EMPiREが2月27日に1stシングル「ピアス」をリリースする。
これまでの作品同様、カセットテープで発売される今作。テレビ東京系のテレビアニメ「FAIRY TAIL」ファイナルシリーズ第2クールのエンディングテーマである表題曲と、MAYU EMPiREが作詞を手がけたダンスチューン「ERASER HEAD」の2曲入りで、初回限定盤には昨年9月の東京・マイナビBLITZ赤坂公演の模様や特典映像を収めたBlu-rayが付属する。また3月3、4日に予定されている24時間イベント「EMPiRE presents TWENTY FOUR HOUR PARTY PEOPLE」をもってオリジナルメンバーのYUKA EMPiREが脱退することから、今作は現体制でのラストシングルとなる。
音楽ナタリーでは、YUKA EMPiREを含むメンバー6人にインタビュー。昨年5月に現体制になってから約10カ月の振り返りと共に、新作にまつわる話、6人体制のラストを飾る24時間イベントへの意気込みを聞いた。
取材・文 / 田中和宏 撮影 / 映美
激動の2018年
──2018年のWACK合同オーディションからもうすぐ1年ですね。昨年の今頃(取材は1月下旬に実施)は、MiKiNAさんとMAHOさんはまだオーディションに応募したくらいのタイミングですか?
MAHO EMPiRE はい。応募はもうしていました。
MiKiNA EMPiRE ちょうど1次オーディションの返事が来たぐらいです。
──2018年はお二人の加入も含め、いろいろな変化がありましたね。
MiDORiKO EMPiRE はい。去年の5月にYUiNAがBiSに完全移籍して、MAHOとMiKiNAが入ってきて5人体制から6人体制になったことが一番大きい変化でした(参照:EMPiREブリッツ初単独ライブ大成功、新体制で“NEXT EDiTiON”ツアーへ)。
YUKA EMPiRE 私もメンバーの変動が一番印象深かったです。
MAYU EMPiRE 3月の「WACK EXHiBiTiON」でメンバーの移籍が発表されたときはめちゃくちゃショックでした(参照:WACKオーディション結果発表!キャン・マイカは改名、BiSは2チームに分裂)。
──ではこの1年でうれしかった思い出は?
MAYU ワンマンツアーですね。7月から9月まで6人で各地を回れたことがうれしかったです。そもそもワンマンライブ自体が5月の赤坂が2017年のお披露目ライブ以来初めてだったので、単独ツアーもドキドキする日々でした。
──去年のタイミングで新メンバーになったMAHOさんとMiKiNAさんも初めてのことだらけだったと思います。
MAHO そうですね。ライブだけじゃなくて、レッスンとか全部が初めてだったので、比べるものもなくひたすらやり続けるという感じで。毎日1つひとつ反省して次に生かしていく、みたいな日々でした。2018年はオーディションに合格したことがすべての始まりなので、自分にとって大きな意味を持つ年でした。
──1年が経っても、オーディションの記憶が色濃く残ってるんですね。
MAHO オーディションの様子を追った映画「世界でいちばん悲しいオーディション」が公開されまして、あの作品を観ると「あ、忘れちゃいけないな」って思うんです。がむしゃらにがんばってた自分を思い出して今の自分を奮起させるみたいな。何事にも負けられないなって。
MiKiNA オーディションも忘れられないけど、私はやっぱり5月1日のマイナビBLITZ赤坂公演が一番印象に残ってます。あんなに多くの人の前に立つのは初めてだったので、足がガクガクして。オーディションに合格したばかりの素人だったので、1カ月ぐらいの練習で急にステージに立ってパフォーマンスをするという事実が自分の中で大きすぎて。でもやりきるしかないという気持ちを持って、ライブを楽しめたからよかったです。
YU-Ki EMPiRE 私は9月のBLITZがすごく印象に残ってます。初めてツアーを回って、各地でエージェント(EMPiREファンの呼称)の方とコミュニケーションを取って顔を覚えていったら、9月にみんな来てくれたんです。5月のワンマンは必死だったんですけど、9月は心に余裕もあって純粋に楽しめました。それが忘れられないなって思いますね(参照:EMPiRE進化止まらず、ブリッツワンマンで熱狂の「お尻ペンペン」5連発)。
──昨年は単独ツアーのほか、先輩BiSHとのツアー、後輩WAggとのツアーもありました。
YU-Ki BiSHさんのツアーでは、ライブを観て基礎を学んでました。9月以降はWAggとのツーマンをする中で、自分たちがどういうライブをやりたいのかを考える時間が多くなりました。煽り方1つ取っても工夫できることはあるし、「この曲はこういうふうにしたいね」みたいな話し合いもして、1曲1曲と向き合うライブになりました。
MAHO 去年の夏くらいまではEMPiREがWACKの中で一番下の新しいグループでしたけど、WAggが結成されたことによってフレッシュさでは戦えなくなっちゃったから、「EMPiREらしさってなんだろう?」とより考える必要があると思うようになりました。
YU-Ki 今の体制になってからみんなの身長が同じくらいになったこともあって、パフォーマンスの統一感と一体感がEMPiREの大きな特徴になったと思います。
──9月のBLITZ公演ではMiDORiKOさんのシャウトがかなり激しくなっていて、勢いを感じました。
MiDORiKO 5月のワンマンでは確かにちょこっと叫んだくらいでした。そのあと誕生日の時期にリリースイベントがあったんですけど、つい気持ちがアガっちゃってシャウトしたんです。それからスタッフさんに「シャウトしていいよ」って言ってもらったので、取り入れるように(笑)。
──MiDORiKOさんのシャウトは今のEMPiREの武器とも言えそうですね。アンコールで「Buttocks beat! beat!」を5連発したのはすごい体力だと思いました(笑)。お客さんもずっとコールしてましたし、「自分は何を見てるんだろう?」みたいな気持ちになって。
MAYU そうなりますよね(笑)。9月のワンマン前、夏の「TOKYO IDOL FESTIVAL」では「Buttocks beat! beat!」を4連続でやって、BiSHさんの「BiSH-星が瞬く夜に-」をカバーさせてもらいました。
──連続で同じ曲をパフォーマンスするのはWACKアーティストのお家芸のようになっていますが、当事者としては正直どういう気持ちなんですか?
