音楽ナタリー Power Push - Crossfaith
“最強のアルバム”の根幹にある背景
Crossfaithがニューアルバム「XENO」をリリースした。本作は開放感のあるヘビーなサウンドのリード曲「Xeno」や、海外ツアーを共にしたSkindredのベンジ・ウェブ(Vo)が参加したナンバー「Wildfire」、バンドにとって初となるバラード「Tears Fall」など多彩な楽曲が並んだ1枚となっている。
アルバムの完成を記念して音楽ナタリーではメンバーにインタビューを実施。本作の方向性のほか、海外ツアーの実施やギタリストKazuki Takemuraのライブ活動休止といった出来事がアルバム制作にどんな影響をもたらしたかを聞いた。
取材・文 / 荒金良介 撮影 / 新井潔
「Download Festival」の余韻
──今年、約10万人近くが集まるイギリス最大のメタルフェス「Download Festival 2015」を観てきました。あのスケールを実際に体感してみて、昨年このメインステージにCrossfaithが出演したことがどれだけすごいことなのか改めて知りました。
Kenta Koie(Vo) でしょ?(笑)
Hiroki Ikegawa(B) こいちゃん(Koie)は2回ステージに立ったもんな?
Koie うん、俺はSkindredとも共演したから「Download」のメインステージに2回立った男です!(笑) Skindredとは一緒にヨーロッパツアーを回ったときに共演したことがあって、「Download」当日にSkindredのメンバーから「Ken(Koie)、今日やろうや」って言われて「えっ、『Download』のメインステージでもやっていいの?」と聞いたら「当たり前やんけ、やるぞ!」って。それで決めました。
Terufumi Tamano(Programming, Vision) Kenが出てたときはステージサイドで観てて、メンバーながらめっちゃ感動しました。
──改めてあのステージを振り返って、いかがですか?
Koie 忘れたくても忘れられないですね。
Tatsuya Amano(Dr) ステージに立ってるときは、今まで俺らがやってきたものをそのまま出せばいいと思ってやってました。
Teru あの日は夢が現実に変わった瞬間でしたね。もともと「Download」のヘッドライナーを務めるのは俺たちの夢ですけど、メインステージの2番手で出たことで改めてヘッドライナーのすごさを肌で実感できました。
Tatsuya 日が経つにつれてあの日のことを思い出すんですよね。
Teru 着実に道というか、軌跡を作れました。俺らはものすごい速度で走ってるから、今振り向けば遠くに見える感じですけど。
絆や信念が交差した結果のアルバム
──アルバムが無事完成しました。その間にKazukiさんの脳内出血が発覚し(参照:CrossfaithのKAZUKI、脳内出血の治療で活動休止)、それもあって制作過程も今までと違ったものになったと思うのですが、いかがですか?
Kazuki Takemura(G) 僕は制作期間の前半はどちらかと言えば、内に入り込んでました。治療をしながら自分の中にいるもう1人の自分と対話するようなことが多くて。でもそれを周りのみんなが見守ってくれたことで、じっくりと完成まで持っていけた。このバンドだからこそ、このメンバーだからこそ作品を形にできたって個人的には思います。Crossfaithってバンド名の通り、メンバー間の絆や信念が交差した結果に生まれた作品ですね。レコーディングが終わりに近付くにつれてそういう感覚になり、それをきっかけに自分の殻が破れて、自分の役割もしっかり見えてきたから。そんな俺にメンバーも歩み寄ってくれたというか、みんなで1つの音楽という塊を作っていくような感覚がありました。だからこそメンバー全員が納得する形で「これがCrossfaithだ!」という作品ができたと思う。
Teru メンバー間のグルーヴは大事やもんね。そのバイブスは大事にしていかんとな!
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収録曲
- System X
- Xeno
- Raise Your Voice
- Devil's Party
- Ghost In The Mirror (feat. Caleb Shomo from Beartooth)
- Dystopia
- Wildfire (feat. Benji Webbe from Skindred)
- Tears Fall
- Paint It Black
- Vanguard
- Calm The Storm
- Astral Heaven
Crossfaith(クロスフェイス)
2006年11月にKenta Koie(Vo)、Terufumi Tamano(Program, Vision)、Kazuki Takemura(G)、Hiroki Ikegawa(B)、Tatsuya Amano(Dr)により結成。2009年4月にリリースした1stアルバム「The Artifical theory for the Dramatic Beauty」が国内メタルコア、スクリーモシーンを活気付ける起爆剤に。同年10月には「LOUD PARK 09」に出演し、圧巻のライブパフォーマンスで多くのオーディエンスを魅了した。その後、「Warped Tour UK」「Sound Wave Festival 2013」「Download Festival 2014」「Reading / Leeds Festival 2014」など海外の大型フェスにも多数出演し、各国のメディアに取り上げられる。2014年10月、キャリア初となるシングル「MADNESS」をソニー・ミュージックレーベルズからリリース。2015年1月にKazukiの脳内出血の治療によりライブ活動を休止。サポートギタリストを迎えてライブ活動を行う一方で新曲レコーディングを実施し、9月にメジャー1stアルバム「XENO」をリリースする。