音楽ナタリー Power Push - ドレスコーズ
ファンと志磨遼平が考える理想のドレスコーズ
僕はPA席でディレイをかけるだけ
──志磨さん自身に投稿していただいたものもありまして、こちらはショーケン(萩原健一)さんがボーカルで、志磨さんはステージにいないという編成ですね。
萩原健一(Vo)オーガスタス・パブロ(メロディカ)ジャー・ウォブル(Ba)ジガブー(Dr)志磨(DUB PA)#ドレスコーズナタリー
— 志磨遼平(ドレスコーズ) (@thedresscodes) 2016年4月6日
ただ僕はPA卓でディレイをかけるだけですね(笑)。単純に言うとね、これは僕が観たい編成なんですよ。僕、ショーケンさんが大好きなんですよ、歌手として。「理想のボーカリストは誰ですか?」って聞かれたら、ショーケンさんとあがた森魚さんって答えてるんです。
──どういうところに惹かれているんでしょうか?
歌もうまいし、ステージに立つ人として表現力が豊かなんですよね。簡単なメロディを歌ったとしても、歌に重みというか生き様というか、そういうものがすべて乗っかってる感じ。彼らの発する歌にはものすごい量の情報が込められている。そういうことができる歌手に僕は憧れるんですよね。
バンドを組むために音楽がある
──ここまで読者が考えたいろんなドレスコーズのメンバー編成を見てきましたが、志磨さんの中でドレスコーズをバンドとして保ちたいという気持ちはあるんですか?
バンドであってほしい、とは考えてますね。やっぱり僕が一番好きなことがバンドを組むことなんです。ただパートとかは別にどうでもいいんですよ。1つの目的のために楽器を持った人間が3、4人集まればそれはもうバンドだよねっていう。どちらかというとバンドを組むために音楽があるって感覚。普通はたぶん逆ですよね。
──逆というと?
僕の場合、やりたい音楽があってメンバーを募るというよりかは、メンバーありきでそれにピッタリの音楽を作りたいんです。例えばリリーさんと長谷川先生とやるってなったら、もう頭の中で作曲が始まるというか。これは毛皮のマリーズからずっとですね。「あの4人でやるなら」っていうのを常に考えていた。
──昨今のドレスコーズは毎回メンバーを変えてツアーをしていますが、表現したい音楽のベクトルは毎回違うということですか?
そうですね。演奏するメンバーに合わない音楽を無理矢理やろうと思ったことはないです。でもメンバーがやりたい音楽と僕が彼らにやってほしい音楽っていうのは必ずしも一致しないんです。だからドレスコーズの初期の頃なんかはよくスタジオで話し合ったりすることもありました。
──例えば今回リリースされるBlu-ray / DVDに映像が収められている「SWEET HAPPENING ~the dresscodes 2015 "Don't Trust Ryohei Shima" JAPAN TOUR~」の東京公演は、越川和磨(G / THE STARBEMS、ex. 毛皮のマリーズ)さん、コレスケ(B / told、arko lemming)さん、中村達也(Dr)さんというメンバーでライブを行いました。これはどういうイメージのもと、メンバーを集めたのでしょうか?
このツアーは「オーディション」(2015年10月発売)っていうアルバムをステージで演奏するなら誰がいいかなっていう考え方からメンバーを探したわけなんですけど、実は最初に考えてたメンバーとスケジュールが合わなくて。それでふと、「達也さんと僕って今まで一緒に演奏したことがなかったな」と思って電話してみたら快諾してもらったんですよね。僕と達也さんってなったら西くん(越川)を呼ぶしかないと思ったし、このメンバーにベースで入れるのはコレスケくんだけでしょって僕の中ではすぐ決まって。だから最初に想定してたメンバーでのセットリストと、実際にツアーでやったセットリストはけっこう違いますね。
──今作にはオーディオコメンタリーが収録されていて、メンバー同士で「このメンバーで演奏できて本当によかった」と語り合っているところも印象的でした。
しょうもない話もいっぱい入ってますけどね(笑)。西くん(越川)を呼んだことを後悔してるくらいですから。
──「西くん寝てる?」とか、素のまま会話がそのまま入っていて、ファンは喜ぶと思います。
西くんが収録の日の朝まで飲んでたみたいで、寝てない自慢し始めたりして(笑)。オーディオコメンタリーはソロでやるべきやったなあ。
まったく新しいメンバーで新曲を録ってる
──今回の企画「#ドレスコーズナタリー」を振り返ってみていかがですか?
