アルバムは「宇宙」テーマの最終地点
──ではここからはニューアルバムについて伺います。アルバム「ワレワレハデンパグミインクダ」はこの1年の活動の集大成的な内容になりましたね。
古川 大阪城ホールでロケットが飛び立って(参照:でんぱ組.inc、7人で宇宙へ!344日ぶりワンマンライブで新たな一歩)、コスモツアーがあって、この1年は宇宙っていう1つのテーマでやってきたんですけど、その最終地点がこのアルバムですね。
夢眠 ロケットが途中でUFOになってるけどね。
古川 あ、ホントだ。
藤咲 ちょっと難しかったのかな。
鹿目 私は宇宙についてあんまり詳しくなかったんですけど、JAXAさんに行ったりして、ホントに宇宙って存在するんだなって思いました。宇宙に興味が湧いたので「宇宙兄弟」を読み始めたり。うふふ(笑)。
夢眠 やっぱ私は7人で最初の大阪城ホールで「ギラメタスでんぱスターズ」をお披露目できたのが、けっこうこの1年の活動に効いてるなって思ってて。6人でやってた曲を7人バージョンにしたんじゃなく、ちゃんと新生でんぱ組.incとしてスタートできたのがよかった。
──みりんさんが、この日に「ギラメタスでんぱスターズ」をやろうと提案したそうですね。
古川 うん、「絶対1曲は7人の新曲をやりましょう」というのをけっこう強く言って、無理やり間に合わせた記憶がありますね。やっぱ先の見えるライブにしなきゃダメだと思ってたし、曲自体も前に進んでくっていう内容だったのでやってよかったなって。
「W.W.D」をすり減らしたくない
──「太陽系観察中生命体」はぶっ飛んだサウンドと宇宙人視点で書かれた歌詞がグッとくる、感動的な楽曲ですね。
相沢 いい曲ですよね。
夢眠 歌詞ヤバい。
古川 実はこの前ヒャダインさんとお話しさせてもらって、この歌詞に今年1年の活動のエッセンスが入ってるっていうのを聞いたんです。なんとなく「おやすみポラリスさよならパラレルワールド」を通ってる感はあるなと思ってたんですけど「なにそれ はぁ?だ」っていう歌詞の「はぁ?」は「ギラメタスでんぱスターズ」からとってるとか。ほかにもいろいろあるらしくて、ヒャダインさんめっちゃ見てくれてるなと思って。
夢眠 ヒャダインさんは「おやすみポラリス~」がめちゃめちゃ好きなんだよね。
古川 「おやすみポラリス新規」だって言ってた(笑)。でも「太陽系観察中生命体」はパッと見へんてこな歌詞だけど、やっぱヒャダインさん節というか、歌だから言える強気な言葉みたいなのがけっこう入ってていいんですよね。「要らない! じゃあねー」もちょっと「破!to the Future」と通じるところがあると思うし。とにかく前を向く、変化していくのがすごい、みたいなこと、あんまり言葉では言えないけど歌で言わせてもらえるのがありがたいなって思います。すごい曲をいただいたなって。
相沢 私は「太陽系観察中生命体」を最初に聴いたときに歌詞で泣いちゃって。「地球人って」から「イタイのに笑うんだって」「わかんない」っていうところ。人間ってすごくつらいときにわかんないフリをすることあるじゃないですか。それにでんぱ組.incって悲しいことを悲しいまま歌うのが恥ずかしいっていうか、それが似合わないグループだと思ってて。普通のJ-POPとはやっぱり違うんですよね。それこそねむの卒業は寂しいけど、それを寂しいって言うんじゃなくお祭りにしようみたいな感覚がある。だから今回のアルバムもそういう感じで、もちろん寂しいとか悲しいとかって感情はこの中に全部入ってるんだけど、それよりも私たちは楽しいことをみんなに提案していきたいんだよなって。
──わかる気がします。個人的にはこのアルバムを聴いて、もう「W.W.D」がなくても大丈夫だって思ったんですよね。今のでんぱ組.incは、楽しいことの提案が無理なくできている気がするので。
古川 うん。
夢眠 その意見はうれしいな。
相沢 今もライブで「W.W.D」を聴きたいと言ってくれる人はいるんですけど、でも歌詞やニュアンスを変えてまでやるのは違うなと思っていて。あの曲はあの時代に置いてきて、たまに戻ってCDで聴いたりするのがいい。今の私たちは「W.W.D」を歌わないけど、あの曲を嫌いになったわけじゃなくて、すごく大切な曲だからこそ無理に歌い続けてすり減らしたくないんですよね。あのまま、ずっとウェットなままで残しておきたいんです。
「Future Diver」シリーズに込めた思い
──「エバーグリーン」は「プレシャスサマー!」のカップリングでしたが、アルバムの流れで聴くとさらにエモーショナルに聞こえますね(参照:でんぱ組.inc「プレシャスサマー!」「COSMO TOUR2018」インタビュー)。
夢眠 エモいんだけど前向きで、しんみりエモじゃないのがすごくいいんですよ。あと私はついに“緑曲”ができたのがうれしくて。これが私の卒業曲だと思うんですけど、でも卒業後も封印せずにいいタイミングでちょいちょい歌ってほしいなっていう願いがあります。跡部(みぅ)の卒業曲だった「くちづけキボンヌ」は今も歌ってるしね。
──あれ? 「絢爛マイユース」が卒業曲なのかと思っていましたが。
夢眠 作りすぎたのかな。卒業曲が2曲ある?(笑)
古川 「絢爛マイユース」は「グラデュエイション」って歌詞が入ってるから卒業っぽさもあるけど、私はこれはお祝いソングだと思ってるんですよ。とにかくおめでとうっていう曲。「合格おめでとう!」みたいなときにも歌いたい曲ですね。
──そして「FD3, DEMPA ROCKET GO!!」は安定のでんぱ組.incワールドですね。
成瀬 「アキバの音楽!」っていう感じで好きなんですよね。
