カミヤサキに会いたくてメンバーに
──そしてプラニメの新メンバーオーディションを行い、4人のメンバーが加入します。そのときに合格して現在活動しているのがユメノさんとヤママチさん。2人はどういった経緯でオーディションを受けたんでしょう?
ヤママチ 私はもともとBiSやプラニメの現場に行ってたヲタクでした。
──観る側からプレイヤー側になろうと思ったのはなぜです?
ヤママチ 2次面接までいけばサキちゃんに会えるってヲタクの仲間に言われて。確かに無料でサキちゃんに会えるのはおいしいな、と思って面接したら受かりました。
──カミヤさんに会いたいがためにメンバーになったと。でも、もはやファン目線でカミヤサキを応援する感じではないですよね。気持ちの切り替えはできました?
ヤママチ 最初の頃はサキちゃんに教えてもらいながらも目を合わせられなかったですね。わからないことがあっても聞けなかった。ヲタクだったからこそ近くになった瞬間に距離をとるようになってしまって。
カミヤ それはすごく感じてましたね。もともとヲタクだし、私もどうやって距離を詰めていこうかと考えました。本人もまさか受かるとは思わなかったという感じが伝わってきて、ステージに立つ準備が整うまで一番時間がかかったメンバーだと思います。
ヤママチ 曲も全部わかるし振りもほとんどわかるんですけど、いざ自分でやろうと思うとうまくできなくて。教えてもらっても照れがあったし、この空間に一緒にいていいのかって最初の頃は思ってましたね。
──最終的に彼女を新メンバーとして加入させると決めたのは渡辺(淳之介)さんだと思うんですが、決め手ってなんだったんですかね?
カミヤ 歌はすごくうまかったですよ。あと、渡辺さんに対してすごく挑発的な態度をとってました。
ヤママチ 私も受かると思ってなかったから面接のときに「サキちゃんの言うことは聞きますけど、渡辺さんの言うことは聞きません」って言ってましたし。
ユメノ 初めて会ったときも酷かったですよ。渡辺さんが契約書をメンバーに配ってるときもガン無視してあぐらかいてゲームしてましたから(笑)。
ヤママチ あはははは(笑)。
ココ 怖っ!
カミヤ その日の夜に「あれ、よくないよ」って言いましたけど(笑)。冷や冷やしながら彼女のことは見守ってました。渡辺さんからも「オマエ、大変だと思うよ」って言われてて、最初は苦労しましたね。彼女、当時は本当にお子ちゃまでしたから。でも今はもう当時のことが考えられないくらいちゃんとしたメンバーになりました。
──ユメノさんはどういった経緯で?
ユメノ 私はプラニメ自体は存在を知らなかったんですけど、アイドルに興味があって、たまたまTwitterで募集してたプラニメに応募した感じです。BiSのことは知っていたので、そのメンバーだったサキちゃんがいるなら安心かなと思って。
──実績として横浜アリーナまで行ってるグループですからね。
ユメノ だからそれほど変な話でもないだろうなって。前からアイドルが好きだったけど、なかなか自分から挑戦しようとは思えなくて、でんぱ組.incの現場やいろんなアイドルが出る対バンイベントに通ってました。でもやるなら今のタイミングしかないなって思って、オーディションを受けた感じです。
カミヤ 彼女は最初の印象が暗かったんですよ。それで渡辺さんともどうするか悩んでいたんですけど、面接のあとにユアが渡辺さんに電話をしてきて。「サキちゃんのところでやりたいです」というような内容だったんですけど、渡辺さんが「そういうことをちゃんと言ってくるやつは俺はいいと思う」と言って、それで決まりました。面接後に電話してきたのはユアだけだったみたいで。
「結局一番BiSを忘れられねえのはオマエじゃん」
──プラニメ改めPOPとして5人体制での活動が2015年6月にスタートしました(参照:プラニメ新メンバー4人加え「POP」に、ニューアルバム&ワンマンも)。最初はあずき色のジャージが衣装でしたね。
カミヤ 懐かしい(笑)。
ユメノ 初心を忘れないみたいな理由でジャージでしたね。
──POPはパフォーマンスを短期間で仕上げていったイメージがあります。プラニメの頃は2人だったからそもそもすべて作り直したというか、フォーメーションも変わりますし、大変だったんじゃないかと。