いろいろありましたね。中には「アレハンドロ・ホドロフスキーの映画に志磨が音楽を付けてくれ」みたいな意見もあって面白かったですし。音楽じゃないものと掛け合わせるのもドレスコーズらしくていいかもしれませんね。
──今後、今回の企画で名前が挙がったアーティストたちと一緒にレコーディングやライブを行うような可能性もあるのでしょうか?
こればっかりは僕が「やりたい」って言っても、向こうが「嫌だ」って言ったら実現しないですからね。ただ本当に魅力的なドレスコーズをたくさん挙げてもらったので、この中のどれかが実現する可能性はあると思います。むしろ僕が観たいですから。
──今回リリースされるアイテムはライブBlu-ray / DVDですが、今後新作の音源が発表される予定はあるんでしょうか?
実はすでに録り終えてる新曲もあるんですよ。それもまったく新しいメンバーで録ってるので楽しみにしてもらいたいです。次のアルバムもなんとなく視野に入ってきているんですけど、今は自分の好奇心みたいなものが先に一人歩きしている段階ですね。「もし実現するとしたら面白いけど、すごく大変そう」って。ただいいアイデアがあることは確かです。
- ライブDVD / Blu-ray「SWEET HAPPENING ~the dresscodes 2015 "Don't Trust Ryohei Shima" JAPAN TOUR~」 / 2016年5月11日発売 / EVIL LINE RECORDS
- Blu-ray Disc 5616円 / KIXM-230
- DVD 4104円 / KIBM-563
収録内容
- HEART OF GOLD
- スローガン
- ボニーとクライドは今夜も夢中
- jiji
- もあ
- 愛さなくなるまでは愛してる(発売は水曜日)
- Lily~ダンデライオン
- それすらできない
- トートロジー
- あん・はっぴいえんど
- ゴッホ
- 愛する or die
- 犬ロック
- ビューティフル
- みなさん、さようなら
<アンコール>
- 愛に気をつけてね
Blu-ray Disc特典映像
- "Don't Trust Ryohei Shima" JAPAN TOURダイジェスト映像
ドレスコーズ
2012年1月1日に志磨遼平(Vo)、丸山康太(G)、菅大智(Dr)の3名で初ライブを実施し、同年2月に山中治雄(B)が加入する。6月には大阪、名古屋、横須賀で「Before The Beginning」と題したツアーを突如開催。7月に1stシングル「Trash」をリリースし、タイトル曲は映画「苦役列車」主題歌に採用され話題を集めた。12月に1stフルアルバム「the dresscodes」、2013年11月にフジテレビ系アニメ「トリコ」のエンディングテーマ「トートロジー」を含む2ndフルアルバム「バンド・デシネ」を発売。2014年9月にキングレコード内レーベル・EVIL LINE RECORDSへの移籍第1弾作品として5曲入りCD「Hippies E.P.」をリリースし、同時に丸山、菅、山中の脱退を発表した。ドレスコーズは志磨の単独体制となり、同年12月にフルアルバム「1」をリリース。2015年10月、ピエール中野(凛として時雨)、會田茂一、沙田瑞紀(ねごと)ら多数のゲストプレイヤーを迎えて制作した4thアルバム「オーディション」を発売した。2016年5月にライブツアー「Tour 2015 "Don't Trust Ryohei Shima" JAPAN TOUR」のファイナル公演の模様が収録されたBlu-ray / DVD「SWEET HAPPENING ~the dresscodes 2015 "Don't Trust Ryohei Shima" JAPAN TOUR~」がリリースされる。