「FREEDOM NAGOYA」15周年特集|主催の綿谷“wata”剛が語る無料フェスを続ける理由 (2/2)

大トリのENTHに期待

──15年間の中で、特にうれしかった出来事を1つ挙げるとしたら?

2019年は「FREEDOM NAGOYA」10周年で、アーティストからもお客さんからも「続けてくれてありがとう」とたくさん言ってもらえて。今までの苦労がすべて吹き飛びました。地域の人にもようやく認められ、「最初は音の問題や違法駐車もあったし、人がいっぱい来て嫌だったけど、年々改善されて毎年やっているお祭りのように感じてきた」と言ってもらえました。無料ということもあって、「FREEDOM NAGOYA」がふらっと足を運んで気軽に音楽に出会える場所になっていることを実感できました。

──「FREEDOM NAGOYA」を「音楽との出会いの場所」にすることは、開催当時から意識していたんですか?

途中から意識するようになりました。最初は本当に自分の好きなバンドや仲のいいバンドを呼んでいただけで。だからどうしてもパンクやラウドのバンドが多かったんですが、途中から「音楽やライブにあまり馴染みがない方や近隣の方など、いろんな人に楽しんでもらいたい」と思うようになり、そこからはいろんな人に興味を持ってもらいやすいように音楽のジャンルの幅を広げました。今はさまざまなアーティストに出てもらってます。

綿谷“wata”剛

綿谷“wata”剛

──今年のラインナップも、その考えに沿ったもの?

そうですね。あと、コロナ禍で少し考えが変わったんですよ。コロナ禍のときに、音楽やライブハウスから離れる人が増えましたよね。自分はライブハウスやレーベルマネジメントをやっているからこそ、この仕事を続けていくためにもライブシーンをもっと盛り上げていかないといけない、離れてしまった人にフェスやライブハウスに帰ってきてもらわないといけないという気持ちが芽生え始めて。だからさらに幅広く、お笑い芸人も呼んだり、キッズスペースを作ったりするようになりました。さっきも話したように、「FREEDOM NAGOYA」をきっかけにバンドを始めたとか、そういうアーティストも増えてきたので、その流れを絶やさないようにしたいとも思うようになりました。

──15周年を迎える今年はどんな2日間になりそうですか?

コロナ禍で「FREEDOM NAGOYA」はAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)に会場を移して開催していたのですが、今年は5年ぶりに大高緑地に戻ってくる。お客さんからもアーティストからも「ついに大高緑地に戻れる」と楽しみにしている声をたくさん聞くので……不安が大きくなってきています。

──不安が?

はい。Expoではコロナ禍ということもあったので、マスクの着用やモッシュダイブの禁止などの制限を設けて、それを守ってもらわないといけない状況だった。だけど、今年はそれらが一気に取っ払われる。それぞれが人としての常識やマナーをちゃんと守らないと何万人も集まるフェスは成り立たないんですよね。だから、期待をされればされるほど不安が……。5年ぶりということで、大高緑地での「FREEDOM NAGOYA」を知らない人も多いと思うので、必ず公共交通機関で来てほしいということがちゃんと伝わっているかも心配ですし。これまでたくさんの失敗をしてきたからこそ、不安が大きいですね。

──主催者として不安や心配は尽きないと思いますが、綿谷さんとしては大高緑地に戻ることに対してはどのような思いが?

めちゃめちゃ楽しみです。ExpoはExpoでよかったですけど、Expoで3年やったことで大高緑地のいいところを改めて実感しました。Expoはイベントをするための会場なので、インフラがしっかり整っているんですが、大高緑地は公園なので、イベントを開催するにあたっては不便なことがたくさんある。だけど、ふらっと来て気軽に音楽を楽しむことができるという点においては、大高緑地のほうが適していると思うんです。なので15周年のタイミングでまた戻れるのはうれしいですね。いい2日間にしたいなと思っています。

──もちろん全アーティスト楽しみだと思いますが、特に楽しみなアーティストや期待しているアーティストを1組挙げるとしたら?

「FREEDOM NAGOYA」は15年間の中で1回だけ中止になっているので、これまで全13回開催しているんです。その中で一番多く「FREEDOM NAGOYA」に出ているのが、12回出演してくれたENTH。だからENTHにはやっぱり期待しています。しかも今回は2日間の大トリ。彼らって、普段は力を抜いているというか、ラフな感じでライブをするんですけど(笑)、こういうときはすごく気合いを入れてくれるので、それがグッとくるんですよね。楽しみです。

初心に戻ってフェスを作りたい

──RAD CREATIONとしては2025年3月にAichi Sky Expoで、東海地区の老舗イベンター・JAILHOUSEとの共催による新たなフェス「RUMBLE×JAG 2025」を開催することが決まっていますが、これはどういった経緯から?

Expoは、コロナ禍での「FREEDOM NAGOYA」で3年間一緒に戦ってきた思い入れのある場所。大高緑地に戻るのもすごくうれしいし、楽しみなんですが、一方でExpoとお別れするのが寂しくて。もともとパンクやラウドに特化したフェスをやりたいなと考えていたので、だったらExpoでやろうという話になりました。

「RUMBLE×JAG 2025」の告知用画像

「RUMBLE×JAG 2025」の告知用画像

──パンクやラウドとジャンルを限定しているのはどうしてですか?

