音楽ナタリー Power Push - 港カヲル

永遠の46歳が本当の46歳に! グループ魂のアイコン、衝撃ソロデビュー

グループ魂の“永遠の46歳”港カヲル(皆川猿時)がアルバム「俺でいいのかい ~港カヲル、歌いすぎる~」でソロデビューを果たした。2017年2月1日に本当に46歳になることを記念して制作された本作は、「女子力発電おじさん ~私立恵比寿中学に迷いこんだ港カヲル~」「Be my ライバル ~カヲルが破壊に噛み付いた~」などのオリジナル曲や、ゴスペラーズの「ひとり」、柴田恭兵の「ランニング・ショット」といったカバー曲を収録。さらに前山田健一、坂本慎太郎、ASA-CHANG、向井秀徳、私立恵比寿中学、神田沙也加、松尾スズキなど豪華なゲスト陣が参加し、“歌手・港カヲル”の魅力を引き立てている。

今回音楽ナタリーでは港カヲルソロデビューを記念して、昨年大みそかの「COUNTDOWN JAPAN 16/17」出演の合間に港カヲル、破壊(Vo / 阿部サダヲ)、暴動(G / 宮藤官九郎)、石鹸(Dr / 三宅弘城)による座談会を実施。「俺でいいのかい ~港カヲル、歌いすぎる~」の制作秘話、2月に東京と大阪で行われるコンサート「港カヲル 人間生活46周年コンサート ~演奏・グループ魂~」に向けての構想を聞いた。なお、特集の最後には真冬の大都会を徘徊する港カヲルを追ったフォトギャラリーを用意。彼の強烈な存在感をビジュアルでも楽しんでほしい。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 吉場正和 インタビュー撮影 / 中野明子

自分の声が聞こえないのに、なんで聴かなきゃいけないんだよ!

──港カヲルさんのソロデビューアルバムは、“永遠の46歳”のカヲルさんが本当に46歳になることを記念して作られたアルバムですが手応えはどうですか?

港カヲル(46歳) 手応えかい? そうねえ、新曲があったりカバーがあったりするんだけど、全部僕が歌ってるんですよ。

暴動(G) それはわかってますよ(笑)。グループ魂のアルバムでカヲルさんが歌うのは、今までは1曲か2曲くらいだったでしょ? 今回はフルで12曲歌ってるから、レコーディングの最後のほうは歌がうまくなってましたよね。

左から石鹸(Dr)、破壊(Vo)、港カヲル(46歳)、暴動(G)。

破壊(Vo) すごいよね。でも、ゴスペラーズの「ひとり」のカバーを聴いたときは、仮歌かと思ったけど。

 あれはレコーディングの最初のほうに録ったんだよ! しょうがないだろ!

破壊 いつも「グループ魂のアルバムはあまり聴かない」って言ってるけど、ソロだと聴くの?

 うん、すごく聴いちゃう。

石鹸(Dr) ははははは(笑)。やっぱり聴いちゃうんだ?

 そりゃそうですよ。聴いてるといろいろ思い出すからね。「この曲のレコーディングのときは、こんなことがあったな」とか。思い出を振り返れるって、楽しいよね。

暴動 何でグループ魂のときはそれができないの?

 だって僕の歌がカットされてたりするでしょ! 自分の声が聞こえないのに、なんで聴かなきゃいけないんだよ!

破壊 はははは(笑)。「俺でいいのかい」で、途中で音程が上がっていくところあるでしょ? あそこなんてけっこううまいよね。

暴動 気持ちよさそうに歌ってるときは、大体いいんだよね。……あ、そうか。いつもはカヲルさんのために作ってないから気持ちよく歌えないのか。

 そうなの。普段はコーラスばっかりだから。

暴動 今回は逆だからね。「ひとり」なんて、破壊、バイト君(大道具 / 村杉蝉之介)をコーラスとしてはべらせてるし。「グループ魂が俺のためにがんばってるな」という感じもする?

 それはあるね。というかね、1人では何もできないんだなって改めて実感しましたよ、ええ。

暴動 GLAYのTAKURO(G)が俺のために「HOWEVER」を書いてくれたんだな、みたいな気持ちになった?

港カヲル(46歳)

 そこまでは思わないけど(笑)、いろんな方にお世話になってますからね。神田沙也加さんとデュエットさせてもらった曲(「ふたりのSecond party ~港カヲルが神田沙也加に出会った~」)だったり。

暴動 神田さんなんて今までなんの接点もないのに参加してくれたからね。俺はまだ1回も会ってないけど。

 俺だって会ってないよ! 歌録りが別の日だったから。

石鹸 え、そうなの?

破壊 レコーディングは誰が立ち会ったんだっけ?

暴動 遅刻さん(G / 富澤タク)。

 あー、それはイメージがよくないかもね……。

破壊 ヒャダイン(前山田健一)さんが作ってくれた曲(「女子力発電おじさん ~私立恵比寿中学に迷いこんだ港カヲル~」)もあるし、すごく豪華だよね。カヲルさんもすっかり積極的になっちゃって、さっきもバックヤードで中田ヤスタカさんに自分から挨拶してたでしょ。

暴動 きゃりーぱみゅぱみゅはカヲルさんのことを誰だかわかってなかったけどね(笑)。

 ははははは(笑)。

やっぱりちゃんとしてるよね、破壊くんは

──カヲルさんと破壊さんのパンキッシュなデュエットソング「Be my ライバル ~カヲルが破壊に噛み付いた~」も素晴らしいですね。作曲は石鹸さんです。

石鹸 はい。暴動さんから歌詞が送られてきて、2人のことを考えながら作らせてもらいました。

暴動 もともとは高い声と低い声でクリスタルキングをやろうと思ったんだけど、うまくいなかくて(笑)。

石鹸 曲の途中でその片鱗は見えるけどね。

暴動 「ああ 果てしない」って歌ってるしね(笑)。

 ガマンできなくなったんだね。でもさ、破壊くんと一緒に歌ってみて思ったんだけど、やっぱりちゃんとしてるよね、破壊くんは。カッコいいもん。

破壊 何なに? どうした?

