この歌詞は縦読みです
──カップリング1曲目の「anymore」も同じくEDMですが、先ほどメイリアさんがおっしゃった「無機質な感じ」を突き詰めたような、チルトラップ的なアプローチを取られていますね。
toku こういうテンションの曲って、アルバム向けなのかなとも思うんです。でも「ガルニデはこんな曲もやる」っていうのを広く知ってもらうには、シングルのカップリングにするのがいいのかなって。で、デビュー以降いろんな機材を買ったりして実験をしまくったうえで「ああ、俺こういうのがやりたかったんだな」って思って作ったのがこの曲で。だから歌詞も自分が書いてるんですけど。
──詩的でありつつ、ものすごく抽象的で断片的な歌詞です。これって、意図的にやってますよね?
toku はい。歌詞にフォーカスが当たるのを避けるためと言うか、「それよりアレンジを聴いてほしいんですけど」っていうワガママから(笑)。
──ワガママ(笑)。それプラス、「anymore」はメイリアさんの歌声を素材のように使っているような印象を受けたので、歌詞の言葉も断片的なのかなって。
toku そうですね。やっぱり、歌が前に出ないといけないみたいな掟がある気がしてるんですね。もちろんそれが嫌なわけではなくて、ガルニデ自体もメイリアの歌を軸にしているユニットなので、ある意味で自己否定的なんですけど、そこにアンチを唱えると言うか。歌より曲を聴いてもらいたいなっていう思いもあって。あと、今まで時間をかけて実験してきたものを……「実験」なんて言うとお客さんに対して失礼なんですけど。
──そんなことないと思いますけど。
メイリア tokuさん、そこ気にしてたんだ(笑)。
toku っていうのも含めて、実験に付き合ってくれたリスナーさんをはじめいろんな人たちへの感謝を、あるやり方で歌詞に込めていて。
メイリア 縦読みするんですよ、歌詞を。
──あ、ホントだ! 気付きませんでした。やけに細かく改行されてるなとは思ったんですけど。ついでに言うと、PDFでいただいた歌詞カードを拝見したとき、この「anymore」と次の曲「君が生まれた日」の文字量の差に笑っちゃいまして。
メイリア・toku ははは!(笑)
──つい歌詞をコピペして文字カウンターに突っ込んでしまったんですけど、「anymore」は147文字でした。
メイリア 少なっ! ちょっと削ればTwitterでつぶやけちゃうじゃん。
──一方、メイリアさん作詞の「君が生まれた日」は625文字でした。
メイリア 曲を書く人の歌詞と、歌う人の歌詞の違い。面白いですね。
「Error」以上に無機質に、言葉を発するだけ
──そんな多くを語らない「anymore」のボーカル録りは?
メイリア 「これぞVocaloid」じゃないですけど、私の声を楽器みたいに使いたいというのはtokuさんからも言われていたので、「Error」以上に無機質に言葉を発するだけみたいな。
toku 最初はもっとデジデジした、AutoTuneとかを使った感じにしようかと考えてたんですけど、なんか、歌がすごくよく録れたので。
メイリア 褒め出した(笑)。
toku 「これは生かしたいぞ」と思って、途中でもとに戻したりして。
メイリア AメロBメロは無機質なんですけど、終盤、クライマックスに向かうに連れてフェイクもガンガン入れてるんで、そこは炸裂させてますけど。
toku あと「anymore」は、ホントはもっと長いトラックにしたかったんですよ。実際、この完成形も、めっちゃ長く作ったトラックから一部を抜粋したみたいなバージョンなので。
──確かにミニマルなピアノのフレーズなどは永遠にループできそうですね。
toku うんうん。延々と同じメロディで。これもやりたかったんですよね。まあ、当初考えてたロングバージョンは例えばライブでやってみたり、そういう発展性がある楽曲になったらいいのかなと、この形に落ち着きました。
「君が生まれた日」は“普通の曲”を目指しました
──続く3曲目、歌詞もボリュームたっぷりな「君が生まれた日」は、ほかの2曲とは180°違う生音主体の超ポップなバースデーソングです。
メイリア シングルのリリース日の1月31日が、私の誕生日なんですよ。
──あっ。それは気付きませんで、失礼いたしました。
メイリア いえいえ。誕生日ドンピシャでリリースできることってなかなかないので、この奇跡的なタイミングに、誕生日ソングを入れたいよねっていう話をして。
──いいですね。
メイリア この曲は頭サビで始まりたかったので、まず私がサビの詞だけ書いて、それにtokuさんがメロを付けて、そこからAメロBメロを作って、また私が歌詞を乗せていくっていう、ちょっと変わった作り方をしたんです。で、「anymore」が曲を聴いてほしい曲だったら、「君が生まれた日」は歌詞を聴かせる曲にしたくて。だからカップリングはめっちゃ対照的な2曲なんですけど。
