もうあなたの曲は書かない
──ご自身でお気に入りの歌詞はありますか?
全曲気に入ってるので、歌詞を読みながらいろいろ想像して聴いてほしいですね。そのときのことを思い出せるように声のニュアンスのちょっとの違いも気にしているので。本格的なラブソングを出すのはひさしぶりなこともあって、表現の仕方が変わったところに注目してほしいです。
──成長して感情表現が豊かになった面が現れたアルバムになっているんですね。
あと単純に日本語がうまくなりましたね(笑)。これまで言いにくいところは英語で作ることも多かったんですけど、今回のアルバムの曲はすごく日本語が多いんですよ。意識的に日本語を使ったら、アルバムができる頃には自然と日本語が出てくるようになってましたね。
──歌詞を書き直すこともありましたか?
タイトル曲の「Never Grow Up」は一番書き直しました。アルバムタイトルの「Never Grow Up」は「子供心を忘れずに」というポジティブな思いを込めたんですけど、この曲のタイトルはどちらかというと「大人になれない」というネガティブな意味合いで、くっついたり、離れたりを繰り返していた人のことを書いた曲なんです。実は過去に出した「LADY」「OVER」「CHOCOLATE」も全部同じ人に向けて書いていた曲なんですが、「もうあなたの曲は書かない」と決めて、その人に向けて作る最後の曲として書きました。言いたいことがありすぎて言葉選びに苦労しましたね。
──今回ラブソングが多い中でも特に失恋や片思いなど、恋愛の辛い側面の曲が多いように思いますけど、理由はあるんですか?
やっぱり曲を書きたくなるときってそういうときなんですよね。恋愛がうまくいってるときは楽しいから、曲を書こうとはならないんです。
──なるほど。アルバムにはちゃんみなさんが座右の銘とする「PAIN IS BEAUTY」という曲も入っていますが、恋愛に関しても痛みを大切にしているのかなと思いました。
そうですね。傷付くことは成長につながるし、作品にもなるので、それを大事にしている部分はあります。
そのときの気分で歌ったり、ラップしたり
──先行シングルとしてリリースされた「I'm a Pop」は勝手にジャンル分けしてくる人たちに対して、自分の姿勢を示した曲という理解で正しいでしょうか?
そうです。どれだけ自分の好きな音楽を正確にできるかが大事で、ヒップホップだよねとかヒップホップじゃないよねとか、ロックだとかポップスだとか言われることに対してずっと違和感があって、ジャンルにとらわれた音楽はやりたくないと思っていたので、そういう気持ちで書きました。
──曲調としては思いっきりヒップホップですよね。
もともと「I'm a Pop」というタイトルもなく、テーマもなく曲を作ってたんですけど、作っていく中で「これめっちゃいいじゃん!」って盛り上がって、ずっと言いたかったテーマの曲にすることになりました。この曲調だけど「I'm a Pop」っていうのが面白いし。
──アルバムの中では、この曲や「My Own Lane」「Doctor」あたりがラッパーとしてのちゃんみなさんを前面に出した曲になっていますが、外に対して主張したいときにラップを使っているんでしょうか?
いえ、特に計算はしていなくて。こういうことを言いたいからラップにしようとかじゃなくて、そのときの気分で歌ったり、ラップしたりしていますね。
──なるほど。全体的にシンガーとしてのちゃんみなさんの魅力が強く感じられるアルバムになっているなと思ったのですが、意識して見せていこうというわけではなかったんですね。ほかのインタビューで「次はヒップホップだけのEPを作りたい」とおっしゃっているのも見たんですけど、これも特に理由があるわけではなく?
そうです。今回はたまたま歌いたい気分のことが多かっただけで。やっぱりヒップホップも好きなので次はそれだけでやりたいと今は思ってるんですけど、本当にそのときのマインドなんですよね。感覚で動いているので説明ができないし、作り始めてからまたマインドが変わることもあり得ますね。
──なるほど。「My Own Lane」は、歌詞のほとんどが英語ですが、これもそのときの気分だったんですか?
これはLAで制作した曲で、英語で歌ったらすごくハマったんです。
──ラップの練習はしてないとお話しているのを拝見したんですが、こういうヒップホップの最近のトレンドを取り入れたような曲も特に練習などはせず、すぐ歌えるものなんですか?
そうですね。ラップは練習するものではないと思ってます。
──普段はヒップホップを聴いていることが多いんですか?
いえ、最近はクラシックとか聴いてます。クラシックは歌詞がないのに喜怒哀楽が伝わってくるところがすごいと思っていて。聴いていると昔の偉人と会話している気分になって、大昔にもこういう感情ってあったんだなと感じるんです。こんなふうに言葉がなくても通じたら世界中で通じるわけだし、すごく勉強になります。
──特に好きな作曲家はいますか?
チャイコフスキーです。それこそ喜怒哀楽がすごく入り混じっている曲を作っている印象があって、聴いてるといろんな感情になりますね。
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