 ほら、さっき「レコーディングしてるうちに歌がうまくなった」って言ってたでしょ? でも、ただうまくなるだけじゃダメなんだよね。破壊くんは“ボーカリスト”って感じするもんね。

破壊 なんでそんなに褒めるの? さっき家族に会ったから、毒が抜けちゃったんじゃない?

 いやいや、2017年も破壊くんにはお世話になるからさ(笑)。

──家族と言えば、カヲルさんが作詞、坂本慎太郎さんが作曲した「カヲルの子守唄」には、カヲルさんのお子さん2人がコーラスで参加してますね。

 そうなんですよ。

暴動(G)

暴動 カヲルさんが書いた歌詞は「Shall we sex」だったんですけど、俺がさりげなく「Shall we sleep」に直しました。

 偉いね、そういうところ。

暴動 当たり前じゃん! 俺は自分の子供にそんなの歌わせるの絶対イヤだもん。

石鹸 そりゃそうだ(笑)。

 まだ子供だから、純粋なんだよね。下の女の子に「風俗嬢って誰?」って聞かれましたから。

──「風俗嬢にほめられたんだ」という歌詞もありますからね。

暴動 そうだ! カヲルさんの子供、ライブにも出てもらおうか? 仮面付けて。

破壊 マイケル・ジャクソンの子供みたいにね(笑)。

暴動 あ、それ面白いね。

 やめてよ、2人共出たがりなんだから!

港カヲル ソロアルバム「俺でいいのかい ~港カヲル、歌いすぎる~」 / 2017年1月25日発売 / Ki/oon Music
「俺でいいのかい ~港カヲル、歌いすぎる~」
初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / KSCL-2833~4
通常盤 [CD] 3024円 / KSCL-2835
CD収録曲
  1. 俺でいいのかい
    [作詞・作曲:宮藤官九郎 / 編曲:宮藤官九郎、富澤タク]
  2. ひとり
    [作詞・作曲:村上てつや / 編曲:益田トッシュ / オリジナル:ゴスペラーズ]
  3. 女子力発電おじさん ~私立恵比寿中学に迷いこんだ港カヲル~
    [作詞:宮藤官九郎 / 作曲・編曲:前山田健一]
  4. ランニング・ショット
    [作詞:門間裕 / 作曲:吉松隆 / 編曲:向井秀徳 / オリジナル:柴田恭兵]
  5. Be my ライバル ~カヲルが破壊に噛み付いた~
    [作詞:宮藤官九郎 / 作曲:三宅弘城 / 編曲:グループ魂]
  6. HOWEVER
    [作詞・作曲:TAKURO / 編曲:益田トッシュ / オリジナル:GLAY]
  7. ふたりのSecond party ~港カヲルが神田沙也加に出会った~
    [作詞:宮藤官九郎 / 作曲・編曲:富澤タク]
  8. 君は1000%
    [作詞:有川正沙子 / 作曲:和泉常寛 / 編曲:富澤タク / オリジナル:1986オメガトライブ]
  9. 東京午前3時
    [作詞:松尾スズキ / 作曲:伊藤ヨタロウ / 編曲:伊藤ヨタロウ、関根真理、辰巳小五郎]
  10. 壊れかけのRadio
    [作詞・作曲:徳永英明 / 編曲:益田トッシュ / オリジナル:徳永英明]
  11. カヲルの子守歌
    [作詞:皆川猿時 / 作曲・編曲:坂本慎太郎]
  12. 南部ダイバー
    [作詞・作曲:安藤睦夫]
初回限定盤DVD収録内容
  • 「情熱皆川大陸ディレクターズカット」
港カヲル 人間生活46周年コンサート ~演奏・グループ魂~
  • 2017年2月1日(水)
    東京都 東京国際フォーラム ホールA
  • 2017年2月7日(火)
    大阪府 オリックス劇場
グループ魂(グループタマシイ)
グループ魂

1995年に破壊(Vo / 阿部サダヲ)、暴動(G / 宮藤官九郎)、バイト君(大道具 / 村杉蝉之介)の3人で結成。その後、小園(B / 小園竜一)、港カヲル(46歳 / 皆川猿時)、石鹸(Dr / 三宅弘城)、遅刻(G / 富澤タク)が加入して現在のメンバー編成となった。パワフルで直球なロックサウンドと過剰までの笑いにこだわったコントを多数織り込んだスタイルで、絶大な支持を集めている。結成当初はコント中心のステージだったが、オリジナル楽曲を徐々に増やしていく。2002年12月にアルバム「Run魂Run」でメジャーデビューを果たし、2005年10月にはシングル「君にジュースを買ってあげる♡」が大ヒット。同年12月にはこの曲で「NHK紅白歌合戦」に出場した。2011年には結成15周年を記念した全国ツアーを行い、ツアーファイナルとして初の東京・日本武道館ワンマンライブを敢行。2014年10月に初のセルフカバーベストアルバム「グループ魂のGOLDEN BETTER~ベスト盤じゃないです、そんないいもんじゃないです、でも、ぜんぶ録り直しましたがいかがですか?~」を発表した。2017年1月、港カヲルが実年齢で46歳を迎えることを記念してソロデビューアルバム「俺でいいのかい ~港カヲル、歌いすぎる~」をリリース。2月に東京と大阪でソロコンサートを開催する。