音楽ナタリー PowerPush -グループ魂
ぜんぶ録り直し!初セルフカバーベスト
次は石鹸が泣かない武道館
──最後にこの後のグループ魂の活動についても教えてください。来年は結成20周年ということもあり、どうしても期待が膨らむわけですが……。
暴動 いろいろと考えてますけどね。夏って、みんなフェスに出るじゃないですか。そこでまとめて働けばいいんじゃないかなって思って。まあ、まだどこからも呼ばれてないんだけど(笑)。
遅刻 ハハハハハ(笑)。
暴動 ただ、何周年みたいなことにすがるつもりはないんですよ。そういうのってやってれば来ますからね、誰だって。長くやってればいいってもんでもないし、それで騒ぐつもりもないというか。「忘れてたね」って通り過ぎるくらいでもいいと思ってたくらいなので……。だって、実際は12年くらいですからね、このメンバーになって。なんだかんだ言って、「Run魂Run」(2002年リリースのメジャーデビューアルバム)からだと思うんですよ、グループ魂は。そう考えると大して長くやってるわけでもないし。
石鹸 まあ、そうかもね。
暴動 まだまだですよ。似たようなバンドが出てきたわけでもないですからね。
──フォロワーがいない、と。
暴動 フォロワーもいないし、俺らの前に同じようなバンドもいないですね(笑)。だから、すごく特殊なバンドにはなれてると思います。珍しいことをやってるのが取り柄だし、そこはちゃんと突き詰めていかないと。
──フェスのお客さんも若返ってるから、このタイミングでグループ魂を初めて知るっていう人も多いでしょうね。
暴動 そうそう、そうなんですよね。媚びるってことではなくて、その時代その時代のお客さんにちゃんと向き合っていかなくちゃいけないなって……。この前、ニューロティカのライブにゲストで出たんですよ。ステージの袖から彼らのライブを観てたら、前のほうにいるお客さんが俺らのお客さんより若くて、それがすごくショックだったんですよね。メンバーは俺らより年上なのに、お客さんが若いっていう。
石鹸 みんな一緒に歌ったり、振り付けとかしてて。
暴動 それを見て、石鹸さんと2人で落ち込んでたんです。「ダメだね、ちゃんと若いお客さんを獲得していかないと」っていう話もしたし。どうやったらいいのかはまだわからないですけど……大事なのは姿勢、アティチュードですよね。若いお客さんに対する。
石鹸 そうね。ただ、最近は下ネタをやると引かれる傾向もあったりして。
暴動 それはバンドに限らず、世の中全体だと思うけどね。俺のドラマとかもだいぶ抑えてるけど……。やっぱり、そういうものが“オフィシャル”じゃなくなってるんでしょうね。まあ、僕らはもともと、部屋で1人で聴いてニヤニヤできるような音楽を作ってるバンドなんですけどね。iPodに僕らの曲名が出てると、隠したくなるような(笑)。
小園・遅刻 ハハハハハ(笑)。
暴動 そういうバンドが幕張(「COUNTDOWN JAPAN」)の一番デカいところでやらせてもらってるのは、やっぱり物珍しいからだと思うんですよ。そこで若いファンを取り込んでいかないと。
石鹸 どこにでもいると思うんですよね、僕らみたいな音楽が好きな人は。ただ、人数がちょっとずつなんだと思うけど(笑)。
暴動 1回フェスで見ただけでも「知ってるバンド」ってことになるじゃないですか。そういうなんとなくのムードだけで知られてるのはしっくりこないんですよ。やっぱり、ちゃんとワンマンを観てもらわないとね。
──フェスの40分のステージだと、やれることも限られてますからね。特にグループ魂は曲とコントの両方で成立しているわけだから。
暴動 あと、グループ魂がちゃんと伝わる距離ってあると思うんですよ。新宿LOFTくらいじゃないと伝わらないって思ってるわけじゃないですけど(笑)、2011年に武道館でライブをやったあと、「次、どこでやろうか?」って話になったとき、何も思い付かなかったんです。GLAYみたいに何十万人のライブをやるようなバンドでもないし……。で、今は「もう少しお客さんと距離が近いステージでやりたいね」っていう話になってるんですけど。
──ステージでどんなことが起きてるか、何をやってるかがちゃんとわかる距離というか。
暴動 そうそう。破壊さんが「言うこと聞かないお客さんがいる」みたいなことを言ってるのが伝わらないと、面白くないですからね。ただ、武道館はもう1回やらないといけないと思ってるんです。この前のとき、石鹸さんがステージで泣いちゃったから。
石鹸 いやー(笑)。
暴動 石鹸が泣かない武道館をやりたいですね。でも、また泣いちゃいそうな気がするけど。
石鹸 そうなるとネタみたいになっちゃうね(笑)。
──このあとのライブ、そして、来年のオリジナルアルバムも期待してます!
