音楽ナタリー Power Push - GARNiDELiA
今だから振り返りたい 2人の“誕生”の瞬間
「プロが何しに来やがった」「お金のニオイしかしない」
──このアルバムには未発表曲「Birth」も収録されています。この曲ってインディーズ時代にはどの程度作ってたんですか?
メイリア 1コーラス分のデモを録ったまんま寝かせてました。
──じゃあ詞やアレンジについてはほぼ新作ともいえますよね。でもほかの14曲と続けて聴いたとき違和感はない。あえて過去の作品に寄せたりは……。
toku してないですね。さっきの「インディーズ時代の曲も今のGARNiDELiAと地続き」っていう話に戻ってしまうんですけど、既発の14曲ってどれも5年前のものだなあという感じがないと思うんですよ。「これが今の流行りだから」みたいな曲の作り方をしてないから。ありきたりな言い方ですけど、2人が面白い、カッコいいと思うものしか作ってないし、その基準が5年間ブレてないから、ある意味新曲でもある「Birth」もなじんでくれるんでしょうね。あと根本にあるメッセージも5年間も変わってないんですよ。「ASTEROiD」で「届けたい 届けたい」を繰り返していて、「Birth」では「聞こえてるかな?」「聞こえているよ」をリフレインしている感じというか。常に「いい音楽を作ったから聴いてくれ」って歌ってるから、どの曲も「今聴いてほしいもの」として違和感なくパッケージできたのかな、という気はしてます。
──ちなみに「聴いてくれ」と歌い始めた当時、要は結成してネットに音源を投稿し始めた頃の反応って?
メイリア メッチャ叩かれました!
toku まあフルボッコでした……。「プロが何しに来やがった」「どうせこの女の子を売り出したくてコンポーザーと組ませた政治的なユニットなんだろ」と(笑)。
──あはははは(笑)。
メイリア 今はプロのアーティストが動画を投稿するのも普通になってますけど、5年前はそれを公言する環境にはなくて。そんな中、私たちは2人の名前を出した上で「ARiA」という曲のボカロバージョンと、私が歌っているバージョンを連続してアップする、ちょっと凝ったことをしたもんだから「お金のニオイしかしない」と(笑)。
MVがあるから「これがGARNiDELiAです」と飛び立てる
──でもお2人ともプロとしてのキャリアこそあれ、GARNiDELiAとしてはホントに後ろ盾もお金もなかったからネットを使ってたんですよね?(参照:GARNiDELiA「ambiguous」インタビュー)
toku そうなんですよ。すごくピュアな2人だったのに(笑)。でも動画のイラストレーターさんとアニメーターさんもプロだったから「プロ集団じゃねえか」と。
メイリア tokuさんがやっている同人レーベルで知り合った方のご厚意に甘えまくってタダで作っていただいたのに(笑)。ただ、中には「えっ? いい曲じゃん」って言ってくださる方もいたので、その声を励みにいろんな曲をアップしてたら……。
toku だんだん理解していただけるようになり……。
メイリア 今に至る(笑)。
toku だからやっぱりネットの皆さんがいてこそのGARNiDELiAという側面はあるし、特に「BiRTHiA」の収録曲は皆さんに育てていただいた曲たちなんですよね。
──アルバムのリード曲を「ARiA」にしたのはその記念すべき1曲目だったから?
メイリア という意味もありますし、あと私の名前の由来になった曲でもあるので「BiRTHiA」を作ろうってなったときからリード曲にして、実写MVも撮るつもりでいました。ただMV制作が大変で……。ボカロ版「ARiA」の動画って“プロ集団”に作っていただいたこともあって評価が高かったんですよ。だからあの動画の宇宙感とか壮大な感じを三次元で表現するか?ってすごく悩んだんですよね。それで監督の大河(臣)さんに「宇宙な感じで!」ってわけのわからないことを言ってみたら(笑)、「プロジェクションマッピングを使いますか」というアイデアをいただいて完成したのがあのMVなんですけど、本当に納得のいくものができたと思ってます。
──「ARiA」ってけっこうな長さのアウトロがある、つまり演奏している感のある曲だし、MVではその演奏シーンも大きくフィーチャーしている。本当に三次元感を強く打ち出しましたよね。プロジェクションマッピングの映像をお2人に投影しているあたりにも身体性みたいなものを感じましたし。
toku メイリアが奇をてらわないことにこだわったんですよ。
メイリア 私とtokuさんがいて、宇宙をモチーフにした曲を歌うっていうのが私たちの原点ですから。だから「BiRTHiA」というアルバムと、あのMVが完成すれば「これがGARNiDELiAです」ってきちんと言えた上で、みんなと一緒に次のステップに飛び立っていけるな、という気がしていたし、今は本当にこれで飛び立てるな、と思ってます。
- ベストアルバム「BiRTHiA」 / 2015年8月26日発売 / SME Records
- 初回限定盤 [CD+DVD+小説] / 3240円 / SECL-1752~3
- 通常盤 [CD] / 2500円 / SECL-1754
CD収録曲
- ARiA
- ONE
- 21248931
- Arrow of Love
- Hands
- COLOR
- Lucifer
- Break down
- ASTEROiD
- Harmony
- Butterfly
- ホシノウタ
- SPiCa -ReACT-
- ORiON
- Birth
初回限定盤DVD収録内容
- ARiA(Music Video)
GARNiDELiA(ガルニデリア)
モデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、アンジェラ・アキ、LiSAらのアレンジャー、ボカロP「とく」などの横顔を持つtoku(Key, Compose)からなるユニット。2010年に別名でオリジナル曲「ARiA」を動画共有サイトに投稿し、同年アニメ「フリージング」オープニングテーマ「COLOR」を発表したのと前後して、ユニット結成を宣言する。以来ハードロック由来のヌケのいいギターロックから、ダンスミュージック、ピアノ1本で聴かせるバラードまで幅広い楽曲群をネットで発表する一方で、2010年末にはミニアルバム「ONE」をインディーズで発表。さらに翌年には東京・JCBホール(現・TOKYO DOME CITY HALL)での「ニコニコ大会議Final」や、中国・上海での「舞動漫櫻楽祭~ANIME ROCK CONVENTION~」など国内外でのイベントに招聘される。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューすると7月には「魔法科高校の劣等生」後期オープニングテーマ「grilletto」、10月には「ガンダム Gのレコンギスタ」のオープニングテーマ「BLAZING」を立て続けに発表。そして2015年1月、メジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、8月にはインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「BiRTHiA」をリリースした。