音楽ナタリー Power Push - HISASHI(GLAY)×吉田豪
AUTO-MODからエヴァまで 同世代2人のサブカル大放談
インターネットの世界は居心地がいい
──最近はサブカル趣味というよりアニメがメインになってきてる感じですか?
うーん。
──あくまでもサブカル全般?
そうですね。それに派生するものがいろいろあって、それが「ニコニコ超会議」でできることだったりとかして、今の自分が活動しているインターネットの世界っていうのは、すごく居心地がいいんですよ。今までだったら出会うことのなかったような人に出会えたり、Twitterっていうのもすごく大きかったです。
──ボクもTwitterでHISASHIさんにフォローされたときは驚きましたからね。
やっぱりギター、インターネット、車っていうのが僕の中ですごく大きくて。もともとすごく消極的だったから、中学の頃とか。ギターだったら大きな音が出せる、自分の思いが伝えられると思って。僕はすごく典型的な函館の中学生で、ギターに勇気をもらった。そういう人はけっこう多いと思うんだけど。でも、インターネットではやっぱり、それまで知ることのなかった世界というか、危ないところももちろんだし、そういうのも経験できて。アニメの監督とか、まさに吉田さんもそうなんだけど、それまでは出会えるようなつながりがなかったですから。90年代とかって、わりとGLAYのパブリックなイメージがあるじゃないですか? 仲がいいスーツ着た4人組バンドみたいな。そういう殻から出られるようになったのが2000年以降だと思うんです。そういったインターネットのインフラが整ってからっていうのは、すごく自分の居場所を定められたような気がします。
──実像を世間に出しやすくもなったし。
出していいんだと思ったんですね。それがダメだと思っていたから。僕らの世代ってギリギリじゃないですか、「ロックとは?」みたいな幻想が大きくて、ツェッペリンを聴かなければ駄目だ、みたいな。よく、ライブハウスの店長さんとかに怒られていましたね、僕ら。
──どんな理由で怒られてたんですか?
「もうちょっとこういうの聴いたほうがいいよ」って、プログレとか薦められて。「そうなんだー、聴いてもわかんないなー。とりあえず、かまいたち聴こう」みたいな(笑)。それこそ僕が10代の頃はアイドル全盛期だったし、そういうのももちろん聴いてたけど、バンドのイメージもあって、あんまりアイドルが好きだったとか言えなかったですね。でも、今はそういうことを言っても許される時代になったというか。
──それこそ「夏の魔物」でBiSの「primal.」をプールイさんと一緒にやったりとか。
そうですね。ああいうのもたぶん彼女たちのプロデューサーやスタッフと同じ世代だから思うんです、僕らは。そこらへんで、つながりが生まれてきたりとかもあるし。本当に音楽好きな人が、今のアイドルを支えているというのもあるし。それこそPerfumeのマネージャーは元GLAYのマネージャーで、90年代に一緒に戦ってきた彼が今Perfumeをやってて、すごくがんばってると思うし。自分たちもそういう世代なのかな、と思いながらいろいろとやっていて。今、GLAYはポニーキャニオンと一緒にやってて、そのおかげで声優の方だったりとか、普段出会わない方と曲が作れるのも、今になってからなのかなと思いますね。
自由すぎて大丈夫かな
──青森の「夏の魔物」でHISASHIさんがライブやったりできるのも今だからですよね。ぼんやりと「夏の魔物」でライブを観ていて、ふと横を見たらHISASHIさんがいて、非常階段の話を振られたときはすごい時代になったと思いました。
驚いたのが、そのときに夏の魔物の1stシングルでギターを弾いてライブで再現したんですけど、僕以外全員当て振りという状態で、「おかしいだろう! なんで僕だけ真面目に弾いてるんだろう」って。それにしても、あれは成田(大致)くんの思い一発ですね。でも、フェスってそういうものなのかなって。
──本気で怒る人もいっぱいいますけどね。岡村靖幸さんは怒ってましたから(笑)。
みたいですね(笑)。
──成田大致には怒るか、バカ負けするかのどっちかだってボクは言ってるんですけど、そういう世界にまでHISASHIさんが入ってくるとは思いませんでした。
バックヤードで出会いとかもたくさんあって面白かったですよ。もともとGLAY自体が、すごく器の広いバンドだったので、それはそれで自由にやらせてもらっています。自由すぎて大丈夫かなと思うんですが、そこからつながる縁もありますからね。そこで失敗したら次につなげればいいし、仕事になるかもしれないし。いろいろまだまだやりたいことありますからね。全然まだできてないから。
──失敗はしなさそうですよね。
あんまりしないですね(笑)。あと、ファンのみんながちゃんと受け止めてくれる。ファンのプロだなと思います。1回GLAYでもあったんですよ。GLAYのライブで4列目か5列目で写メを撮って、それをTwitterに挙げたら5人くらいの人が叩いて……それをメンバーのアカウントに報告してくるんですよ。でも、自分でチケット取ってきてくれているんだし、僕もステージを写すことあるし。チケットが取りにくいから悔しかったり、そういう声が届きやすくなってるんだろうなって。最近だと「フジロック」にSEALDsが出ることを叩いたりとか。
──「フジロックに政治を持ち込むな」問題ですね。
そう。日々のインターネットのニュースが面白ければいいのかなって。知らない人をどんどん巻き込んでいっちゃうのはどうなのかって考えたり。
──ネットを長くやっていると、昔の殺伐とした時代も知ってるでしょうけど、あの頃とはまた殺伐さの質が違いますよね。
ええ。豪さんはどう思います? 3.11以降のパンクって。僕らが何も考えずに楽しんでいた頃とは違いますよね。TOSHI-LOWくんとか細美(武士)くんとかメッセージ性があってカッコいいとは思うんだけど。
──昔は、もっと漠然とした感じでパンクスが「戦争反対」と叫ぶことができた時代だったけど、今は世の中が殺伐としすぎてて、そういう言葉にリアリティが出すぎちゃうんですよね。