暴動 あ、はい。ありがとうございます。
遅刻 僕らも楽しみです。
小園 がんばります!
- セルフカバーベストアルバム「グループ魂のGtOLDEN BETTER ~ベスト盤じゃないです、そんないいもんじゃないです、でも、ぜんぶ録り直しましたがいかがですか?~」/ 2014年10月29日発売 / Ki/oon Music
- 「グループ魂のGtOLDEN BETTER ~ベスト盤じゃないです、そんないいもんじゃないです、でも、ぜんぶ録り直しましたがいかがですか?~」
- 初回限定盤 [CD+DVD]3780円 / KSCL-2490~1
- 通常盤 [CD] 3146円 / KSCL-2492
CD収録曲
- グループ魂のテーマ better
- 君にジュースを買ってあげる♥ better
- チャーのフェンダー(Char入り)
- ラブラブ♡マンハッタン
- 嫁とロック better
- 竹内力 better
- 欧陽菲菲(菲菲&剣入り)
- Over 30 better 魂
- better High School
- お・ま・えローテンションガール・スタンダードエディション
- 職務質問(オリジナルエディション)
- 東北の魂(念仏入り)
- べろべろべたー
- ペニスbetter JAPAN
- 就職しやがれ better !!
- 「卒業」からの卒業
- I was PUNK!! ~グループ魂にあっちゃん(NEW ROTE'KA)は?~
- 病み上がり
- カチカチ
初回限定盤DVD収録内容
ミュージックビデオ
- 本田博太郎~magical mystery UPAAAAAAAAA!!!!!~
- 君にジュースを買ってあげる♥
- 嫁とロック
- おかあさん
- ラブラブエッサイム’82
- べろべろ
- だだだ
グループ魂(グループタマシイ)
1995年に破壊(Vo / 阿部サダヲ)、暴動(G / 宮藤官九郎)、バイト君(大道具 / 村杉蝉之介)の3人で結成。その後、小園(B / 小園竜一)、港カヲル(46歳 / 皆川猿時)、石鹸(Dr / 三宅弘城)、遅刻(G / 富澤タク)が加入して現在のメンバー編成となった。パワフルで直球なロックサウンドと過剰までの笑いにこだわったコントを多数織り込んだスタイルで、絶大な支持を集めている。結成当初はコント中心のステージだったが、オリジナル楽曲を徐々に増やしロックシーンにもその名をアピールした。2002年12月にアルバム「Run魂Run」でメジャーデビューを果たし、2005年10月にはシングル「君にジュースを買ってあげる♥」が大ヒット。同年12月にはこの曲で「NHK紅白歌合戦」に出場した。2011年には結成15周年を記念した全国ツアーを行い、ツアーファイナルとして初の日本武道館ワンマンライブを敢行。2014年10月に初のセルフカバーベストアルバム「グループ魂のGOLDEN BETTER~ベスト盤じゃないです、そんないいもんじゃないです、でも、ぜんぶ録り直しましたがいかがですか?~」を発表した。2015年に結成20周年の節目を迎える。