音楽ナタリー PowerPush - GLAY

「MUSIC LIFE」特集

JIRO×ピエール中野(凛として時雨)対談

特集第1弾ではJIRO(B)と凛として時雨のドラマー、ピエール中野との対談を掲載する。2012年12月リリースのGLAYのシングル「JUSTICE [from] GUILTY」「運命論」に中野がゲスト参加したのをきっかけに、親交を深めてきた2人。今年7月発売のシングル「BLEEZE~G4・III~」でも、中野はJIRO作曲の「YOU」で再共演しており、その相性のよさについてはもはや言うまでもないだろう。今回の対談では中野がドラマー視点、そして古くからのGLAYファンの視点でJIROにさまざまな質問をぶつけている。

取材・文 / 西廣智一 撮影 / 上山陽介

「ええっ、達也さん!?」ってビビっちゃって

ピエール中野 今回のゲストドラマーって、どうやって決めたんですか?

JIRO まず7月にリリースされたシングル「BLEEZE~G4・III~」の収録曲含め、全部で15曲くらい録ろうって決めて。そこからはドラマーはどうしようかという話になって、亀田(誠治)さんは「今まで通り永井(利光)さんとやってもいいし、ほかの人でもいいし」と言ってくれたんだよね。で、オレたちは真っ先にピエールくんの名前を挙げたら亀田さんも「僕は一緒に仕事したことがないけど、すごくいいドラマーだよね」ってことで、まずピエールくんが最初に決まったのね。

ピエール 亀田さんとは初めて仕事したんですけど、そう言ってもらえるのはうれしいっすね!

左からピエール中野、JIRO。

JIRO 村石(雅行)さんは亀田さんとの最初のセッションで先行シングルの「DARK RIVER」を録るとき、亀田さんが「僕が好きなドラマーがいるから」って連れてきてくれた方で。村石さんのプレイで別のタイプの曲も聴いてみたかったので、今回またお願いしました。(高橋)まことさんが参加した「浮気なKISS ME GIRL」は曲調がモロBOφWYだったので、「じゃあお願いしてみる!?」みたいなノリで決まって(笑)。

ピエール あはははは(笑)。それでOKが出たと。

JIRO そう。で、(中村)達也さんはTERUが「この曲(『TILL KINGDOM COME』)だったら達也さんがいいんじゃないか」と名前を挙げて。

ピエール 意外でしたよ、達也さんとGLAYが一緒にやるっていうのが。

JIRO そうだよね。オレ、最初はマジで「ええーっ、達也さん!?」ってビビっちゃって(笑)。ブランキー時代から好きなドラマーだったんで、うれしい反面すごいプレッシャーだった。あとは(松下)敦くん。彼とは過去に一緒にやったことがあって。すごく豪快なドラムを叩く人なんだけど、敦くんが参加した「百花繚乱」は世の中のことを批判してるような内容だったので、暴力的な感じがいいよねってことで、パッと頭に浮かんだんだよね。

ピエール なるほど。それぞれタイプがまるっきり違うドラマーじゃないですか。JIROさんはドラマーごとにベースのアプローチを変えてるんですか?

JIRO それは基本的にはないかな。でも達也さんとのセッションでは、自分が思う照井(利幸)さんっぽいベースの要素はちょっと入れた(笑)。それ以外はわりと楽曲を大切にしながら弾いてるっていうか。

亀田さんのフレーズはプレイヤー魂に火が付く

ピエール 僕がレコーディング前にもらったデモって、最初から作り込んだものだったじゃないですか。あれってほかのドラマーとのレコーディングのときも、最後までアレンジが変わることはなかったんですか?

JIRO 今回はなかったね。

ピエール すごいですね。

JIRO メンバーが個々に作ったラフのデモを亀田さんに渡すんだけど、そこで曲の構成に手を加えてもらったのね。それぐらいオレたちの中には、今までのGLAYサウンドを解体したいっていう思いが強かったから。亀田さんはベーシストなので、ベースラインもすごくカッコよく変わっていて、自分の引き出しにはないプレイやフレーズが加わってると、プレイヤー魂に火が付くんだよね。それでベースを弾くことがどんどん楽しくなっていって。

JIRO

ピエール 確かに皆さん楽しそうに演奏しているなっていうのは、アルバムを聴いて感じました。あと、いろんなゲストドラマーが参加したことで、永井さんのよさも改めて際立っていて、非常に面白い試みだなって。

JIRO 永井さんとはずっと一緒にやってきたから息がピッタリだし、ハマりのよさが際立つよね。ちなみに達也さんとは3テイクぐらい録ったんだけど、毎回フレーズが違って(笑)。「あ、今回はこうきたか!」みたいな感じで面白かった。

ピエール そういうところが武器になってるドラマーですもんね。そういえば、永井さんはほかのドラマーが叩いた曲に関して、何かコメントするんですか?

