音楽ナタリー PowerPush - GLAY

「MUSIC LIFE」特集

HISASHI×の子(神聖かまってちゃん)対談

言いたいことが言えない代わりにギターを弾いた

の子 GLAYの新作、聴きましたよ! アルバムを聴く前にラジオで「百花繚乱」が流れてたんですけど、「何この曲!」って思ったらGLAYだったんですよ。「えっ!? これが!?」ってビックリしました(笑)。

の子

HISASHI シングルカットされるのがどの曲になるかは俺的にはどれでもよかったんだけど、「あ、この曲になったんだ」って俺も驚いてる(笑)。

の子 ははは(笑)。やっぱりGLAYは昔から、メロディがいいっていうのが強いですよね。ずっとファンが付いてきてる理由もそこなんだろうな。ただ新しいことをしてるだけのバンドだと、新しいもの好きに騒がれて一瞬で終わっちゃうんですけど、ちゃんといい音楽を作ってるからずっと続けられるんだなって、すごく感じました。

HISASHI 僕も同じことをかまってちゃんに感じましたよ。どんなにセンセーショナルな歌詞でも、すごくポップでメロディアスだから。

──センセーショナルと言えば、今回HISASHIさんが作詞作曲を担当したアルバム収録曲「妄想コレクター」もかなり衝撃的な展開を迎えますよね。学校の教室で人を刺した高校生って、かまってちゃんの曲の世界観とも共通したものを感じました。

HISASHI 少年犯罪に造詣が深くて、普通じゃ考えられない事件が日々起きてる中で、「なぜこの子たちはこうなったんだろう」って考えちゃうんですよ。

の子 最近の若い子が事件起こすときにもやっぱネットが絡みますよね。闇サイト掲示板とか、LINEでグループ作ってそいつだけ会話に入れないみたいなのとか。昔は昔で大変だったけど、今の子は今の子ですごい気を遣って生きてそう。でも逆に俺は、その生きづらさを表現に変えてヤバいものを作る人も、これから先いっぱい出てくるって期待してるんですよね。

HISASHI あー、なるほど。俺の根底にあるのもそういうことかもしれない。言いたいことが言えない代わりにギターを弾く、っていう。今でこそこんなにインタビューでしゃべるようになったけど、昔は言いたいことはあるのに言葉にできなかったし。俺もギターと出会えて救われたんですよ(笑)。

アンダーグラウンドってイヤなんですよ

HISASHI かまってちゃんって最初は「ネットをメディアとして使ったスキャンダラスなバンド」って印象だったけど、いろいろな映像を観ていく中で、の子くんの音楽に対するすごく純粋な思いがネットを介して映されてるんだって気付いたんだよね。ライブが終わってもずっとステージから降りなかったとかあったじゃない? あれも俺、「ああ、この人は純粋だなあ」と思って(笑)。

HISASHI

の子 単純にライブはすごく楽しいんですよ。

HISASHI スイッチが入るとオフにできない感じ?

の子 昔よりはそこらへんのコントロールができてるようになってるんですけどね。逆に今は「コントロールしないように気を付けなきゃ」ってなってます。「俺がそんなこと気を付けてどうするんだ!」みたいな。

HISASHI なるほどね。そのスイッチが入ったときは「商業的じゃないミュージシャン」になるわけじゃない? でもそれがちゃんとビジネスに結びついてるんだよね。面白いな。

の子 いや結びついてないんですよ! 売れなくなってきてるんです、順調に(笑)。僕は嫌われようがどうしようが自分がやりたいことを信じたいと思ってるんですけど、でもテレビにも出たいし、もっと有名になりたい。やっぱ紅白とかにも出たいです。僕、アンダーグラウンドってイヤなんですよ。

HISASHI うん。

の子 10代の頃とかは好きだったんですけどね。今はそういうの、なんか閉じこもっちゃってる感じがして。自分を表現する立場にいるくせに、なんでそんなとこで落ち着いちゃってんだよ!みたいな。だから自分のバンドでも見せ方とかすごく気にしてるんですよ。基本的に俺、ポップなものが好きだから。

HISASHI そうだよね。すごくポップだもんね。俺もね、子供の頃にベストテン番組をずっと観てて、そのメロディを刷り込まれてきたから、80年代になってパンクをやるようになっても、ギターソロがすごくメロディアスになったりしてて。

