音楽ナタリー Power Push - GARNiDELiA
今だから振り返りたい 2人の“誕生”の瞬間
「BiRTHiA」から感じることがガルニデらしさなのかもしれない
──改めてご自身でインディーズ時代の楽曲を一気に聴いてみた感想は?
toku 「この頃のオレらって振り切れてるなあ」と(笑)。
──あっ、その振り切り感にはちょっと驚かされました。今のGARNiDELiAってテクニカルなイメージが強いから「Lucifer」や「COLOR」みたいなストレートなロックもやってたのか、って。
メイリア ノリ! 勢い!みたいな曲ですよね(笑)。
──ですね(笑)。結成当初からキャリア十分のお2人のはずなのにテクニカルなことはさておいて初期衝動で突っ走った、みたいな印象を受けました。2人とも新しいユニットで新しい音楽をやるのが楽しいんだろうな、って。
メイリア 確かに(笑)。今の私たちには逆に書けない曲かもしれないですね。でも「Lucifer」や「COLOR」にせよ、ほかの曲にしてもそうなんですけど、改めて録り直したり聴き直したりしてみて「でもこれガルニデだよね」っていう思いを強くした感じはあって。
──さっきの3曲も初期衝動的とはいえ、一連のシングル同様デジタル感の強いギターロックだし、あと当時からそのときどきのアップカミングなダンスミュージックもやっていますしね。2010年前後にすでにEDM的、ダブステップ的な「21248931」や「Hands」を作っているし。
toku ただ、ちょっと早すぎた……(笑)。
メイリア 今流行ってることだし、もう1回やりましょうか(笑)。でもホントにレコーディングを通して「5年経っても根底にあるものは変わってないなあ」「ウチらってやっぱりこういうことがやりたかったんだよね」っていうことを再確認できたのは面白い体験でしたね。
──あと「SPiCa -ReACT-」のドラムパターンが、1コーラス目のAメロ、Bメロ、サビ、2コーラス目のAメロ……と展開するたび変化し続けていく、あの一筋縄でいかない感じも“らしいな”と思いました。
toku いや、カッコいいかなあ、と思って(笑)。でも例えば「BLAZING」って、あの曲がオープニングテーマだった「ガンダム Gのレコンギスタ」の富野(由悠季)監督の「若者のためのアニメだから勢いのある曲で」というお話を踏まえて書いたから、僕らには珍しいくらいストレートな曲になったと思うんですけど、ファンの方からは「ガルニデらしいね」と言っていただけていて(参照:GARNiDELiA「BLAZING」インタビュー)。それはなぜか?と言ったら、かつて「Lucifer」や「COLOR」みたいな曲も、「SPiCa -ReACT-」みたいな曲も作っていた僕らの曲だからだと思うんです。だからナタリーさんでの初めてインタビュー以来毎回満足に回答できていない「GARNiDELiAらしさとは?」に何か答えがあるとしたら、この「BiRTHiA」というアルバムを聴いたときに感じ得るものがそれなのかもしれないですね。
「こっちのほうが好き」「いや前のほうがいいかも?」
──ところでメイリアさんのボーカルレコーディングっていかがでした?
メイリア プレッシャーはありましたね。
──5年前の自分から受けるプレッシャーが?
メイリア はい。「常に新しい私を見せていたい」と思っているから、基本的に過去の音源って滅多に聴かないんですけど、今回はアルバムのコンセプトがコンセプトだからということで聴き直してみたら、5年前の私は私である意味完成されていた気がしたんですよね。あの頃できることをちゃんとやっているように思えたんです。それで「5年経った今、あの頃以上にちゃんとしてなかったらどうしよう」ってなって……。
──でもtokuさんがおっしゃっていた通り、声は年齢相応になっていたし、ボーカルもよりテクニカルになってますよね。
メイリア 確かに自分の変化は実感していたので、途中から「今の私のまま歌ってみよう」って気持ちを切り替えたんです。そしたら当時とはまた違う、2015年の私の歌になってくれたし、今は逆に「私の声も聴き比べてもらいたいな」と思ってます。中には「あの頃のメイリアのほうが好きだな」っていう人もいるかもしれないけど、それも聴き比べをする楽しみの1つだし、好き嫌いの話はされても良し悪しの話はされないはず、という自信はありますし。だったら「こっちのほうが好きかな」「いやあっちのほうがいいかも?」っていろいろ楽しんでもらったほうが面白いですから。
toku 僕自身、歌録りのときに「こっちのほうが好き」「いや前のバージョンのほうがいいかも?」を繰り返しましたしね。
メイリア ホントに試行錯誤しましたよね。
toku どの曲においても基本的に過去のメイリアのほうが優勢だったからホントに悩みました。前のバージョンには5年の重みがありますから。当時のアレンジが完成型という話と同じで、メイリアのボーカルも当時それが正解だと思ってOKを出しているわけだし、しかもその音源が5年間聴かれ続けてきたわけですから。その“できあがった声”と、今聴いた声なら、やっぱり前者のほうがいいんじゃないか?みたいな試行錯誤は繰り返してました。
──「こっちのほうが好き」「いや前のバージョンのほうがいいかも?」ってなったとき着地点ってどうやって見つけるんですか?
toku 5年前のメイリアと今のメイリアをガチ勝負させました(笑)。とにかく歌ってみては聴き比べて「これいいじゃん」っていう落としどころを見付けるという。
メイリア だから「今の私のまま歌ってみた」とはいえ、「インディーズの頃の歌い方のほうがいいよね」ってことになって今の私が当時のように歌ってみた曲もありますし。
toku この時間のない中、今のメイリアと、過去をシミュレーションしたメイリアという2パターンのボーカルを録っては聴き比べるっていうことを延々とやってました(笑)。
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- ベストアルバム「BiRTHiA」 / 2015年8月26日発売 / SME Records
- 初回限定盤 [CD+DVD+小説] / 3240円 / SECL-1752~3
- 通常盤 [CD] / 2500円 / SECL-1754
CD収録曲
- ARiA
- ONE
- 21248931
- Arrow of Love
- Hands
- COLOR
- Lucifer
- Break down
- ASTEROiD
- Harmony
- Butterfly
- ホシノウタ
- SPiCa -ReACT-
- ORiON
- Birth
初回限定盤DVD収録内容
- ARiA(Music Video)
GARNiDELiA(ガルニデリア)
モデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、アンジェラ・アキ、LiSAらのアレンジャー、ボカロP「とく」などの横顔を持つtoku(Key, Compose)からなるユニット。2010年に別名でオリジナル曲「ARiA」を動画共有サイトに投稿し、同年アニメ「フリージング」オープニングテーマ「COLOR」を発表したのと前後して、ユニット結成を宣言する。以来ハードロック由来のヌケのいいギターロックから、ダンスミュージック、ピアノ1本で聴かせるバラードまで幅広い楽曲群をネットで発表する一方で、2010年末にはミニアルバム「ONE」をインディーズで発表。さらに翌年には東京・JCBホール(現・TOKYO DOME CITY HALL)での「ニコニコ大会議Final」や、中国・上海での「舞動漫櫻楽祭~ANIME ROCK CONVENTION~」など国内外でのイベントに招聘される。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューすると7月には「魔法科高校の劣等生」後期オープニングテーマ「grilletto」、10月には「ガンダム Gのレコンギスタ」のオープニングテーマ「BLAZING」を立て続けに発表。そして2015年1月、メジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、8月にはインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「BiRTHiA」をリリースした。