カミヤ プラニメのときの曲をやってましたけど、ライブの見せ方や振り付けは違ったものを作ろうとしてました。プラニメは意図してカッコつけてやっていたんですけど、POPはいい意味で砕けて楽しい方向にシフトしていこうと考えてました。
──そのコンセプトは今のギャンパレにも受け継がれているのかなと。
カミヤ 一貫して前向きな要素を入れてポジティブな方向性にしていきました。メンバーも明るかったので「キング・オブ・ポジティブ」というキャッチフレーズも考えて。でも当時は明るくいることがすごく悩みで。BiSのときからそうだったんですけど「明るいことに共感なんてできない」って渡辺さんも思っていたんですよね。そうしていたら求めていない悲壮感が上乗せされて、予期せぬエモさが増していったというか(笑)。
──その年の「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015」でカミヤさんの行動が問題となり、カミヤさんが無期限の活動休止に(参照:POP、新シングル発売とカミヤサキ活動休止を発表)。入ったばかりのメンバーにしてみれば、いきなりグループの象徴的なメンバーがいなくなって、戸惑いましたよね。
ユメノ 年末に復帰するまでの4カ月くらいいなかったですからね。そのときに辞めようと思えば辞められたんだと思うんですよ。もうサキちゃんもいないわけですし。でもそこで辞めようとはみんな思わなかったです。
ヤママチ ライブがうまくいかなくて悩んでいたことはあったけど、辞めようという気持ちはなかった。それよりもサキちゃんが帰ってくる場所を私たちが守らないとという気持ちでいっぱいでしたね。
──当時を振り返ってみて、カミヤさんはどうですか?
カミヤ 謹慎期間だからちゃんと今後のこととか考えなきゃいけなかったんですけど、自分でもどう心を保ったらよいかわからなくなってしまって。復帰に向けて100kmマラソン(参照:POP、カミヤサキが脱退or復帰かけて富士急から下北沢へ100kmマラソン)というのを用意していただいたときから、自分がグループに対してどう思っていたんだろうと考えるようになっていきました。自分自身プラニメが終わってからモチベーションが下がっていたことにそのとき気付いて、ちゃんと自分と向き合うにはいい時間をいただいたなって思います。それまでは何をやってもBiSと比べちゃう自分がいたんですよね。過去とばかり比べてたのに、カッコつけてそれを認めないみたいな感じで。でもそうじゃないよなって思うようになっていきました。
──どうしても「元BiSのカミヤサキのグループ」って見られちゃうと思うんですよ。そういうのがカミヤさん的には嫌だったと?
カミヤ やたらそこだけにはこだわってました。「BiSとは違う!」っていうことにこだわりすぎていなければ、もっと伸び伸びやれたんだと思います。そう思えば思うほどBiS臭が漂ってくるというか(笑)。「結局一番BiSを忘れられねえのはオマエじゃん」ってことですよね。
未来が見えるたびに崩れていっちゃう
──100kmマラソンを完走してカミヤさんが復帰してからは、5人が一体となって迷いなく突き進んでいったように思います。2016年に入ってからはライブの質が変わった気がしました。
カミヤ そうですね。そこからライブを評価してくださることが増えていって。それまでは「つらそうだ」みたいな空気が漂っていたので。
──その年の6月にGANG PARADEに改名しました(参照:POPがGANG PARADEに改名)。これにはどういう意味があったんでしょう?
カミヤ ライブはうまくいっていたと思うんですけど、期待してたくらいまでには動員も延びずに平行線状態が続いて。このままだと結局また下がってしまうから何か変えていかないと、ということでPOPから改名することにしました。
ヤママチ POPで検索してもJ-POPとかそういうのが出てきてしまうので。まずそこをどうにかしないと私たちのことを知ってくれる人が増えていかないなって。
──GANG PARADEという名前の由来は?
