音楽ナタリー Power Push - Crossfaith
“最強のアルバム”の根幹にある背景
シンプルでストレートに伝わる
──「Tears Fall」は終始静かなわけではなく、抑揚があってドラマ性も備わっているところが実にCrossfaithらしいですね。
Koie Kazukiのギターソロは変わらず泣いてますからね。
──ギターといえば、今回はStatic-Xあたりを彷彿とさせるような、1990年代~2000年代初頭のヘヴィロック的な大振りのギターリフも耳に残りました。
Kazuki そうですね。今までは装飾し盛りつけてカッコよくする形で、特に僕はそういう作り方が多かったんですけど。今回はシンプルでストレートに伝わるフレーズが多いと思います。引き算しながら、カッコよさが増すようなアプローチを心がけました。
アルバムが持っているライブ感
──今まで手を付けてなかったようなシンプルなギターフレーズも随所に入っていますね。
Kazuki 今回はビート感を大事にしてたんです。大きくノれるサウンドというか、フェスで多くのお客さんの前でやりたいと思う曲を作りたくて。今回の曲がフェスでどんな反応をもらえるのか、今から楽しみですね。
Koie 今までの作品と比べてもライブ感があると思います。ライブでこうなるかな、ここでこんな照明があったら映えるかなとか、曲を作ってる段階でイメージしてました。初期が速くて、重くて、ブレイクダウン多めの曲ばかりだったのは、自分たちが主にライブハウスで活動していたからで。今年アメリカの「Vans Warped Tour」を回ったときに、アルバムに入る「Xeno」「Devil's Party」「Ghost In The Mirror」をプレイしたんですけど、どの曲も食い付きがよくて盛り上がったんですよ。
──フェスで知らないバンドを観るときにノれるリフやわかりやすいメロディがあるかなど、楽曲を知らなくてもそのバンドの世界観にスッと入れる要素がライブのよし悪しを左右することがありますもんね。
Koie はい。俺も昔、「SONICMANIA」でChase & Statusというドラムンベースのアーティストを観て、すぐに踊っちゃったんですよ。彼らのように、人を奮い立たせるようなエナジーのあるバンドが好きですね。そのキャッチーな要素も今回のアルバムでは出せてると思います。
劇団と同じ
──「Wildfire (feat. Benji Webbe from Skindred)」は初めて聴いたらぶっ飛ばされるくらい、とんでもないエネルギーが爆発した曲ですね。
Koie 強烈でしょ? 「Wildfire」はTeruがSkindredのベンジ・ウェブ(Vo)を入れることを想定して作った曲なんですけど、作曲段階でいろいろとアレンジが変わったんですよ。まあ最初にTeruが提示したスタイルに戻って、狙ったところに落ち着きましたね。あとこの曲にはトラップとか最近のエレクトロのテイストも入れてるし、そういった部分も新しいんじゃないかな。こういった要素を部分的に入れてるバンドはいるかもしれないけど、曲のメインのフックに使って。サビはメロディアスだし、ベンジの声が入ったことでSkindredの要素もある。すごく新しい曲になったと思います。
Teru 俺もドラムンベース、サイケとかいろんなジャンルからエレクトロな音色を引っ張ってくるけど、「Wildfire」は今まで引っ張ってこなかったジャンルから取り入れて、それをバンドとして落とし込めたのがよかったです。普通にクラブでかかっても面白い曲だなと。
Koie バブリーな感じはありますよね(笑)。
──確かに。あと、今回は各パートがクリアに聞こえるし、そこもヘビーさや躍動感につながっているのかなと。すべてが結び付いたサウンドに仕上がっている点もよかったです。
Teru 音から演者が見えるサウンドにしたくて。そういう意味でプロデューサーのジョシュ・ウィルバーを選んだんですよ。バンドの音が脈打つようなものにしたかったから。1stアルバムでは意識してなかった各楽器のアンサンブル、音と音が重なって響き合って音楽になるみたいな。今思い返すと、昔は自己主張が激しくて、みんなやりたい放題にやってましたからね。今回は曲によって、音の入れ方や空気感を考えたから、それでまとまりのあるサウンドになったと思います。
──今作はアルバム全体を通して改めてCrossfaithらしさを感じられる内容になっています。
Teru はい。劇団と同じで、演目は変わっても役者は一緒だから、今回のアルバムはバラエティに富んだ内容だけどやっぱりCrossfaithの曲なんですよね。
Koie 「APOCALYZE」以降、ディヴィッドと一緒に仕事して、その間に死ぬほどツアーもした。加えてKazukiの脳内出血もあって……いろんなことがあったからこそできたCrossfaithの作品ですね。
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収録曲
- System X
- Xeno
- Raise Your Voice
- Devil's Party
- Ghost In The Mirror (feat. Caleb Shomo from Beartooth)
- Dystopia
- Wildfire (feat. Benji Webbe from Skindred)
- Tears Fall
- Paint It Black
- Vanguard
- Calm The Storm
- Astral Heaven
Crossfaith(クロスフェイス)
2006年11月にKenta Koie(Vo)、Terufumi Tamano(Program, Vision)、Kazuki Takemura(G)、Hiroki Ikegawa(B)、Tatsuya Amano(Dr)により結成。2009年4月にリリースした1stアルバム「The Artifical theory for the Dramatic Beauty」が国内メタルコア、スクリーモシーンを活気付ける起爆剤に。同年10月には「LOUD PARK 09」に出演し、圧巻のライブパフォーマンスで多くのオーディエンスを魅了した。その後、「Warped Tour UK」「Sound Wave Festival 2013」「Download Festival 2014」「Reading / Leeds Festival 2014」など海外の大型フェスにも多数出演し、各国のメディアに取り上げられる。2014年10月、キャリア初となるシングル「MADNESS」をソニー・ミュージックレーベルズからリリース。2015年1月にKazukiの脳内出血の治療によりライブ活動を休止。サポートギタリストを迎えてライブ活動を行う一方で新曲レコーディングを実施し、9月にメジャー1stアルバム「XENO」をリリースする。