の子 あはは(笑)。

HISASHI 今も作曲すると、どマイナーな曲を作ってもどこかメロディアスだったりするので、やっぱりそこから逃れられないんだなって思うよね。

の子 ああ、逃れられないです。そしてうちらの世代はそれを聴いてきたんで、やっぱメロディに関してはすごく影響受けてますよ。GLAYジェネレーションなんですよ、うちら(笑)。

の子

HISASHI とはいえ、かまってちゃんみたいな表現方法を突き詰めていくと、どうしてもマニアックな方向に行きがちだと思う。でも全然そうならないですよね。別に無理してるようにも見えないし。

の子 無理してがんばっちゃってるとこはいっぱいありますよ。やっぱテレビに出るときとか。でも、観てて自然だと感じてもらえてるなら、それはうれしいです。

HISASHI 昔の音楽シーンには変な人がたくさんいて、もっと変になろうとがんばったんだけど、そういった力み方があんまり感じられないからさ。

の子 ああ、それは時代のおかげもあると思います。ネットで活動すること、例えばニコ生とかをやることってそれ自体が大衆性を帯びたものになってるから、今はもう「変なことをするのが当たり前」みたいになってきてて。ツイキャスが流行りだしてからは、女子高生が学校の教室から配信したりとかしてるんですよ(笑)。僕、リスナー数が少ないツイキャスを観るの好きなんですけど、こないだ校長室から配信してるJKがいて。ソファにガーッて座って、校長と普通にしゃべってるんです。これ問題だろ!って。

HISASHI ははは(笑)。ホント?

の子 初めはリスナー6人くらいだったのがどんどん跳ね上がって、「これヤバいだろ」みたいなコメントが付き始めて。「あ、ヤバいか。じゃ止めるわー」みたいな感じで終わったの(笑)。すげえ時代だなって思った。だから僕も今の若い子にビックリしてるんですよ(笑)。

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ニューアルバム「MUSIC LIFE」 / 2014年11月5日発売
「MUSIC LIFE」
2CD豪華盤 BALLADE BEST☆MELODIES / 3996円 / ポニーキャニオン / PCCN-00017
2CD豪華盤(G-DIRECT限定)BALLADE BEST☆MEMORIES / 3996円 / loversoul music & associates / LSCD-0018
1CD盤 / 2700円 / ポニーキャニオン / PCCN-00018
CD収録曲
  1. BLEEZE(Album Ver.)
    [作詞・作曲:TERU / ドラム:永井利光]
  2. 百花繚乱
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:松下敦]
  3. Only Yesterday
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:村石雅行]
  4. 疾走れ!ミライ
    [作詞・作曲:TERU / ドラム:永井利光]
  5. 祭りのあと
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:永井利光]
  6. 浮気なKISS ME GIRL
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:高橋まこと]
  7. 妄想コレクター
    [作詞・作曲:HISASHI / ドラム:永井利光]
  8. Hospital pm9
    [作詞・作曲:TAKURO]
  9. DARK RIVER
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:村石雅行]
  10. TILL KINGDOM COME
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:中村達也]
  11. MUSIC LIFE
    [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO / ドラム:永井利光]
GLAY(グレイ)

函館出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催。この人数は単独の有料公演としては、日本のみならず全世界での史上最多動員記録となっている。その後も数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」を設立。メジャーデビュー20周年を迎えた2014年9月20日には、宮城で大型ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」を敢行した。同年11月5日、1年10カ月ぶりとなるオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリース。

神聖かまってちゃん(シンセイカマッテチャン)

の子(Vo, G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」を発表したのち、ワーナーミュージック・ジャパンと契約し、2010年12月に「つまんね」「みんな死ね」という2枚のアルバムをリリースした。2014年には3カ月連続シングルリリースとして 4月に「フロントメモリーfeat.川本真琴」、5月に配信限定シングル「ロボットノ夜」、6月にシングル「ズッ友」を発表。また6月にDVD「ライブヒストリー 2009-2013」、9月に約2年ぶりとなるフルアルバム「英雄syndrome」をリリースした。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やし続けている。


2014年11月26日更新