メンバー廣田あいかの“転校”(卒業)により、真山りか、安本彩花、星名美怜、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子の6人体制となった私立恵比寿中学。新体制での第一歩となる6月6日発売のニューシングル「でかどんでん」は、破天荒なタイトルが表す通り、近年のエビ中のシングルにはなかった破壊力抜群の楽曲となった。6人での音楽ナタリー初インタビューとなった今回は、7人から6人へとシフトチェンジした1月の東京・日本武道館2DAYSからここまでの約半年間について、なかなか表には出せない過酷なエピソードも交えて語ってもらった。また特集の最後には、メンバー1人ひとりに胸の内を聞く個人面談スタイルのミニインタビューも掲載している。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 堀内彩香
※特集公開時、カメラマンクレジットに誤りがありました。訂正してお詫びします。
- 私立恵比寿中学「でかどんでん」
- 2018年6月6日発売 / SME Records
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初回限定盤A
[CD+Blu-ray]
1800円 / SECL-2291~2 -
初回限定盤B
[CD+Blu-ray]
1800円 / SECL-2293~4 -
通常盤 [CD]
1500円 / SECL-2295
- 初回限定盤A CD収録曲
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- でかどんでん[作詞・作曲・編曲:U-re:x]
- 熟女になっても feat. SUSHIBOYS[作詞:SUSHIBOYS、さつき が てんこもり / 作曲:さつき が てんこもり / 編曲:雲豹]
- でかどんでん(Less Vocal ver.)
- 熟女になっても feat. SUSHIBOYS(Less Vocal ver.)
- 初回限定盤A Blu-ray収録内容
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中学生だけのドライブ映像 ~横濱邪決斗撮影編~
- 初回限定盤B CD収録曲
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- でかどんでん
- スウィーテスト・多忙。[作詞:西寺郷太 / 作曲:野井洋児 / 編曲:佐藤優介]
- でかどんでん(Less Vocal ver.)
- スウィーテスト・多忙。(Less Vocal ver.)
- 初回限定盤B Blu-ray収録内容
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「響」Music Video(Solo Short ver. ×6)
- 通常盤 CD収録曲
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- でかどんでん
- 熟女になっても feat. SUSHIBOYS
- スウィーテスト・多忙。
- 響[作詞:後藤まりこ / 作曲:AxSxE / 編曲:野村陽一郎]
- でかどんでん(Less Vocal ver.)
- 熟女になっても feat. SUSHIBOYS(Less Vocal ver.)
- スウィーテスト・多忙。(Less Vocal ver.)
- 響(Less Vocal ver.)
私たちはまだ本当の意味で武道館に立っていない
──6人になってからナタリーでは初めてのインタビューなので、改めて1月3、4日の日本武道館公演から振り返ってもらいます。3日は7人で最後の、4日は6人で最初のライブとなりましたが、皆さんにとってはどんなライブになりましたか?
星名美怜 まったく違う2日間でした。大きな会場で2DAYSをやらせていただいたことはこれまでにもあったけど、こんなに気持ちに差のある2日間を過ごしたことはなかったです。
安本彩花 普段の2DAYSは2日間で違う内容だったとしても、何を見せたいか、何を伝えたいかは一緒だったんですよ。同じものをどれだけ違うように見せられるかが課題だったけど、今回は気持ちの面から全然違いました。
真山りか どちらも根本的に「私立恵比寿中学である」という部分は変わらないんですよ。なのに、環境やプレッシャーの与えられ方が全然違っていて。2日間終わったときはズドーンときましたね。疲れが一気に。
柏木ひなた 体が疲れたというよりも、心があちこちに動きすぎて疲れちゃった。1日目は(廣田)あいかを笑顔で送り出そうという楽しい気持ちだけど、2日目は6人体制できちんとしたスタートを見せなくてはいけないから……頭の中が真っ白で何も考えられない状態でした。でも、何も考えないことが結果よかったなと思います。自分としてはいいライブになったと思ってるんですけど、考えすぎてたらそこまでうまくいかなかったと思うんですよね。
──大変だったとは思いますけど、ライブは2日間共大成功と言えますよね。
中山莉子 周りの反響はすごかったです。
小林歌穂 大変だった武道館2DAYSの次の日に、私だけ雑誌の撮影があったんですよ。表紙の顔が岩みたいになっちゃって(笑)。岩女がぎこちない笑顔を浮かべていて、すごく思い出深いです。
──エビ中単独で日本武道館に立ったのは2014年の「合同出発式」以来ですよね? 中山さんが天丼を着ていた(参照:エビ中初の武道館で合同出発式、前を向いてそれぞれの道へ)。
中山 あー、そうだ! 天丼!