JIRO 過去の作品で「これ、すごく面白いね」とは聞くことがあるけど……あ、でも今回も発見はたくさんあるんじゃないかな。永井さんはすごい勉強家だから、「自分だったらこう叩いていたところを、こういうふうに叩くんだ」っていうのは毎回あると思う。

ピエール 自分がレコーディングした曲をライブで叩いてるのを観ると、不思議な感じがするんですよね。だからこのアルバムの曲をライブで聴く際には、そういうところも楽しみです。

JIRO そういう意味じゃ今度のツアーは永井さん、大変だろうな。でも永井さんは前からTAKUROくんに「もっと違うドラマーとやってみたらいいんじゃない?」って言ってくれてたみたいだから。

ピエール そうなんですね。あの、「YOU」(シングル「BLEEZE~G4・III~」収録曲)で僕が叩くことは、JIROさんが推薦したんですか?

JIRO 実はね、亀田さんがピエールくんにしようって言ったんだよ。

ピエール 本当ですか! たぶん僕に対する世間のイメージはわりと激しい曲で手数が多いものだと思うんですよ。もちろんそういうのも好きなんですけど、曲を大切にしながら歌うように叩くタイプも個人的にすごく好きで。実は時雨にもそういうアプローチで叩いてる曲があるんで、亀田さんがそのへんもキッチリ知っていてくれたのがすごくうれしいです。うれしくてめっちゃ練習しましたし、レコーディングでもすごく気持ちよく叩けました。

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「MUSIC LIFE」参加ドラマーインタビュー
ニューアルバム「MUSIC LIFE」 / 2014年11月5日発売
「MUSIC LIFE」
2CD豪華盤 BALLADE BEST☆MELODIES / 3996円 / ポニーキャニオン / PCCN-00017
2CD豪華盤(G-DIRECT限定)BALLADE BEST☆MEMORIES / 3996円 / loversoul music & associates / LSCD-0018
1CD盤 / 2700円 / ポニーキャニオン / PCCN-00018
CD収録曲
  1. BLEEZE(Album Ver.)
    [作詞・作曲:TERU / ドラム:永井利光]
  2. 百花繚乱
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:松下敦]
  3. Only Yesterday
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:村石雅行]
  4. 疾走れ!ミライ
    [作詞・作曲:TERU / ドラム:永井利光]
  5. 祭りのあと
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:永井利光]
  6. 浮気なKISS ME GIRL
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:高橋まこと]
  7. 妄想コレクター
    [作詞・作曲:HISASHI / ドラム:永井利光]
  8. Hospital pm9
    [作詞・作曲:TAKURO]
  9. DARK RIVER
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:村石雅行]
  10. TILL KINGDOM COME
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:中村達也]
  11. MUSIC LIFE
    [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO / ドラム:永井利光]
GLAY(グレイ)

函館出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催。この人数は単独の有料公演としては、日本のみならず全世界での史上最多動員記録となっている。その後も数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」を設立。メジャーデビュー20周年を迎えた2014年9月20日には、宮城で大型ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」を敢行した。同年11月5日、1年10カ月ぶりとなるオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリース。

ピエール中野(ピエールナカノ)

凛として時雨のドラマー。高度なテクニックに裏打ちされたドラムプレイやステージで見せる独自のマイクパフォーマンスで多くの音楽ファンの支持を獲得している。CHAOTIC SPEED KING、玉筋クールJ太郎のメンバーとしても活躍するほか、DJやコラム連載でもその才能を発揮。2011年より自主イベント「ピエールナイト」を開催している。2011年9月にドラム教則DVD+BOOK「Chaotic Vibes Drumming 入門編」「Chaotic Vibes Drumming 実践編」をリリース。2014年6月にさまざまなアーティストとのセッションを収録したミニアルバム「Chaotic Vibes Orchestra」を発表した。


2014年11月26日更新