音楽ナタリー Power Push - ナタリー×Hulu 語りたくなる1本がある。
[Alexandros]編
1980年代の感じにすごく共感
──「きっと、うまくいく」はボリウッド映画ですね。
川上 この映画めっちゃ長いんですよ。インド映画って基本長くて、これも3時間近くあったはず。みんながいいって言うから観に行ったんですけど、すげえ面白かったですね。学歴社会的な問題に一石投じたような映画なんですけど、長い分いろんなストーリーが絡んでるんですよね。いいなあと思ったのが、コメディ映画なんだけど、かなり辛辣なシーンもあるところ。友達が自殺しちゃったり。あとインド映画って、ハッピーな雰囲気を醸しつつも、カースト制度のリアルな部分も鮮明に描写していて。そういう意味では世界に向けて「インドってこんな国なんですよ」っていうことを紹介してる部分もあるのかなと。
──「レスラー」もぜひ紹介してください。
川上 これは2008年の映画で、ミッキー・ロークがゴールデングローブ主演男優賞を受賞した作品です。名声を失ってしまって、今はバイトで食いつないでる元人気プロレスラーの生き様が描かれています。で、このミッキー・ロークも昔はスターだったんですけど、今はその頃ほどの人気はなくなってしまって。実はミッキー・ロークが活躍していた1980年代を「よかったよね」って懐かしむ映画でもある。もちろんカムバックを見せつけるというのが映画のメインテーマだけれど、僕の中で響いたのは「1980年代ってよかったよね」っていう裏テーマ的な部分。映画の中で「Guns N' RosesやMotley Crue、Van Halenが流行ってた1980年代はよかったよな」みたいなことが語られるんですよ。派手なものがよしとされていた1980年代の感じにすごく共感しましたね。僕は「レスラー」のそういうところがすごく好きです。
父の薦めで観た「インディ・ジョーンズ」
──「インディ・ジョーンズ レイダース/失われたアーク《聖櫃》」も挙げています。これは「インディ・ジョーンズ」シリーズの1作目ですね。
川上 「インディ・ジョーンズ」は父が大好きな映画で、最初は父に薦められて観たんです。エジプトだったり、僕が昔住んでいたシリアに近い場所が出てくるので、怖かったですね。当時うちの親がよく海外旅行に連れて行ってくれたんですけど、その頃は世界遺産だったりとか、遺跡みたいな観光名所的なところにまったく興味がなかったんです。でも「インディ・ジョーンズ」のおかげで興味が湧くようになって、「もしかしてピラミッドの下に何かあるのかもしれないな」とか「ペトラ遺跡の奥に実はキリストの何かがあったりするのかな」って、本当は何もないのがわかってるのに想像したりもして。子供心をくすぐるシーンがたくさんあるんです。
──「インディ・ジョーンズ」もシリーズを通してお好きなんですか?
川上 そうですね。ショーン・コネリーの出てる「最後の聖戦」も大好きです。ペトラ遺跡が出てくるんですけど、その遺跡は本当にシリアに近いところで。あ、「インディ・ジョーンズ レイダース/失われたアーク《聖櫃》」の小ネタを1つ紹介してもいいですか?
──ぜひ。
川上 最初にインディ・ジョーンズが川から抜け出していくときに見える飛行機に「C3PO」って書いてあるんですよ。インディ・ジョーンズを演じたハリソン・フォードが「スター・ウォーズ」に出てるから。そういうのを探すのも楽しい作品です。
庄村おすすめのアニメ「ARIA」「坂道のアポロン」
庄村 僕、ナタリーの読者さんに特にお薦めしたいと思った作品があるんですよ。
──どの作品ですか?
