音楽ナタリー PowerPush - GARNiDELiA

「Gのレコンギスタ」とともに より速く、よりシンプルに、より先に

「作詞:メイリア / 井荻麟」

──実際「ほかにない音」になりましたよね。ざっくりとジャンルで括るなら高速四つ打ちギターロックなんだけど「ガルニデの新曲、最近売れてる○○ってバンドっぽいよね」という音にはなっていない。最近のダンスロックバンドの曲同様すごくアガるアレンジなんだけど、確実に新しいサウンドになっている。

メイリア ありがとうございます。ただその新しいサウンドが「Gのレコンギスタ」にとっての正解だっていう確証を得るまでの道のりはシンプルじゃなかったですよね(笑)。

toku うん(笑)。

──制作はけっこう難渋した?

メイリア(Vo)

メイリア 富野監督から「ストレートに」っていうお話をいただいて、まず5曲、マイナーアップな曲のデモを持っていったら、その中から今の「BLAZING」の原型になっている曲を選んでいただいたんですけど「もうちょっとテンポを落としてみようか」って言われて、BPMを下げてみたら「もっと別の曲はないかな」って言われて(笑)。で、また別の曲を作っていったら「やっぱり元の曲がいいな」ってなって、できあがったのがこの曲なんです。

──あっ、監督は単に楽曲のテイストについて意見するだけでもなければ、曲を聴いてOK / NGを出すだけでもなくて、テンポ感について提案してみたり、デモトラックを比較検討してみたり、本当に制作に大きくコミットしてるんですか。

toku これまでアニメのオープニングテーマの制作中に、そのアニメの監督さんに会うことってほとんどなかったんですけど、今回はガッツリ打ち合わせをさせていただきました。特に楽曲以上に歌詞に関しては、ね。

メイリア うん。ワンコーラス書くのに、1カ月間監督とやり取りしたんですよ。

──長っ!(笑)

メイリア あはははは(笑)。私が詞の第1稿のデータを送ったら、監督はそれをプリントアウトした上で1行ずつ「この語尾はこうして」「ここは漢字を使わないでほしい」とか、すごく細かく読み込んだ上でオーダーを出してくださって。で、また私がそのオーダーを踏まえつつ改めて書いてみて、また新しいオーダーをいただいてっていうのを1カ月間繰り返してました。だから、1コーラス半のテレビサイズの詞についてはクレジットに井荻麟さん(富野の作詞家名)の名前があってもいいんじゃないかな?って思ってます(笑)。

メイリアの声があれば怖くない

──「BLAZING」ってそうやって富野監督の意向も大きく反映されている上に、楽曲のテイストは、アニメ「キルラキル」に似合うように泥臭くて熱い音を目指した1stシングル「ambiguous」とも、「魔法科高校の劣等生」に寄せてクールな音像を目指した2ndの「grilletto」とも明らかに違う。にもかかわらず「BLAZING」はGARNiDELiAのディスコグラフィにちゃんと収まる1曲になっています。

toku そう思っていただけるとうれしいですよね。

GARNiDELiAのライブ「stellacage」の様子。

──いや、もはや願望の話じゃないというか。このあいだのワンマンライブ(参照:GARNiDELiA“星の笑顔”に包まれた初ワンマン)で初披露したときも、みんな初めて聴く曲なのにガンガン踊ってたじゃないですか。ちゃんとGARNiDELiAの楽曲として迎え入れている。だから過去の2枚のシングルと「BLAZING」を貫くものってなんなんだろうって。これまでのインタビューと同じ「ガルニデ感とはなんでしょう?」ってお話になっちゃうから本当に恐縮なんですけど(笑)。

toku こちらも本当に申し訳ないことにこれまでのインタビューと同じく「わかりません」としか言いようがないという(笑)。ただ1つ理由があるとすれば、それはメイリアの声なんだとは思います。歌モノである以上、彼女の声が楽曲の中心にあるものであり、僕らと聴いてくれる人や社会とをつなぐ接着剤になっているものなので。事実僕には「メイリアの声を聴いてほしい」「歌の強さを前面に押し出したい」っていう思いがありますし。そういうメロディを書いて、そういうアレンジをしているから、どんなタイプの楽曲であれ「あっ、GARNiDELiAっぽいな」と受け入れてもらえるのかもしれないですね。

メイリア 実際インディーズの頃からの私たちの曲を通して見てみると、メジャーデビューしてからの3曲のシングル曲のほうがイレギュラーというか、スペシャルですもんね。このあいだのワンマンのセットリスト序盤の曲や、今回のシングルの3曲目「further」みたいな曲をずっとやっていたわけですし。

──ギターをフィーチャーしている点はメジャーデビュー後のシングル曲3曲と同じながら、過去の曲はもうちょっとテンポは抑えめだし、詞についてもシリアスでハードというよりも、もっとブライトで前向きなものが多いですもんね。

toku でもその「further」や初期の曲と、「BLAZING」のどちらも「GARNiDELiAだな」って感じてもらえるのはやっぱりメイリアの声があるからなんだろうな、とは思ってます。逆に言えば「メイリアの声さえあれば『BLAZING』みたいにシンプルな方向に大胆に振り切っても怖くない」みたいな気持ちもありますね。

メイリア 「BLAZING」に限らずシングル曲って実はシンプルですもんね。メロディやアレンジが「ここがサビでーす!」って宣言するかのような構成になってますし(笑)。だからみんなもノレるんだと思うし、みんなにノってもらいたいからシンプルでありたいとも思ってます。

ニューシングル「BLAZING」2014年10月29日発売 / DefSTAR Records
初回限定盤 [CD+DVD] 1620円 / DFCL-2086~7
通常盤 [CD] 1296円 / DFCL-2088
期間生産限定盤 [CD+DVD] 1620円 / DFCL-2089~90
CD収録曲
  1. BLAZING
  2. 人魚姫
  3. further
  4. BLAZING instrumental
  5. BLAZING TV Size ver.(※期間生産限定盤のみ)
初回限定盤 DVD収録内容
  • BLAZING
  • BLAZING bonus footage
期間生産限定盤 DVD収録内容
  • BLAZING
GARNiDELiA(ガルニデリア)

GARNiDELiA

アニソンシンガーなどとして活躍するメイリア(Vo)と、アンジェラ・アキ、LiSAらのアレンジャー、ボカロP「とく」などの横顔を持つtoku(Key, Compose)からなるユニット。2010年に別名でオリジナル曲「ARiA」を動画共有サイトに投稿し、同年アニメ「フリージング」オープニングテーマ「COLOR」を発表したのと前後して、ユニット結成を宣言する。以来ハードロック由来のヌケのいいギターロックから、ダンスミュージック、ピアノ1本で聴かせるバラードまで幅広い楽曲群をネットで発表する一方で、2010年末にはミニアルバム「ONE」をインディーズで発表。さらに翌年には東京・JCBホール(現・東京ドームシティホール)での「ニコニコ大会議Final」や、中国・上海での「舞動漫櫻楽祭~ANIME ROCK CONVENTION~」など国内外でのイベントに招聘される。そして2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビュー。同年7月には「魔法科高校の劣等生」後期オープニングテーマ「grilletto」を、10月には「ガンダム Gのレコンギスタ」のオープニングテーマ「BLAZING」を発表した。