「Technics×CIRCLE '22」特集|ceroと考える、Technicsが音楽リスナーに愛されるワケ

Technicsの移動式試聴ルーム・Technics Sound Trailerが、5月13~15日に福岡・マリンメッセ福岡 B館で開催された音楽フェス「CIRCLE '22」の会場に登場した。

Technics Sound Trailerは、Technicsが音楽リスナーにアナログレコードやハイレゾ音源、CDなどを極上の音響で体験してもらうべく、全国各地を旅しているトレーラールーム。この日の取材では、音楽好きにリスニング用機材として愛されているTechnicsの“グランドクラス”シリーズのターンテーブル「SL-1200G」や、スピーカー、アンプなど計100万円を超える音響機器が車内に配置された。

音楽ナタリーでは、「CIRCLE」でのステージを終えたばかりのceroをTechnics Sound Trailerに招いてインタビューを実施した。2010年に10inchアナログ「21世紀の日照りの都に雨が降る」を発表し、以降も数多くのレコードをリリースしてきたcero。本特集では彼らにレコードとの出会いや、メンバーそれぞれの“バックグラウンドがわかるレコード”を紹介してもらいつつ、Technics Sound Trailerでのリスニング体験、Technicsの完全無線イヤフォン「EAH-AZ60」を試してもらった感想を聞いた。

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取材・文 / 下原研二撮影 / 河原諒子

Technics Sound Trailer(テクニクスサウンドトレーラー)

Technics Sound Trailer(テクニクスサウンドトレーラー)

パナソニックがTechnicsブランドの移動式試聴室として開発したトレーラー。音の躍動感、歌い手の息遣い、楽器から放たれる音色、指揮者が動き出す前の緊張感など、Technicsだからこそ表現できる音楽の世界をリスナーに体験してもらうべく作られた。トレーラーではTechnicsの主要ラインナップすべてが試聴でき、試聴音源もハイレゾ音源からCD、レコードまで幅広く取りそろえている。

Technics「SL-1200G」

Technics「SL-1200G」

音楽好きにリスニング用機材として愛されている“グランドクラス”シリーズのターンテーブル。ダイレクトドライブシステムの課題を解決し安定した回転を実現する、Technicsが開発したコアレス・ダイレクト・ドライブモーターを搭載。Blu-rayディスクの制御技術が盛り込まれたことにより、回転制御がブラッシュアップされている。

Technics「EAH-AZ60」

Technics「EAH-AZ60」

TechnicsがHi-Fiオーディオ機器の開発で長年培われた音響技術の粋を注いだ完全ワイヤレスイヤフォン。音楽が持つ表現や豊かな空間を再現する高音質を実現させた。ハイレゾ音質の伝送が可能なLDACに対応することで、ワイヤレスでありながらハイレゾ音質が楽しめる。

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タイトルは「WORLD RECORD」「My Lost City」「POLY LIFE MULTI SOUL」

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3人のレコード原体験

──ceroの皆さんが最初にレコードに触れたきっかけはなんだったんですか?

髙城晶平(Vo, Flute, G) 僕の場合、母親も父親もレコードで音楽を聴く人間だったからリスニングの環境が整っていたんですよ。両親がレコードプレーヤーを触っているのを見ていたから、なんとなくレコードの存在は子供の頃から知っていて。でも、実際に自分でレコードを買うようになるのはずっとあとで、高校生になるまでは「レコードは親の持ち物」という意識が強かった。だから自分で買い集めようとかそういうのはなかったですね。

──何がきっかけでレコードを集めるようになったんですか?

髙城 なんだったかな……。高校1年くらいの頃に、僕の世代で言うと今日出ているくるりやサニーデイ・サービス、NUMBER GIRLの音楽に夢中になって(※ceroは上記アーティストと同じく「CIRCLE '22」2日目のステージに出演した)。それとは別に親の持ち物として聴いていたはっぴいえんどや小坂忠さんの音楽が、その当時好きで聴いていた音楽にも通じてるらしいと何かのインタビューを読んで知ったんですよ。それで「親の持ち物的な音楽と、今自分が夢中になって聴いている音楽は地続きなんだ」と気付いたというか。そういうふうに思うようになってから、自発的にレコードを買うようになった気がする。

髙城晶平(Vo, Flute, G)

髙城晶平(Vo, Flute, G)

──荒内さんはいかがですか?

荒内佑(Key) 僕は中学生の頃にハードロックが好きでLed ZeppelinとかをCDでよく聴いていたんです。学校の登下校の途中に小さいリサイクルショップがあったんですけど、ある日その店の前にDeep Purpleの「Machine Head」のレコードが1枚だけ置いてあって。

髙城 あるある(笑)。そういうところによく置いてあるよね。

荒内 東京の中でも地方みたいなところで育って周りに文化的なものはほとんどなかったけど、登下校の途中で見かけるその1枚のレコードだけが自分の世界に通じている気がしたんです。それを買ったのが初めてレコードに触れたきっかけですね。

──今日は皆さんに「ご自身のバックグラウンドがわかるレコード」を1枚ずつ持参してもらっていて、荒内さんには「Machine Head」を持って来ていただきました。これはそのリサイクルショップで買ったものなんですか?

