GLIM SPANKY|自らの奥深くを掘り起こした、フルアルバムへの導入編

深い部分を打ち出して、3rdアルバムに向けた導入編に

──では、ミニアルバム「I STAND ALONE」収録の5曲について聞かせてください。まず1曲目の「アイスタンドアローン」から。ミニアルバムのタイトルが「I STAND ALONE」と欧文表記であるのに対して、こちらの曲名はその片仮名表記ですね。

松尾 サビ以外はほとんど日本語で書いた歌詞なので片仮名にしました。自分たちがずっと好きだったサイケデリックな要素と新しい要素とをかけ合わせた曲です。これは2ndアルバムの「Next One」ができてすぐくらいから作り始めた曲でした。これまでの2枚のアルバムでGLIM SPANKYの基礎となる楽曲を作れたんじゃないかという思いもあったので、2人で話し合って、ここからはもう一歩自分たちの奥に分け入って、より深い部分を掘り起こそうと決めて。つまり今回のミニアルバム自体、そうした深い部分を打ち出すことで、次の3rdアルバムに向けた導入編にしたいという思いから作ったものなんです。

──エスニックな感じのフレーズが、大陸的なスケールと重さを持ったビートに絡む楽曲の雰囲気から、個人的にはAerosmithの「Livin' On The Edge」を思い出しました。スタジアムクラスの会場が似合いそうなロックチューンというか。

亀本寛貴(G)

亀本 やった。まさにそうです。

松尾 そこは本当に意識しました。2人で話し合って「ストレートだけど器が広い」「サイケデリックだけど王道」という立ち位置のロックを目指しました。

──歌詞はこれまでもGLIM SPANKYが歌ってきた「孤高であれ」というメッセージを改めて提示しているというか、孤高という名の旗を振っているような歌詞ですね。

松尾 ありがとうございます。「ワイルド・サイドを行け」の歌詞では「仲間とこじ開ける未来」と書いたんですけど、そもそも1人ひとりがしっかり立っていないと、いい仲間にはなれないという思いがあって。仲間と何かを成し得たいという意識は今も変わってはいないんですけど、それをもっと突き詰めたときに「ただ迎合するんじゃなくて、孤高の1人ひとりが集まってこその仲間なんだぞ」ということをもう一度伝えたくなって書きました。

──ここで面白いと感じたのは、「ONE PIECE」の主題歌のような、メジャーならではといったダイナミズムを体験しても、GLIM SPANKYそのものはまったくスポイルされていないところですね。

松尾 むしろより尖ったかもしれない。この歌詞でも「場所で悩むより先に ここで何をするのかが大事だ」と書いたんですけど、私は常にそう思っていて。「ONE PIECE」の主題歌になったからって、自分の足がしっかりと地に着いていないと何もなかったのと同じことになる、ということも感じたので、たぶんこういう言葉が出てきたんじゃないかと思います。

──歌うことで襟を正す、みたいな?

松尾 そうですね。襟を正して、背中を押して、もう一度自分に問いかけるような気持ちでしたね。こういった思いは昔からずっとあったので。自分の中にある野心の源ですね。

いい意味で自分が柔軟になった

──2曲目の「E.V.I」は、先ほどの話だとベルリンへの訪問が元になっているということでしたが、GLIM SPANKYらしい曲だけど、歌詞のディテールはより緻密になってきたという印象を受けました。

松尾 うれしいです。これまでの歌詞はムード重視で大まかに書いていたんですが、この歌詞は固有名詞を書くことによって物語の世界を膨らませるというのをテーマにしてみました。あとはなるべく感情を込めず、誰がどこにいて、何をした、そしてあれは何色だ、みたいに、第三者が客観的に傍観しているような視点の歌詞を書きたいと思いました。

──そしてこの曲に限らず、ギターのフレーズも細かくなってきましたね。リフのように繰り返さない、つまり一度しか弾かないフレーズも幾つかあって。

亀本 フレーズに制約を設けないように心がけました。これまでは繰り返さないフレーズは使っちゃダメとか、必要最低限のフレーズでロックなのがカッコいいとか、多少は意識していたんだけど、もうやめました。必要だったらなんでもOKみたいな。いい意味で自分が柔軟になってきました。そこはギターだけじゃなくアレンジ全般ですね。例えばイントロと1サビ終わりにしか出てこないフレーズでも、それが曲の流れの中でアリならいいじゃん!と思うようになりました。

松尾 細かく言うと、例えば「美しい棘」のギターソロからBメロに変わるところは私がフレーズを作りました。

亀本 レミさんが「脈絡ないけどこういう音が欲しいから入れよう」って。だから「わかった」って言って、そのままポンっと置いた。最近はグルーヴとかノリの脈絡さえなくならなければ何をやっても大丈夫だっていう感覚が強くなったのかもしれない。

GLIM SPANKY「I STAND ALONE」
2017年4月12日発売 / Virgin Music
GLIM SPANKY「I STAND ALONE」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
2916円 / TYCT-69115

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GLIM SPANKY「I STAND ALONE」通常盤

通常盤 [CD]
1944円 / TYCT-60098

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CD収録曲
  1. アイスタンドアローン
  2. E.V.I
  3. Freeder
  4. 美しい棘
  5. お月様の歌
初回限定盤DVD収録内容

全国ワンマンツアー "Next One TOUR 2016" ファイナル公演(2016.10.30新木場STUDIO COAST)ライブ映像

  • NEXT ONE
  • ダミーロックとブルース
  • 闇に目を凝らせば
  • grand port
  • 時代のヒーロー
  • いざメキシコへ
  • 風に唄えば
  • 怒りをくれよ
  • 大人になったら
  • ワイルド・サイドを行け
  • リアル鬼ごっこ
GLIM SPANKY 野音ライブ 2017
  • 2017年6月4日(日)東京都 日比谷野外大音楽堂
  • 2017年6月17日(土)大阪府 大阪城音楽堂
GLIM SPANKY(グリムスパンキー)
GLIM SPANKY
松尾レミ(Vo, G)、亀本寛貴(G)による男女2人組のロックユニット。2007年に長野県内の高校で結成。2009年にはコンテスト「閃光ライオット」で14組のファイナリストの1組に選ばれる。2014年6月に1stミニアルバム「焦燥」でメジャーデビュー。その後、スズキ「ワゴンRスティングレー」のCMに、松尾がカバーするジャニス・ジョプリンの「MOVE OVER」が使われ、松尾の歌声が大きな反響を呼ぶ。2015年7月には1stアルバム「SUNRISE JOURNEY」をリリース。10月には東京・赤坂BLITZにてワンマンライブを実施した。7月20日に2ndアルバム「Next One」を発表。収録曲「怒りをくれよ」は映画「ONE PIECE FILM GOLD」主題歌に起用された。2017年4月に3rdミニアルバム「I STAND ALONE」をリリースする。リード曲「美しい棘」はテレビ朝日系で4月13日より放送されるドラマ「警視庁・捜査一課長 season2」の主題歌。