人それぞれの“R.I.P.”を想像してほしい

──大切な入り口でもある、歌のレコーディングについても伺いたいのですが。

藤原　これだけ速いBPMで、16のノリも入っているんですけど、大きく歌うことを心がけました。実際、大きく歌っていましたし。いろいろ試してはみたんですけど、サウンドのテンションには全然寄らない形で、ただ整然と歌っています。

──スッと入ってきて、しかも心の深いところへの浸透度がとても高いと思いました。

藤原　なるほど。そうなっていたら、うれしいです。

──ただやっぱり、歌詞に関してはすごくいろいろなことを感じました。かなり複合的な印象もありましたし。

藤原　あ、そうですか？

──「こういうメッセージが込められてるのね」という、単純なひと言ではくくれないといいますか。まず、R.I.P.ということに関して想いを巡らせましたし。先程、記憶の話が出ましたが、それについても考えましたし。過去、現在、未来の時間軸の中で描かれている世界観を感じながら、「永遠というものがないからこそ、今が愛おしいし大切なんだ」ということを投げかけられてる気もしましたし。そして聴き続けているうちにまた、なぜ「R.I.P.」というタイトルを掲げているのか？というところに戻ったり……。

藤原　「なんで『R.I.P.』なのか」ということについては、言おうと思えば言えるんですけど。でも、言わないでおこうかな、と思っているんです（笑）。人それぞれが感じるR.I.P.を想像していただければ、と思っているので。それは例えば、物に対してのR.I.P.でもいいし、記憶に対してのR.I.P.でもいいし……何に対してでもいいんですよ。

とっかかりは同じ猫

──わかりました。もっともっと聴き込んで、私は私なりに感じながら理解を深めていきたいと思います。ただ、ひとつだけ強く思ったところがありまして。歌詞の中に「尻尾の生えた 内緒の友達」「尻尾の付いた友達」という表現がありますよね？　この友達が、「ガラスのブルース」に登場する「ガラスの眼をした猫」の姿と重なるように思えて仕方がないのですが。

藤原　えぇっと……まぁ、そうですね。とっかかりは同じ……猫です。

──この曲を聴いていて、「これは猫かな？」とまず思いまして。で、「尻尾の付いた友達の墓」というところで、フッと「そういえば『ガラスのブルース』に出てくる猫も、星になったっけ」と思い出して。

藤原　はい。そのとおりです。ま、猫ちゃんですね（笑）。

──藤原さんといえば猫、というイメージもありますし。

藤原　あぁ……描きますからね、猫の絵を。そうですね……何も反論できないや（一同笑）。あ、そうですよね！ 歌詞の中では「猫」って書いてないんだよね。そうだ。俺の中ではもう、飼っていたというか……その猫のことなので。だから今、「猫の話」って普通に聴いていましたけど、猫っていうふうには書いていないんだ……確かにそうだ。おっしゃるとおりです。これは同じ猫のことを書いてますね。