荒内 そうそう。学ラン姿で買いに行ったのを覚えてます。

──いい話ですね。

荒内 いや、でもDeep Purpleは全然好きじゃないんですよ。

一同 (笑)。

髙城 え、それは昔から?(笑)

荒内 うん、昔からダサいなと思ってた。だから影響を受けたバンドで言うと、Led Zeppelinのほうが大きいですね。

荒内佑(Key)

荒内佑(Key)

髙城 Deep Purpleはジャケに惹かれたの?

荒内 ジャケというより、やっぱりその状況を特別に感じたからだね。大人になったらリサイクルショップにレコードが置いてあることはなんとも思わないけれど、狭い世界に生きている中学生にとって、通学路にロックの有名なレコードがポツンと置いてあるってだけで輝いて見えた。

──橋本さんはレコードを集めるようになったきっかけは覚えていますか?

橋本翼(G, Cho) 正直なところ、僕はレコードにあまり馴染みがないんです。所属レーベルのカクバリズムがレコードでもリリースするスタイルだったので、「レコードで出すんだ」と思うくらいで。

髙城 ceroが初めて出したのも10inch(2010年発売の「21世紀の日照りの都に雨が降る」)だったもんね。俺も当時は「CDじゃないんだ」と思ってたよ。

橋本 CDで育った世代だから、レコードにあまり触れてこなかったというのが本当のところです。

──そうだったんですね。ceroというバンドのカラー的に、3人ともレコードが好きなのかなと勝手に想像していました。橋本さんはceroきっかけでレコードに触れたあと、初めにどの作品を買ったんですか?

橋本 ジャズが好きなので名盤と呼ばれる昔の作品から手を出した感じですね。あとはジャケットがデカいのが好きで、レコードで聴く頻度は少ないんだけど、買って満足しているところはあるかもしれないです。

橋本翼(G, Cho)

橋本翼(G, Cho)

親から子へ受け継げる、Technicsのターンテーブル

──確かに30cm角のレコードは、所有欲を満たすのにちょうどいいサイズですよね。ちなみに皆さんのご自宅にはレコードを聴ける環境はありますか?

橋本 あります。

──プレーヤーはTechnics?

髙城 うん。3人ともTechnicsのものを使ってますね。

──Technicsというブランドに対してはどういうイメージを持っていますか?

髙城 やっぱり一番は「丈夫」かな。僕が家で使っているプレーヤーは亡くなった父親の遺品なんですよ。それを考えるとすごい年数使ってると思うんだけど、問題なく作動しているし、よくよく考えたら冷蔵庫や洗濯機でそんなに物持ちがいい電化製品ってないじゃないですか。

──確かに。Technicsユーザーは魅力の1つとして、そのタフさを挙げる人が多いですよね。髙城さんのご自宅のプレーヤーは1度も調子が悪くなったりしてないですか?

髙城 うん。今のところ問題なく動いてますね。

──お二人はどうですか?

荒内 うーん……丈夫。

橋本 とにかく丈夫だよね(笑)。

荒内 僕も高校を出てすぐに「SL-1600」を中古で買って、それから20年近く同じプレーヤーを使っているんですよ。オリジナルの発売は70年代なのでアームレストが欠けたりとかはありますけど、音は問題なく再生できるのでやっぱり丈夫だなという印象があります。

cero

cero

──そもそもなぜTechnicsのプレーヤーを選んだんですか?

荒内 ほかに知らなかったんですよ。Technicsは当時のあまり知識のない僕でも認識してるくらい有名だったし、DJをやってる人のターンテーブルはだいたい「SL-1200」というイメージがあって。だからプレーヤーを買うならTechnicsがいいのかなと。

髙城 俺もTechnics以外は知らなかったです。それに親から受け継いだものだから。

──親から子へ受け継げるというのもすごいですよね。

髙城 そうですよね。というか丈夫としか言ってなくてすみません(笑)。

Technicsスタッフ 今のターンテーブルでもっともポピュラーなのがベルトドライブ方式なのですが、中のゴムベルトが緩んで故障してしまうことも少なくないんです。Technicsではモーターとターンテーブルを1本のスピンドルで直結したダイレクトドライブという手法を初めて製品化しました。耐久性が高いので、多くのDJの方に選んでいただいているんですね。

髙城 そういえば僕が家族でやっているRoji(東京・阿佐ヶ谷のカフェバー)というお店にレコードプレーヤーを置こうとなったときに、誰かから譲り受けたプレーヤーを置くことになったんですけど、それがベルトドライブ方式だったんですよ。そのプレーヤーをお店で酷使していたらすぐダメになっちゃって、結局Technicsのにしたってことはありましたね。