GLAY・TAKUROインタビュー|「50代を迎えた今がピーク」リーダーが自負する最新モード (3/3)

2026年一発目はピリッと

──MVを撮影していた頃には、空っぽな状態から復活しつつあった?

そうですね。先ほど8月中旬に曲作りを再開したとお話ししましたが、実はMV撮影前の8月上旬にプライベートで10日ほどニューヨークに滞在していて。そのときに毎日いろんな刺激を受ける中で少しずつ。

──そこから本格的に曲作りに?

もう自分としては次のアルバムに向けての作詞作曲の仕事は終わって、今はアレンジの段階ですね。

──え? もう新しいアルバムの制作に入られているんですか?

あとはTERUのキー合わせと、亀田(誠治)さんと一緒にアレンジを詰めていく作業ですね。バンドに余力があれば、1月27日のKアリーナ横浜公演(「LAWSON 50th Anniversary presents GLAY Special LIVE」)で、アルバムの新曲を聴かせられたらなと。ライブの構成をメンバーにプレゼンしてる最中です。

──相当チャレンジングですね。

このタイミングに人気曲でさらっとコンサートをやることに我慢ができないんですよ。今、その道を選んでどうするの?と。3月に始まるホールツアーでは、30周年の続きというか、30年をお祝いしてくれた人たちへのお礼としていろんな場所に行くので、みんなの知ってる曲で旧交を温めるのが目的だけど、2026年の一発目のライブで「誘惑」「HOWEVER」「Winter, again」をセットリストに並べることに対して疑問が浮かんでね。せっかくならヒリヒリするようなことをやりたいと。

──そのアイデアに対してTERUさん、HISASHIさん、JIROさんの意見は?

日によって違いますね。最初に伝えたときは賛成してくれたけど、ライブは近付く中で「もう1回考えない?」「準備が間に合うかな?」みたいな意見も出てます。でも俺は間に合わなくても、“中途半端”を一生懸命やったらそれはそれでエンタメになると思うんですよ。

JIRO(B)

JIRO(B)

──それが成立するのは、30年間プロをやってるGLAYだからだと思います……。

リリースして、1年経ってしまったら曲って成人しちゃうから。子供時代の青さみたいなもの、若さゆえの過ちみたいなものをメンバーやお客さんとも共有して楽しみたい。でも、さっきご招待でいらっしゃる方もいると聞いて、「お客さんが知ってる曲が多いほうがいいかな?」って優しさが顔を出し始めてます(笑)。一方でバンドとして35周年、40周年を目指すなら、ここで安牌は取らない方がいいんじゃないかと、俺の心は叫んでいて。

──葛藤している最中だと。

手癖とか、必殺技とか、目をつぶっても弾けるとか、そういう状況から遠いところに常にミュージシャンはいるべきだと俺は思ってるところがあって。かと言って、メンバーに無理強いはしたくないので……最後の最後までどうなるかわからないけど、2026年の一発目のライブはピリッとした感じにしたいですね。

思い出再生装置になりたいわけじゃない

──30周年を経てのGLAYの現在地を探ることが今回の取材の目的だったんですが、お話を聞く感じではなかなかの攻めモードですね。

根底にあるのは、GLAYをやっていて楽しいなとメンバーやスタッフに思ってもらえることなんです。それと、尊敬する先輩アーティストたちが常にチャレンジしていることも大きいですね。どんなにヒット曲が過去にあろうとも、その時代その時代に感じたものを作品にするのは当たり前のことで。俺たちは演奏者であると同時に、ロックというジャンルを選んだ以上、ステートメントをちゃんと出し続ける必要がある。思い出再生装置になりたいわけではないんです。それは俺が10代の頃目指したロックバンドじゃないから。命ある限り、時代と並走して自分たちのメッセージを伝えていきたい。

──そういう意味で、今回のシングルはいろんな角度から今のGLAYが凝縮されていますよね。カップリングにはTERUさんの新曲「Unleashed feat. 安達祐人」、小田和正さんとのコラボ曲「悲願」の世武裕子さんが参加した新アレンジ、YUKIさんがゲスト出演した東京ドーム初日公演(「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 GRAND FINALE」)から「南東風」のライブ音源、世代が異なるトラックメイカーによる「Dead Or Alive」のリミックス音源が収録されています。初回限定盤の映像ディスクには「Dead Or Alive」のミュージックビデオとメイキング映像、30周年の動きをまとめたダイジェスト映像、東京ドームを熱狂させたL'Arc-en-Cielのhydeさんとの「誘惑」のセッションなどが収められていて、聴き応えも見応えもありました。ざっくりまとめると30周年を経た新しいGLAYと、GLAYがこれまで積み上げてきたものの両方が1枚で楽しめてしまう。

