ストック曲はすべてデリート

──ちなみに昨年の10月にリリースされたシングル「Download Me If You Can」も違法ダウンロードに対しての怒りをぶつけている曲でしたが、今回のアルバム制作と同じ時期、同じモードで生まれたものだったんですか？

いや、あれはシングル用にということでポンッと作りました。だから今回収録するかどうかは迷ったんですけど、言いたいことが明確でアルバムの雰囲気に合ったから入れたっていう。今回入ってる曲は基本、そのシングルのあとの半年くらいで作った曲たちですからね。最後の2曲、「Start Again」と「Journey」なんかは前からありましたけど。

──じゃあかなり鮮度のいい曲たちが詰め込まれているというわけですね。

そうですね。それ以前から書きためてた曲もあったんですよ、10曲くらいかな。でも去年、coldrainとSiMと一緒に「TRIPLE AXE TOUR 2012」を回ったあとくらいにその曲たちを見たら、なんかわからへんけど全部がウソみたいに見えちゃったんですよ。自分の感情がもう変わっちゃってたというか。だから曲は全部パソコンにためておいたんですけど、勇気出してDeleteボタンを押しまして（笑）。

──全部消したんですか!?

うん。やめときゃよかったって今思ってますけどね（笑）。

──あははは（笑）。

でもね、違うと思ったんやったら、そこらへんははっきりせなあかんなと思ったので「使わない」んじゃなく「消してしまう」。で、そこからまた新たに曲をバーッと書いていったんです。自然と書きたいことが出てきて、「Download Me If You Can」のレコーディングが終わった夏から今年の1月くらいまでの間に30曲くらい作って。天才かな？と思いましたもん。俺いけるなあって（笑）。

今、アルバムをリリースするのは「冬が嫌いなんで」

──今年1月まで曲作りをしていて、それをアルバムとして5月1日にリリースするのってけっこうなスピードですよね。鮮度がいいうちに出したいという気持ちが強かったんですか？

っていうのもありますし、もう1つ「はあっ!?」って思われるかもしれないですけど、夏にツアーを回りたかったっていうのもあったんですよ。僕、冬が嫌いなんで。

──そんな理由が（笑）。

冬のツアーってすごいストレスなんですよ。空気も乾燥してるし、テンション上がらないんで。だから「夏にツアーやりたい」「じゃリリースは5月っしょ」みたいな。怖かったですけどね、ほんとに5月に出せるのか!?って（笑）。

──アレンジやレコーディング作業はスムーズに進行しました？

アレンジは超難産でした。僕、レコーディングのときにギターソロのフレーズとか考えていかないんですよ。スタジオでアイデアを煮詰めるタイプなんで。今回はそれに時間がかかったというか。あと、この曲にはギターソロを入れるか、ギターの代わりにホーンセクションにするかで迷ったときもあって。その場合は両方録ってみてから決めたりもしたんで、けっこう時間はかかりましたね。

──ほかのメンバーの方々もフレーズなどで悩んだりしてましたか？

たぶんトランペットのヤツ（Iori）は一番悩んでたんじゃないかな。フレーズを作ってきてもみんなに「イマイチやな」って言われることが続いてたし。あいつのソロパートをギターが横取りすることもけっこうあったんで、一回、自分の殻に閉じこもっちゃって。そんなに深刻な感じではなかったけど、トランペットを投げちゃうくらいにはストレスがたまってたみたいで。見事にトランペットが壊れたんで、翌日めっちゃ泣いてましたけど（笑）。

──オフィシャルサイトにアップされたレコーディング風景の映像を見ると、現場はめちゃくちゃ楽しそうでしたが。

いやいや、あれは楽しそうに見せてるだけですよ（笑）。みんなでシンガロングを録るときなんかは楽しいですけど、それぞれのフレーズに行き詰まってるときはほんまに地獄ですから。