やっぱり自分の性に合うんですよね。最初に話したように、打ち上げでバカみたいに騒ぐタイプの人がパンクやラウドのアーティストに多い。だからそこに特化したお祭りができたらなと。

──「シーンの活性化を考えて」とか、そういうことなのかなと思いました。

もちろんそれもあります。うちの所属アーティストで言ったらENTHやKUZIRA、Maki、Some Lifeがそのシーンにあたると思うんですけど、コロナ禍の影響もありシーン全体の元気がなくなっちゃっているなとは感じているので、そこを再度盛り上げられたらとは思っています。でもやっぱり一番の理由は自分がやりたいから。それこそ「FREEDOM NAGOYA」も、今でこそいろんな出会いやきっかけを作りたいという考えのもとやっていますが、最初に開催した理由は「自分がやりたいから」だった。また初心に戻ってフェスを作りたいという気持ちが一番大きいです。

──RAD CREATIONはほかにも、「PUNK IN SUMMER」や「ROCK IN WINTER」など次々とイベントを立ち上げていますが、綿谷さんとしては、名古屋や東海の音楽シーンを盛り上げたいという気持ちもあるのでしょうか?

めちゃめちゃあります。もともとは自分が楽しいと感じることをやりたいと思ってましたが、コロナ禍を経て、それをこの先も実現していくためにはシーンを盛り上げていかないといけないと考えるようになった。そのためにも、「FREEDOM NAGOYA」や「RUMBLE×JAG」の開催に向けて、これまで以上に気合いが入っています。

綿谷“wata”剛

綿谷“wata”剛

イベント情報

FREEDOM NAGOYA 2024 -15th Anniversary-

DAY1
2024年5月18日(土)愛知県 名古屋大高緑地 特設ステージ

<出演者>
ammo / Arakezuri / Atomic Skipper / BACK LIFT / Dizzy Sunfist / dustbox / FIVE STATE DRIVE / HERO COMPLEX / HEY-SMITH / HOTSQUALL / kobore / Maki / OCEANS / Paledusk / ROTTENGRAFFTY / See You Smile / Some Life / TETORA / THE FOREVER YOUNG / 粗大Band / TOSHIMITSU / オレンジスパイニクラブ / かずき山盛り / カネヨリマサル / かりゆし58 / キズ / キュウソネコカミ / シンガーズハイ / バックドロップシンデレラ / ヒステリックパニック / 夕闇に誘いし漆黒の天使達 / 夜の本気ダンス / 忘れらんねえよ / #KTちゃん / DivaRoaD(3/1オーディション勝者) / HONEST(3/10オーディション勝者) / kurage(3/18オーディション勝者) / Pray for my Past(3/21オーディション勝者) / 飛行楽園(3/24オーディション勝者)

Live House R.A.D STAGE
Brown Basket(Party'z推薦) / Hyuga(Party'z推薦) / OREWAOMAE(Party'z推薦) / RAINCOVER(R.A.D推薦) / ザ・シスターズハイ(R.A.D推薦) / パーカーズ(RAD SEVEN推薦)

mistFES STAGE
LEIWAN / シュレーディンガーの犬(mistFES推薦) / ジエメイ(RAD JAM推薦) / Cosmoslay(3/31オーディション勝者)


DAY2
2024年5月19日(日)愛知県 名古屋大高緑地 特設ステージ

<出演者>
Age Factory / bokula. / ENTH / EVERLONG / Half time Old / KALMA / KUZIRA / LOCAL SOUND STYLE / LUCCI / MAYSON’s PARTY / moon drop / Mr.ふぉるて / ONIONRING / PK shampoo / POT / reGretGirl / SHADOWS / SHAKALABBITS / SideChest / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / Sunny Girl / THE BOOGIE JACK / THE BOYS&GIRLS / the shes gone / This is LAST / Track's / アイビーカラー / ケプラ / コールスロー / サバシスター / ジ・エンプティ / ブランデー戦記 / ヤユヨ / Mr.Bouquet(2/25オーディション勝者) / 未明(2/26オーディション勝者) / アイ飢エ(3/2オーディション勝者) / sanagi(3/20オーディション勝者) / 和花 by.上に1回動かす。(NFESオーディション勝者)/ One man Life(NSMオーディション勝者)

Live House R.A.D STAGE
COPES(Party'z推薦) / Organic Call(R.A.D推薦) / 明くる夜の羊(RAD SEVEN推薦) / 炙りなタウン(RAD SEVEN推薦) / アルコサイト(RAD SEVEN推薦) / まなつ(R.A.D推薦)

mistFES STAGE
BMK / mistress(mistFES推薦) / いつもここから / カイジューバイミー(RAD JAM推薦)


FREEDOM NAGOYA 2024 -15th Anniversary- 前夜祭

  1. 2024年5月8日(水)愛知県 栄R.A.D
    <出演者>
    OREWAOMAE / RAINCOVER / THE NOiSE / つきみ / だぁ(怪獣ピクルス)(オープニングアクト)
  2. 2024年5月14日(火)愛知県 栄R.A.D
    <出演者>
    Jam Fuzz Kid / Maki / POT / 粗大Band

公式サイト


RUMBLE×JAG 2025

  • 2025年3月15日(土)愛知県 Aichi Sky Expo
  • 2025年3月16日(日)愛知県 Aichi Sky Expo

プロフィール

綿谷“wata”剛(ワタタニワタコウ)

RAD CREATION株式会社、RAD ENTERTAINMENT株式会社の代表取締役社長。レーベル・TRUST RECORDSを2006年に、ライブハウス・栄R.A.Dを2009年に立ち上げた。2010年には愛知・名古屋港ガーデンふ頭で、主催の無料ロックフェスティバル「FREEDOM NAGOYA 2024 -15th Anniversary-」を開催。2024年5月に愛知・名古屋大高緑地でこのフェスの15周年記念イベント「FREEDOM NAGOYA 2024 -15th Anniversary-」、2025年3月に愛知・Aichi Sky ExpoでRAD ENTERTAINMENTと東海地区のイベンターJAILHOUSEの共催フェス「RUMBLE×JAG 2025」が開催される。