小林 私はレンコン。私と莉子ちゃんは初めてちゃんとした格好で立った武道館だ(笑)。
中山 前に立ったときも卒業の場所で、今回も卒業と始まりの場所で。
真山 だから私たちはまだ本当の意味で武道館に立っていないんだと思うんですよ。特別なときに、何かの力を借りてしか武道館のステージに立てていない。逆に言うと、それくらい大事な場所になっているのが武道館です。
「ロック・リー」で大号泣
──武道館2日目、6人での初ライブはファンの評価も高かったと思うんですけど、校長(エビ中のマネージャー・藤井ユーイチ氏)をはじめとするスタッフの皆さんがいい手応えを感じていたみたいで。
星名 今までにないぐらい褒められました(笑)。
真山 「そんな褒める?」みたいな。私はそれが悔しかったです、逆に。「じゃあ今までの私たちはなんだったの?」って。今までだって同じぐらいがんばってきたのに。
──具体的にどんなところがよかったという話はあったんですか?
安本 いや、ただ「イエー!」みたいな(笑)。「よかったよー今日!」って。
柏木 みんなハイテンションでおかしくなっちゃったみたいで。
星名 こっちはそこまで意識を変えたつもりはないけど……やっぱりあいかの存在感はエビ中の中でめちゃめちゃ大きかったし、大きく変わったからこそ周りの見方も違ったと思うんです。
真山 大人たちにとっても新しいスタートの日だったから、自分たちのことも追い込んでいたと思うんですよ。私たちも「100点じゃだめだ、120点を出さなきゃいけない」と言われていたけど、同じように自分たちのことも追い込んでいたんだろうなって今は思います。そのぐらいのテンションでした。
星名 本っ当に追い込まれてたんですよ。初めて逃げ出したくなるぐらい。あのリハは忘れられないね。すごくつらい思い出です。
──つらい思い出(笑)。
真山 素直につらいって言えちゃうぐらいつらかったです(笑)。
中山 初めて体験した。あんな気持ち。
小林 みんな号泣(笑)。
柏木 12月29日。はっきり覚えてる(笑)。もうやだ。
真山 「異常だよ、おかしいよ」って言ってくれる人が誰もいなかった。廣田のほう(1月3日)のリハはひたすら楽しく、大人も何も言わなくて「いいよいいよー、もっと自由にやっていいよー」みたいな感じで。でも6人のリハになった瞬間に人が180°変わって、目がギュン!って。外国のおもちゃみたいに。
柏木 あははは(笑)。チャッキーみたいな。
真山 私たちは私立恵比寿中学であって、目の前にいるファンの皆さんを楽しませることが仕事であり誇りである、ということには2日間変わりないはずなのに、どうしてそんなに周りは変わるんだろう?という疑問と憤りを抱えた2日間でしたね。私にとっては。
──観客は7人のエビ中が終わって、6人のエビ中が始まる、と順序立てて観たから自然に受け止めていますけど、リハーサルは並行して進めるわけですもんね。
星名 そうなんですよ。6人でみっちりやって、7人で楽しくワイワイやって、また6人に戻るみたいな。
──リハで泣くようなことも最近はなかった?