toku 歌詞を引き立てるとなると、アレンジが勝っちゃいけない部分も当然出てくるんで、そういう意味では、“普通の曲”を目指しました。
メイリア 普通言うな(笑)。
toku でも、普通をやるってけっこう難しかったりするし。
──先ほど歌詞の文字数を比較しましたが、「君が生まれた日」の歌詞は、内容的にも「anymore」とは対照的ですね。前者は「君」が「ゲームの中の敵に怒ったり」する日常を切り取りながら、「生まれてきてくれてほんとに ありがとう」と祝福する、非常に具体的な歌詞になっています。
メイリア そういうふうに思える大事な人が、私にもみんなにもできたらいいねっていう(笑)。お年寄りになって「しわが増えたり」しても、「いつまでも手を繋いで」寄り添っていられたら幸せだなあ、っていう憧れも入っちゃってますね。
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メイリアが12人いる
- GARNiDELiA「Error」
- 2018年1月31日発売 / SACRA MUSIC
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初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / VVCL-1156~7 -
通常盤 [CD]
1296円 / VVCL-1158 -
期間生産限定盤 [CD+DVD]
1620円 / VVCL-1159~60©2018 長谷敏司・redjuice・monochrom/KADOKAWA/BEATLESS製作委員会
- CD収録曲
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- Error
- anymore
- 君が生まれた日
- Error instrumental
- Error TV Size ver.(期間生産限定盤CDのみ)
- 初回限定盤DVD収録内容
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- Error Music Video
- ORiGiNAL(stellacage TOUR 2017 ~Cry Out~)
- BLAZING(stellacage TOUR 2017 ~Cry Out~)
- 変わらないモノ(stellacage TOUR 2017 ~Cry Out~)
- 期間生産限定盤DVD収録内容
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- Error Music Video
- GARNiDELiAワンマンライブツアー
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- 2018年4月7日(土)大阪府 BananaHall
- 2018年4月14日(土)愛知県 ElectricLadyLand
- 2018年4月29日(日・祝)東京都 中野サンプラザホール
- GARNiDELiA(ガルニデリア)
- モデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、さまざまなアーティストへ楽曲提供を行うtoku(Key, Compose)からなるユニット。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューする。その後も数多くのアニメソングのテーマ曲を手がけ、2015年1月にメジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、8月にはインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「BiRTHiA」を発表した。2016年8月に表題曲がアニメ「クオリディア・コード」のエンディングテーマに採用されたシングル「約束 -Promise code-」、12月に2ndフルアルバム「Violet Cry」をリリース。2017年6月に映画「劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女」の主題歌「SPEED STAR」をシングルとして発表する。海外での活動も活発で、2017年5月には中国・上海で単独公演を行った。秋には「GARNiDELiA stellacage Asia Tour 2017」と題しアジアツアーを行った。11月にアニメ「アニメガタリズ」のオープニングテーマ「アイコトバ」をシングルリリース。2018年1月にアニメ「BEATLESS」のオープニングテーマとして書き下ろした「Error」をシングルとして発表した。