MAYU ぶっちゃけ体力的にしんどいですね(笑)。気持ちはすごくアガるんですけど、乖離していくんですよね……気持ちと体の調子が(笑)。もう足を引きずってるみたいな。
特典会では優しい女帝
──作品のリリースやライブ出演を経験する中で、ファン層の拡大につながっているという実感はありましたか?
YU-Ki はい。まずMAHOとMiKiNAが入ったことによってファン層がちょっと広がったような気はしています。2人が入ってきてからのことなんですけど、Twitterでエゴサーチすると全然知らない人がEMPiREを話題にしてるのが面白いなと思って。やっぱりメンバーが増えたり、編成が変わったりすると引きつける対象も変わってくるんだと思って。
MAYU オーディション合宿でMAHOとMiKiNAを見て、その流れであとからEMPiREを知ったという人もいますね。
YU-Ki 合宿はニコニコ生放送で生配信されてたんですけど、その時点で2人が好きって書き込んでる人もいたね。
MAYU 今まで興味なかったという人も来てくれるようになりましたね。
YU-Ki BiSHさんが好きでEMPiREにも興味を持ってくれた方が一番多いかも。最近はどこで知ってくれたのかわからないような新規の人も来てくれるようになってうれしいです(笑)。フェスとかで私たちのことを知って初めて来たと言ってくれる人もいます。
──特典会で?
MAHO はい。特典会で「今日初めてなんですよ」って教えてくれるとうれしくなります。
YU-Ki はじめましての人だと「はじめてだねー」「ありがとー」とか、「どっから来たの?」「また来てね」みたいなことしか話せないですけど。
MAHO 時間に限りがあるからね。
YU-Ki いつも来てくれてる人とは日常会話ができて楽しいです。
MiKiNA 友達みたいだよね。何回も来てくれる人たちは。
MAYU その日のライブの感想とかを教えてくれますね。「あの曲のここがよかった」って。
──アイドルと何を話せばいいかわからない人もいるだろうなと思ってましたけど、純粋にライブで楽しかったことを伝えればいいんですね。
YU-Ki はい。私たちは優しいですから(笑)。
──EMPiREは女帝の設定だったと思うんですが、優しいんですね。
YU-Ki 今も女帝ですよ! ステージではカッコよく。
MAYU カッコよく見えるようには意識しています。でも特典会では素の私たちを見てもらえたらいいなと思っているので、親しみやすさが前に出ますね。もともとEMPiREはみんな親しみやすいキャラクターなので、ほかのWACKグループにはない明るさみたいなのがあるかなと思っていて。ギャンパレさんも明るいけど、陽気なそれとは違う明るさで。
──EMPiREの素は?
MAYU 素はバカばっかりですね(笑)。大人の人も困惑してると思うんですよ。「コンセプトが女帝だったのに蓋開けてみたらバカしかいないぞ?」みたいな。でもそのギャップがあっていいと思います。
──人によって褒めて伸びるタイプと、キツく言われて伸びるタイプがいると思うんですけど、皆さんそれぞれどんなタイプですか?
MAYU 褒められたいですけど、褒められすぎちゃうと調子に乗っちゃうから、キツく言われたほうが私はいいかもしれないですね。……でも褒められたいです。
MiKiNA 以前、マネージャーさんに「EMPiREはリハーサルで褒めると本番で調子に乗ってうまくいかなくなる。褒めないほうがいいね」と言われたことがあります(笑)。
YU-Ki 逆に褒められると焦る。期待されていると思うじゃないですか。期待を裏切りたくないということに気が向きすぎると空回りしちゃうから難しいですね。
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殻を破って羽ばたき始めた