カミヤ みんなで決めたよね? キャッチーなものにしたいのと、Pの文字だけは残したいという意見も取り入れて、明るい感じを見せたいという思いからパレードという言葉が出てきて、最終的にGANG PARADEになりました。“ギャンパレ”と略して言いやすいのもよかったですね。
──改名してがんばっていきましょう、と気持ちを新たにしたところで、8月にシグサワアオさん、10月にイヌカイマアヤさんが脱退。シグサワさんはその年の「TOKYO IDOL FESTIVAL 2016」がラストステージになりましたが(参照:欅坂46、あーりん、矢口&辻も登場!過去最大規模「TIF」熱狂の3日間)、あのときメンバーの中にはモヤっとした気持ちがあったように思いました。
ユメノ アオが活動に対して悩み始めたのもすごく急な話で、「辞めたいというか、どういう気持ちで活動していったらいいかわからない」と言い出して。それに対して私たちも言い返すことができなくて、脱退を受け入れるしかなかったです。辞めてほしいわけじゃないけど、自分で判断したことなら仕方ないなって。
カミヤ 説得してもきっとまた同じことになるだろうから、自分で決断してほしくて。活動に対して家族の同意を得られなかったというのも大きな理由の1つだと思います。最初はそれでも活動していくことが楽しかったから乗り越えてこれたんでしょうけど、段々とそうでなくなってしまったという感じだったのかなと。
──イヌカイさんはどういった経緯だったんでしょう?
ユメノ 正直よくわからないんですよね。タイミング的にはマイカが入ってきて、彼女を含めた5人でやっていこうというときに辞める話になって。休養してた期間も、おそらく彼女の中では辞める気持ちは固まっていたのかなって。
──ようやくまとまりかけていたタイミングで2人もいなくなって、残ったメンバーはダメージが大きかったのではないかと思うのですが。
カミヤ 正直「ギャンパレ、なくなる」って思いましたね。マアヤから電話がかかってきたときも辞めることを止められなくて、彼女の話を聞きながら心臓がバクバクしてました。「ヤバい、終わる」って。パニック状態になって泣きながら渡辺さんに「終わっちゃいます。終わらせたくないんですけど、どうすればいいですか」って電話して。あんなに取り乱したことはないくらいの感じで渡辺さんに話をしたら「終わらせる気はないから、とりあえず寝ろ!」って言われました。その言葉を聞いて、少し落ち着いて次のことを考えようと思って。それを発端に、些細なことが起きてもグループが終わってしまうんじゃないかと考えるようになってしまいましたね。
ユメノ 未来が見えるたびに崩れていっちゃうんですよね。
──そうやって同期が2人も辞めていく中でもヤママチさん、ユメノさんは残ってがんばっていこうと。
ユメノ はい。
ヤママチ そうですね。自分が辞める理由はないですから。
カミヤ それまでもあまりメンバー同士でじっくり話す機会があまりなくて。本当の意味で信頼してなかったんだと思います。でもそういった状況があって自然と団結するような空気になっていったんですよね。それぞれのことを大事に思うようになっていきました。
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ギャンパレはコテンパン同士の集まり
- GANG PARADE「FOUL」
- 2017年4月25日発売 / T-Palette Records
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[CD]
1080円 / TPRC-0174
- 収録曲
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- FOUL
- Close your eyes
- FOUL(inst)
- Close your eyes(inst)
- GANG PARADE BODY&7SOUL Tour 東京公演
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2017年4月30日(日)東京都 下北沢SHELTER
OPEN 11:00 / START 11:30
- THE DUEL
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2017年7月7日(金)東京都 LIQUIDROOM
<出演者> BiSH / GANG PARADE
- GANG PARADE(ギャングパレード)
- カミヤサキ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソンの7人からなるアイドルグループ。2014年にカミヤサキと元いずこねこのミズタマリにより結成されたプラニメが前身ユニットで、ミズタマリ脱退後、2015年にPOPに改名しメンバーを追加。2016年6月にGANG PARADEに再び改名し、10月にキャン・マイカと元SiSメンバーが加入し現体制に。2017年3月末から4月に行われたWACK所属グループによる合同合宿にて、カミヤサキが5月から9月までの期限付きでBiSに移籍することが発表。BiSからはアヤ・エイトプリンスがGANG PARADEに期限付き移籍する。4月25日にニューシングル「FOUL」をリリース。同月に「BODY&7SOUL Tour」と銘打った東名阪ツアーを行う。