17日(土)
宮城県 遊楽館かなんホール
2014年5月20日(火)
秋田県 Club SWINDLE
2014年5月21日(水)
福島県 club SONIC iwaki
2014年5月24日(土)
福島県 岩瀬郡天栄村「風とロック CARAVAN福島」
2014年5月25日(日)
神奈川県 横浜赤レンガ地区野外特設会場「GREENROOM FESTIVAL '14」
2014年6月9日(月)
長野県 LIVE HOUSE J
2014年6月10日(火)
新潟県 SHOW!CASE!!
2014年6月17日(火)
北海道 COLONY
2014年6月21日(土)
愛媛県 松山キティホール
2014年6月23日(月)
岡山県 城下公会堂
2014年6月24日(火)
広島県 ナミキジャンクション
2014年6月27日(金)
山口県 Organ's Melody
2014年6月28日(土)
熊本県 cafe Arbaro
2014年6月30日(月)
福岡県 ROOMS
2014年7月2日(水)
鹿児島県 SR HALL
2014年7月4日(金)
香川県 高松MONSTER
2014年7月8日(火)
大阪府 Kitchen和
2014年7月9日(水)
京都府 磔磔
2014年7月11日(金)
東京都 自由学園明日館(アコースティックライブ / ワンマン)
片平里菜(カタヒラリナ)
片平里菜

1992年5月12日生まれ、福島出身のシンガーソングライター。2011年9月、「閃光ライオット2011」で1万組の中から審査員特別賞を受賞する。翌2012年にはソニーWALKMAN「Play You. Label」第1弾アーティストに抜擢され、山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)プロデュースのもと楽曲制作。7月にはメジャーデビュー前にもかかわらず「NANO-MUGEN FES.2012」に出演し、話題を集めた。2013年1月にアジカン山田プロデュースによる楽曲「始まりに」を配信リリース。同年4月には20公演にわたる初の全国弾き語りツアー「片平里菜 飾らない笑顔で 弾き語りツアー2013」も敢行した。5月にはギブソン社傘下のギターブランド・エピフォンが片平を日本人女性初のエピフォンアーティストとして公認したことも発表され、大きな反響を呼んだ。そして8月7日、ポニーキャニオンからシングル「夏の夜」でメジャーデビュー。翌2014年1月15日には2ndシングル「女の子は泣かない」を発表し、同月末からは初のワンマンツアー「片平里菜 1stワンマンツアー2014 “女の子は泣け、笑え、叫べ”」を東京、大阪、福島で行った。4月30日に3rdシングル「Oh JANE / あなた」をリリース。

亀田誠治(カメダセイジ)

1964年アメリカ・ニューヨーク生まれ。1989年に音楽プロデューサーおよびベーシストとしての活動を始める。これまでに椎名林檎、平井堅、スピッツ、Do As Infinity、スガシカオ、アンジェラ・アキ、JUJU、秦基博、いきものがかり、チャットモンチー、エレファントカシマシ、WEAVER、MIYAVI、赤い公園、東京スカパラダイスオーケストラなど数多くのアーティストのプロデュースやアレンジを手がける。また2004年夏に椎名林檎らと東京事変を結成し、数多くのヒット曲を発表。2012年閏日に惜しまれつつも解散する。2013年には2回目となる自身の主催ライブイベント「亀の恩返し」を日本武道館にて開催。映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」の音楽プロデュースなどさまざまなかたちで作品を届けている。2014年5月には「SAYONARA国立競技場 FINAL WEEK JAPAN NIGHT」にて音楽監督を務める。またオフィシャルサイトで、自身の知識をフリーでシェアし、新しい才能を応援する「恩返し」プロジェクトを展開中。