中山 私は初めて泣きました。歌ってる最中に。
柏木 「(Go! Go! Here We Go!)ロック・リー」を歌ってるとき、急に。
──あんな楽しい曲で(笑)。
安本 「もう嫌んなっちゃったー」って(笑)。
中山 しかも私のパートが「自分を信じないやつなんかに 努力する価値などない」「努力は裏切らない!!」で「なんだこの歌詞!!」って(笑)。歌いながら号泣しちゃって。
──大変な思いをしたとは言え、あの大成功と言えるライブができた達成感はある?
真山 うーん、私としては美化するのもちょっと悔しいぐらい。たぶんまだ燃えてるんだと思う(笑)。
リフがいいんですよ
──あの2日間のあとはどんな感じだったんですか?
星名 ファンクラブイベントがあって、「自習」があって(参照:エビ中、カホリコの個性を凝縮「自習」ライブ)、ドラマの撮影があって(参照:エビ中がUFO見つける天文部員に、新体制初の主演ドラマ「君は放課後、宙を飛ぶ」)、シングルのレコーディングがあって……それからすぐに春ツアー(4月21日より開催中のツアー「私立恵比寿中学 SHAKARIKI SPRING TOUR 2018~New,Gakugeeeekai of Learning~(新・学芸会のすゝめ)」)が始まったので、ライブを振り返ることもないほど慌しかったですね。
──今回の新体制第1弾シングルで改めて次の一歩、というところだと思うんですが……次の一歩が「でかどんでん」。「自習」のときのタイトル発表の瞬間はすごい空気でしたね(参照:でかどんでん!?エビ中、新体制第1弾シングルは6月リリース)。
小林 うふふふ(笑)。「ニューシングルが出ます!」でワーッとなって「でかどんでん!」でシーンとなっちゃって。
星名 ビビッたよね(笑)。
柏木 リアクションが新しすぎて。
──エビ中はこれまでだって奇抜なシングルが何枚もありましたけど、最近は「スーパーヒーロー」「まっすぐ」「シンガロン・シンガソン」とストレートに響く曲が続いていたので、インパクトはでかいですね。
星名 “ザ・いい曲”を歌い続けてきてからの「でかどんでん」なので、曲とタイトルをもらったときは衝撃的すぎて。反応は私たちもあのときの皆さんと同じでした(笑)。「でかどんでん……!?」って。
真山 みんなの反応を見て「だよねー」と思ったよね(笑)。
安本 私たちはなんとなく、またストレート路線が来ると思っていたので。「私たちはこの方向で行くんだな」と思ってたんですよ。「じゃあこの方向を磨いていこう!」と思っていたら、ズコーって。
柏木 武道館で「響」を披露したあとの「でかどんでん」なので、なおさらギャップがすごい。
──「響」は結局カップリング曲になりましたが、確かに「響」のほうがここ最近のシングルの流れで考えると自然ですよね。でも、いろんなことを乗り越えて、6人になって再出発するエビ中の最初の一歩として考えたとき、このぐらい突き抜けた曲のほうが痛快でいいなと個人的には思います。ライブで爆音で聴いたとき、改めてそう思いました。
真山 そうですね。「でかどんでん」はちゃんと聴くとカッコいいんですよ。
小林 リフがね。リフがいいんですよ。
安本 こないだ学んだんですよ。リフって言葉(笑)。
小林 ベンベンベンベ、ベンベベンベンベン、のリフがね。
星名 ライブ曲だよね。1人でじっくり聴くというよりもライブでみんなで盛り上がる曲。エビ中でライブ曲がシングルになることはあまりなかったから新鮮でした。
真山 いろんな方が「エビ中はライブがいい」って褒めてくださるので、ライブ曲がA面になるのはうれしくもありますね。
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「でかどんでん」とは