パッケージ作品を出すときは、この“大配信時代”における意義が問われるわけです。マネジメントとは、興味を持ってもらうために特典を大事にしたいし、シングルの翌週にリリースする映像作品(「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 GRAND FINALE」)の予告編的なものにできたらという話になりました。例えばYUKIが好きとか、L'Arc-en-Cielやhydeくんが好きという人も手を伸ばしやすいものになるかなと。

「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 GRAND FINALE」東京ドーム公演よりセッション中のGLAYとhyde(Vo / L'Arc-en-Ciel)(撮影:田辺佳子)。

「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 GRAND FINALE」東京ドーム公演よりセッション中のGLAYとhyde(Vo / L'Arc-en-Ciel)(撮影:田辺佳子)。

見つめ合いながら熱唱するhyde(Vo / L'Arc-en-Ciel)とTERU(Vo / GLAY)。(撮影:田辺佳子)

見つめ合いながら熱唱するhyde(Vo / L'Arc-en-Ciel)とTERU(Vo / GLAY)。(撮影:田辺佳子)

──なるほど。カップリング曲についてもお伺いします。「Unleashed feat. 安達祐人」は、2023年2月リリースの「限界突破」以来となるTERUさん作詞作曲のナンバーですが、この曲を初めて聴いたときの印象はいかがでしたか?

歌詞がまんま函館のことで、「君はなんぼ函館が好きやねん」と思ったね(笑)。

──TERUさんは以前「衝動がないと曲が書けない」とおっしゃっていたのですが、衝動が戻ってきたんでしょうか?(参照:GLAY「whodunit-GLAY × JAY(ENHYPEN)- / シェア」特集|TERUインタビューで迫るJAYとの刺激に満ちた制作

いや、「Unleashed」は「限界突破」や「Pianista」(2023年リリースのEP「HC 2023 episode 1 -THE GHOST/限界突破-」収録)を作っていた時期と同じ頃に書かれたものですね。

──それで「Pianista」同様にサクライケンタさんが編曲されているんですね。約3年を経て、温めていたものを満を持して出したと。TERUさんと安達祐人さんとの掛け合いや、サウンドの方向性など新しさも感じられます。

個人的にたまにTERUの曲を聴きたくなるんですよね。才能があるのに、ほっとくと曲を書かないんで、「今回は『Unleashed』を完成させましょう」と伝えて形にしました。

──TERUさんのソングライターモードが発動されるのはもう少し先になりそうでしょうか?

TERUは今年の夏はアート一色だったんですが、俺とHISASHI、JIROが新曲のやりとりをしているのを見て、「今みんなが目指してる方向性いいよね。こういったタイプの曲、俺も作りたくなってきた」と言ってたので、そのうち書くんじゃないかな。彼は器用だし、天才なのでね。

GLAYは今がピーク

──小田和正さんをフィーチャーした「悲願」の新しいバージョンについてはいかがですか?

俺たちにとって小田和正さんとのセッションは、長いこと夢を見ていた、かけがえのないもので。この曲は今年の春にリリースしたベスト盤「DRIVE 2010~2026 -GLAY complete BEST」にも収録されていますが、もう一手打ちたい、世の中にもアピールしたいと考えたときに、改めて曲と向き合って、作り直したいと思ったんです。だから京セラドームで披露するだけでなくて、シングルにも収録しましたし、こういった取材でもお話しして再注目してもらいたいなと。

──世武さんのピアノが入ることによって、より深みが増したサウンドに仕上がってます。

俺もそう感じます。

──にしてもすごい振り幅ですよね。1枚のシングルにロッテルダムテクノ調の「Dead Or Alive」と、深淵なバラードの「悲願」が同居しているのに、「GLAYだから」というひと言で納得できてしまう妙な説得力がある。

改めて変なバンドですよね、GLAYって(笑)。自分が10代の頃に、ロックもポップスもやりたいと四の五の言ってたのが、何十年も経って形になるとは、という驚きもあります。