庄村 松尾スズキさんが監督した「恋の門」です。この映画はマンガ家のことを描いた作品なので、裏「バクマン。」みたいなノリで観てもらえるかなと思うんです。笑いの部分の描き方に関してはなんとなく大根仁さんより、もうちょっとアクセル踏み込んだ感じがするんですけどね。だんだん破綻していって、ラストシーンはまあ意味わかんないし(笑)。大根さんはきっちり綺麗にまとめる監督だから、そこが松尾さんとの違いかな。まあ「恋の門」ってひと言で言えばくだらないラブコメ映画なんですけど、雰囲気がすごくナタリー的だなと思う。僕がナタリーにも感じるアナーキーさをこの映画からも感じるんです。
──そうなんですね。あと、庄村さんはアニメ作品もたくさんマイリストに選んでいます。
庄村 僕、アニメをよく観るんですよ。中でも「ARIA」っていう作品がすごくオススメで。テレビシリーズでやってたのは10年以上前で、僕は学生の頃にたまたま観たんですけど。今年映画化もされましたね。
──絵的にはけっこう萌え系なのかなとも思うんですが。
庄村 僕も萌え系なのかな?と思ってたんです。そしたら全然違うの。地球が滅んだあとの世界で、いろんな惑星がコロニー化していて、その中の“ネオ・ヴェネツィア”っていうコロニーが舞台。ネオ・ヴェネツィアの運河に浮かぶ船に乗る船頭さんたちの日常を切り取った作品ですね。キャラクターの表情よりも、俯瞰で風景を描いているシーンがすごく多いんですよ、アニメなのに。しかも描き込みがすごく絵画的。確かに萌えアニメとしても観ることはできるんですけど、それ以上に詰まってる要素が多い作品ですね。僕が深夜アニメはあなどれないぞって気付いた作品です。お話としても、戦いがあったりするわけでもないし、いわゆる日常系という系統のハシリの1つかもしれないです。「ジャケットにだまされるなよ」って声高に言いたいですね。大人のヒーリングアニメとして素晴らしいです。
──アニメだと「坂道のアポロン」も挙げていますね。
庄村 これはジャズ研の人たちの学園モノ。で、主人公がドラマーなんです。菅野よう子さんがひさびさに生楽器でスコアを書いた作品らしくて(参照:菅野よう子、ノイタミナ「坂道のアポロン」で青春ジャズ)。手元のアップのカットとかがすごく多くて、演奏シーンにフォーカスしてるところも見どころですね。アニメで見せるなら手元なんて無駄じゃん、正直。でもそのへんも本格志向でね。「坂道のアポロン」は学園モノで、そこで起きる恋愛ドラマだったりが描かれるっていうよくある構図ではあるんだけど、本当に見どころが多いですよ。
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- 紀里谷和明編
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- 井上三太編
Huluとは
月額制の動画配信サービス。テレビやPC、スマートフォン、ゲーム機などさまざまなデバイスで視聴できる。わずか3分の会員登録で人気映画やドラマ、アニメがすべて見放題に。今年4月よりユーザー数100万人突破を記念し、現在「フールー、オン」と題したキャンペーンを実施中。
川上洋平の語りたくなる作品リスト
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- インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》
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庄村聡泰の語りたくなる作品リスト
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- 機動警察パトレイバー2 the Movie
- 坂道のアポロン
- 勇者ヨシヒコと魔王の城
※各作品のHuluでの配信には期限があります。
[Alexandros](アレキサンドロス)
川上洋平(Vo, G)、磯部寛之(B, Cho)、白井眞輝(G)、庄村聡泰(Dr)の4人からなるロックバンド。2007年より[Champagne]名義で本格的に活動を始める。2010年1月にRX-RECORDSから1stアルバム「Where's My Potato?」を発表。美しいメロディとパワフルなバンドサウンドを武器に、さまざまなイベントやフェスに出演しファンを獲得する。2013年6月に4thアルバム「Me No Do Karate.」を発売。2014年3月の東京・日本武道館公演でバンド名を[Champagne]から[Alexandros]に改名した。同年6月に改名後初めての作品となるシングル「Adventure / Droshky!」と、武道館公演の様子を収めたライブDVD / Blu-ray「[Alexandros] Live at Budokan 2014」を発売。11月にはユニバーサルミュージックとパートナーシップを結んだことを発表し、2015年に3月にシングル「ワタリドリ / Dracula La」、6月にアルバム「ALXD」をリリースする。7月に2度目の武道館公演を成功に収め、10月より全国ツアー「[Alexandros] TOUR 2015“ご馳走にありつかせて頂きます”」を開催。12月にはシングル「Girl A」をリリースし、全国ツアーのファイナル公演として、千葉・幕張メッセ国際展示場にてワンマンライブを行う。
2016年1月8日更新