急いで決めなくてもいいのかなって

──ファンに報告する前に、メンバーやスタッフにも話したと思うんですが反応はどうでしたか？

えいたそ（成瀬瑛美）が特にすごかったです。「わー！ わー！」みたいに大騒ぎで（笑）。

──目に浮かびます（笑）。

りさちゃん（相沢梨紗）は「うんうん」みたいな感じで、ピンキー（藤咲彩音）は「えっ！」って感じで、ねもぺろ（根本凪 / 鹿目凛）は「おお、おめでとうございます……！」みたいな感じだった（笑）。私個人の話とはいえ、みんなにも影響することだから申し訳ない気持ちもありつつ、でもみんなすごく喜んでくれて、“人の幸せを喜ぶ”って本当にあるんだなって（笑）。

──あるんですよ（笑）。

うん、心から喜んでくれるメンバーでよかったなって思いました。

──スタッフの皆さんにはどんなふうに報告したんですか？

本当のことを言うと「結婚しても続けたい」とか言ってはいたものの、現実問題そうはいかないだろうとも考えていたんです。そんな都合のいい話はないよなって。でも今の自分の気持ちを伝えたらみんな「そういう人生にも寄り添っていけるでんぱ組.incでありたいよね」みたいなことを言ってくれて、なんていい人たちなんだと（笑）。結局誰も卒業しろとは言わず、そう考えてもらえるなら私もこのまま続けたいと思って。

──よかったです。

だから将来のことはいまだに見えてないです。とにかく全部が未経験のことすぎて今はわからないんですよね。将来的にはステージで歌って踊るだけがでんぱ組.incじゃなくてもいいのかな、みたいなことも実はちょっと思ったりして。

──なるほど。

ずっと椅子に座りながらのパフォーマンスとか（笑）。と言いつつ10年後もステージでバリバリ踊ってるかもしれない。だから急いで決めなくてもいいのかなって。そういう選択を許してくれる事務所とレーベルだったので、今はそこに甘えようと思ってます。

優しさや思いやりが一番大事だとわかった

──結婚発表時のMCでは「私が変われたのはファンの皆さんのおかげです」という話もしていましたね。

本当に私、でんぱ組.incを始めるまで思いやりのかけらもない人間だったんですよ（笑）。他人のことはたぶんどうでもよかったし「どうせ芸能界もお金の力で回ってるんでしょ」みたいなことをなぜか思ってて。でも実際活動してみたら、意外とみんな気持ちで動いてるし、ファンの人もすごく気持ちを使ってくれてることを知ったんです。でんぱ組.incの活動を通して、優しさや思いやりが一番大事なんだとわかった。みんな意外と他人のことも考えてるんだなって（笑）。それもあって最近は悩んだときに人に相談するようになりました。

──えっ、みりんさんが相談を？

そうなんです（笑）。今までそんなの絶対したことなかったのに。マンガ家の山本さほ先生とか声優のみもりん（三森すずこ）とかにいろいろ話を聞いてもらったり。

──それは結婚や恋愛について？

というかこの先の仕事のこととか、仕事もしたいけど家庭も持ちたいみたいな悩みって、この年代の女性はみんな考えてることだから。ねむさんともめっちゃ話したし、りさちゃんとも話したし。あと元メンバーの跡部（跡部みぅ）ともごはん行ったりして。跡部には「え、嘘でしょ？ あのみりんが？ 信じらんない！」みたいに言われましたけど（笑）。

──結婚が決まってからは、ねむさんとどんな話をしたんですか？

あれはたぶん何かの帰り道だったのかな。私が「結婚したらでんぱ組.incを離れる時期もあるかもしれない」みたいなことを言ったら、ねむさんが「みりんが始めたことだから、みりんが終わらせるのもアリだと思うし、みりんが続けたいならそれもアリだと思うし、みりんが決めていいと思うよ」と言ってくれて。それはちょっとドキッとしたというか、その言葉は印象に残ってます。でんぱ組.incの中で私はそういう立ち位置なのか、改めてこれはただ事ではないぞっていうのを再認識した瞬間でもありましたね。

──最上もがさんにも事前に報告したそうですね。

本当は「東京ゲームショウ」で会えたら直接話そうと思ってたんですけど、結局タイミングが合わなかったんでLINEしました。「実はこういう発表があって驚かす前に先に言っとこうと思って」と伝えたらすぐに「マジで？ おめでとう！」って言ってくれて。うれしかったですね。

今までやってきたことは間違ってなかった

──ファンからもらった言葉で印象に残っているものはありますか？

ファンレターもたくさんいただいたんですけど、いろんな人が「でんぱ組.incを続けてくれてありがとう」と言ってくれて、改めて素敵なファンの方に恵まれたなと。

──そう言われるとは思ってなかった？

あんまり思ってなかったです。なんなら「結婚おめでとう」より「続けてくれてありがとう」のほうが多いですよ。それぐらいみんなにとってもでんぱ組.incは大事な存在なんだということを再認識しました。あと私、結婚を発表してからSNSでより多くの方々の意見を目にして。

──そうなんですね。

Twitterでのリプライとかは全部見させていただきました！ 今回はさすがにみんなの反応が気になってしまっていろいろな意見をインターネット上で目にしましたね。でもその中で「彼女がアイドル人生をまっとうしてきたからこそ祝福されているんだ」みたいなことを言ってくれる人が何人もいて、そう考えると今までやってきたことは間違ってなかったんだなと思えたし、同時にでんぱ組.incの10年間の活動が認められたみたいな感じもして、そういう意見はうれしかったです。

──ありがたいですね。

でんぱ組.incを知らない人が「アイドルが結婚とかありえない」みたいなことを書いてたんですけど、そういうコメントに対して昔からのファンの人が「でんぱ組.incのこと1mmも知らねえくせに勝手なこと言ってんじゃねえ」みたいに言ってくれてるのもうれしくて。でんぱ組.incってこんなにみんなに伝わってたんだなって思った。あと発表の次の週に生誕イベントもやったんですけど。

──温泉の宴会場で行ったイベントですよね。どうでしたか？

その場で結婚について何も話さないのはちょっとアレだなと思ったんで、自分の気持ちをけっこう話したんです。でもみんなヤジ1つ飛ばさず泣きながら聞いてくれて、そのときすごくホッとしました。発表前は不安だらけだったけど、みんなのこともっと信じてもよかったんだなって。

──ステージでも「ホントにでんぱ組.incでよかったよ」と言ってましたね。

そうですね。でんぱ組.incでなければ、こういう未来はなかったと思います。もし私があのとき別のアイドルのオーディションに受かってたら、全然違った人生だったと思うし、もちろんどっちがいいとかじゃないけど、今は周りのみんなのおかげで、でんぱ組.incならではの人生を歩めてるなって思うんですよね。