──「GLAYだから」というのが通用するのは、HISASHIさんを大きくフィーチャーしたアルバム「SUMMERDELICS」(2017年発表)や、作品ごとにメンバーをフックアップしてきたTAKUROさんの功績が大きいと思います。時間をかけて、GLAYなら“なんでもあり”にしたというか。

小田さんを引っ張り出したり、JAYとコラボしたり、Queenと対バンしたり、東京ドームにYUKIとhydeくんに来てもらったり……GLAYを通じて思いっきり人生を楽しませてもらってますね。

──30周年ライブで「永遠にGLAYをやりたいです」というメッセージを打ち出していた通り、GLAYはメンバーの皆さんの命が尽きるまで続くわけですが、2026年はKアリーナ公演やホールツアー以外に、どんな展開を予定していますか?

2026年はTERU悲願のベネチアでのコンサートが予定されていますね。

──2016年のファンクラブ公演でTERUさんが口にした、「(ファンクラブの)30周年ライブはベネチアでやる」宣言ですね。

あれから10年、とうとうその年がやってまいりました(笑)。もう最終調整に入ったので、それがGLAYとしては2026年の大きな“へそ”になるんじゃないかな。自分自身もだけど、HISASHIにしても、CONTRASTZとしての活動を始めたJIROにしても今がピークで。TERUに至っては今のボーカルが過去一番いい。デビュー30周年を超えてそれもどうかと思うけど、この世界で50歳を過ぎてもピークになるやつが一緒にいるのはありがたい話ですよ。

公演情報

HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2026 “GLAY-complete BEST”

  • 2026年3月20日(金・祝)栃木県 宇都宮市文化会館
  • 2026年3月27日(金)石川県 金沢歌劇座
  • 2026年3月29日(日)滋賀県 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
  • 2026年4月3日(金)山口県 KDDI維新ホール
  • 2026年4月5日(日)長崎県 ベネックス長崎ブリックホール
  • 2026年4月10日(金)奈良県 なら100年会館
  • 2026年4月12日(日)香川県 レクザムホール(香川県県民ホール)
  • 2026年4月17日(金)岡山県 倉敷市民会館
  • 2026年4月19日(日)鳥取県 米子コンベンションセンター BiG SHiP
  • 2026年4月23日(木)宮崎県 都城市総合文化ホールMJ
  • 2026年4月25日(土)熊本県 熊本城ホール メインホール
  • 2026年5月14日(木)岩手県 トーサイクラシックホール岩手(岩手県民会館)
  • 2026年5月16日(土)青森県 リンクステーションホール青森(青森市文化会館)
  • 2026年5月18日(月)群馬県 高崎芸術劇場
  • 2026年5月25日(月)東京都 東京ガーデンシアター
  • 2026年5月26日(火)東京都 東京ガーデンシアター

プロフィール

GLAY(グレイ)

TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年に結成。1989年にHISASHI(G)、1992年にJIRO(B)が加入し現在の体制となり、1994年にメジャーデビューした。以降CDセールス、ライブ動員数などで数々の金字塔を打ち立て、日本のミュージックシーンをリードし続けている。2005年にメンバー主体で個人事務所を設立し、2010年6月に「GLAYがもっと音楽に対して真っすぐである為に」という思いを掲げ、自社レーベル「loversoul music & associates」(現LSG)およびECサイト「GLAY Official Store G-DIRECT」を発足。さらに2017年にGLAYのすべての音楽と映像を配信するサブスクリプション型公式アプリ「GLAY app」を立ち上げるなど、音楽を通してGLAYがあらゆる可能性にチャレンジしていけるよう、常に独自のスタンスで高みを目指している。デビュー30周年を迎えた2024年から25年にかけて「GLAY EXPO」というテーマを掲げ、さまざまな活動を展開。2025年4月にベストアルバム「DRIVE 1993~2009 -GLAY complete BEST」「DRIVE 2010~2026 -GLAY complete BEST」を発表し、デビュー30周年のグランドフィナーレとして5月から6月にかけて東京・東京ドーム、大阪・京セラドーム大阪でライブを行った。同年12月にシングル「Dead Or Alive」、デビュー30周年ライブの映像を収めた「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 GRAND FINALE」をリリースした。