実際にロンドンで起きた社会の背景からパンクが生まれて、それを裕福な日本人である僕らが「パンクだー!」って言ってもリアリティがなかったのが、今はリアリティが生まれてきている。でも、今って自分が知らないことも多いから、そういうときは徹底的に調べますね。何がどうダメなのか、それを理解しないでSNSをやるのは危険なのかなって。僕みたいな人間がやる以上はすごく発言も考えますし。
──かなり好き放題にやっているように見えて。
ええ。タイムラインの流れを考えると、僕はすごくTwitterが合ってるんですよね。そんなに変なことには使わないし。なんかムキになって「みんな拡散しようよ!」ってなりがちですけど、僕は軽いほうがよくて。すごくいい付き合いができてつながりができています。
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- GLAY ニューシングル「[DEATHTOPIA]」 / 2016年8月3日発売 / LSG
- [CD+DVD] 2052円 / PCCN-00023
- [CD] 1512円 / PCCN-00024
CD収録曲
- デストピア
- 超音速デスティニー
- JUSTICE [from] GUILTY(GLAY Special Live 2013 in HAKODATE GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.1)
- 微熱Ⓐgirlサマー(GLAY Special Live at HAKODATE ARENA GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.2)
- 黒く塗れ!(GLAY ARENA TOUR 2014-2015 Miracle Music Hunt)
- everKrack(GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2016 "Supernova")
- coyote,colored darkness(ROCK'N'ROLL SWINDLE at NIPPONBUDOKAN)
- WORLD'S END(GLAY ARENA TOUR 2007 "LOVE IS BEAUTIFUL")
DVD収録内容
- RX-72 -54th SINGLE EDITION- HISASHI×茂木淳一の対談や解説を元に本作を徹底解剖!
- デストピア / 超音速デスティニー MUSIC VIDEO
- デストピア / 超音速デスティニー MUSIC VIDEOメイキング
- 彼女はゾンビ(GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2016 "Supernova")
- デストピア(GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2016 "Supernova")
- GLAY アンソロジー盤「BEAT out! Anthology」
- 2016年9月9日発売 [CD2枚組+Blu-ray] / 8943円 / LSG / PCCN-90003
DISC 1
「BEAT out!」Remix & Remastering 2016
- More than Love
- Yes,Summerdays
- 原色の空 <Cloudy Sky>
- Trouble On Monday
- Together
- 月に祈る
- 生きてく強さ
- 週末のBaby talk
- グロリアス
- 軌跡の果て
- Miki Piano
- Cynical
- Believe in fate
DISC 2
「BEAT out! Anthology」Demo & Live in 1996
- More than Love Live ver. from 東京厚生年金会館
- More than Love AG Demo
- Yes,Summerdays AG Demo
- Yes,Summerdays Demo
- 原色の空 <Cloudy Sky> Demo
- Trouble on Monday Demo
- Together AG Demo
- Together Demo
- 月に祈る Live ver. from 東京厚生年金会館
- 生きてく強さ Demo
- 週末のBaby talk Demo
- グロリアス Demo
- 軌跡の果て AG Demo
- 軌跡の果て Demo
- Miki Piano Demo
- Cynical Demo
- Believe in fate Demo
DISC 3(Blu-ray Disc)
Live of BEAT out! Days
- 「BEAT out! '96 TOUR」より1996年3月5日 渋谷公会堂公演(全曲収録)
- 「BEAT out! reprise TOUR」より1996年9月9日 日本武道館公演(全曲収録)
GLAY(グレイ)
北海道函館市出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には千葉・幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催し、有料の単独ライブとしては世界最多観客動員を記録する。2000年に入ってからも数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」(現:LSG)を設立。メジャーデビュー20周年となる2014年は、9月に宮城・ひとめぼれスタジアム宮城にて単独ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」を行い、11月にオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリースした。2015年には5月に10年ぶりとなる東京・東京ドーム公演を2日間にわたって開催。2016年1月にシングル「G4・IV」を発表し、同月より全国ツアー「GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2016 "Supernova"」を開催した。8月に54枚目のシングル「[DEATHTOPIA]」をリリース。