夢眠 最先端だけどホッとするんですよ。畑亜貴さんはいつも私たちに先を見せてくれる預言書みたいな歌詞をくれるんです。「勝算不明=チャンスでしょう!」とか、あと「現状維持=退化でしょう!」っていうフレーズがすごく響く。
鹿目 私も「現状維持=退化でしょう!」っていう歌詞が好きで、個人的には新メンバーのことも受け入れてくれてる言葉だなって思ったんですよね。最初は自分が早くでんぱ組.incの色に染まらなきゃって考えてたんだけど、でも今は大きな船に乗り込んで一緒になるんじゃなく、違う色としてグループを変えていけたらいいなって。それが新メンバーの役目なのかなって勝手に思ってるんです。この歌詞が背中を押してくれる気がしてます。
夢眠 私は「終わらせんよ まだまだユメダラケ」っていう歌詞がすごくありがたくって。「Future Diver」は5人のときの曲で「FD2 ~レゾンデートル大冒険~」は6人のときで「FD3, DEMPA ROCKET GO!!」は7人で歌えて、「Future Diver」はいつも私たちの節目にある感じがしてる。
成瀬 「Future Diver」シリーズが100までいけばいいな!
藤咲 「Future Diver」だけのライブがしたい!
夢眠 「破!to the Future」も「FD」番外編だしね。4曲を2回くらいやればミニライブはできる! 「Future Diver」だけでシングルカットしたいね。
──でんぱ組.incは「FD」シリーズをはじめとして、グループにとって大事な曲を節目ごとにもらっていますよね。作家陣の強い思いを感じます。
古川 その話で言うと「世界が私の味方ならば…」も、Shiggy Jr.さんがでんぱ組.incをこういう目で見てくれてるんだなっていうのがすごく表れてる楽曲だなと思って。愛情を感じてます。
成瀬 「四畳半のガラクタだらけのコックピット」っていう歌詞がいいよね。
古川 好きなものたくさん置いてる狭い部屋にいるけど、前に進みたい、常に新しいものを追いかけたいみたいなのが詰まってる楽曲だなって。
夢眠 楽しいことばっかりやりたいもんね。
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7人初の武道館は最新のベストセットリスト
- でんぱ組.inc「ワレワレハデンパグミインクダ」
- 2019年1月1日発売 / TOY'S FACTORY / MEME TOKYO
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初回限定盤 [CD+DVD]
4320円 / TFCC-86652 -
通常盤 [CD]
3240円 / TFCC-86653
- CD収録曲
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- ワレワレハデンパグミインクダ
- ギラメタスでんぱスターズ
- プレシャスサマー!
- 世界が私の味方ならば…
- かぼちゃタンデム
- FD3, DEMPA ROCKET GO!!
- ムーンライト伝説
- Ψ発見伝!
- おやすみポラリスさよならパラレルワールド
- 太陽系観察中生命体
- エバーグリーン
- 絢爛マイユース
- 初回限定盤DVD収録内容
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Music Video
- おやすみポラリスさよならパラレルワールド
- ギラメタスでんぱスターズ
- プレシャスサマー!
- 太陽系観察中生命体
- 太陽系観察中生命体(メイキング映像)
でんぱ組.inc コスモツアー2018 ~既知との再会~ @豊洲PiT 2018.9.29
- でんでんぱっしょん
- おやすみポラリスさよならパラレルワールド
- キラキラチューン
- あした地球がこなごなになっても
- でんぱれーどJAPAN
コスモツアー2018 ~沖縄特別編~ @桜坂セントラル 2018.10.13~14
- ギラメタスでんぱスターズ
- 檸檬色
- プレシャスサマー!
- サクラあっぱれーしょん
- ORANGE RIUM
- エバーグリーン
- でんぱ組.inc(デンパグミインク)
- 古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、藤咲彩音、鹿目凛、根本凪からなるディアステージ所属の女性アイドルユニット。メンバーはそれぞれアニメ、マンガ、ゲームなどに精通したオタクとしても知られ、“萌えキュンソング”と呼ばれるアッパーな楽曲と情感豊かなライブパフォーマンスで国内のみならず海外からも注目を集める。2011年にシングル「Future Diver」でTOY’S FACTORY内のレーベルMEME TOKYOよりメジャーデビュー。2014年5月には初の東京・日本武道館単独ライブを成功させた。2015年2月には東京・国立代々木競技場第一体育館での2DAYSライブ、夏には初のワールドツアーを実施。2016年12月にグループ初のベストアルバム「WWDBEST ~電波良好!~」をリリースした。2017年8月にメンバーの最上もがが脱退。同年末には根本凪と鹿目凛が加入し、7人体制となった。2019年1月1日にニューアルバム「ワレワレハデンパグミインクダ」を発表。1月6、7日には東京・日本武道館でワンマンライブ「でんぱ組.inc コスモツアー 2019 in 日本武道館」を行い、7日公演をもってメンバーの夢眠ねむがグループを卒業する。