クリスマスを題材とした曲、それが驚き

──そして両A面のもう1曲となる「Merry Christmas」は、珍しく特定の季節を題材にした歌ですが。BUMP OF CHICKENはこういったケルト系、アイリッシュトラッド調のフレーズやサウンドをときどき採り入れていますけれど、クリスマスソングとの融合はすごく斬新だと感じました。

藤原　この曲、最初はものすごくいなたいイメージで書いてたんです。俺、なんて言ってたっけ？

直井　ハードロックのバラード。ハチロク（8分の6拍子）の。

藤原　そう。ハードロックのハチロクのバラードみたいなの、あるじゃないですか？ あのイヤらしい感じの（笑）。アコギを弾いて歌いながらこの曲を書いていたときに「そんな感じなのかな」ってなんとなく思っていたんです。ただ単にコードが弾かれているのではなく、何かフレーズが入るんだろうな、って自分では思いながら。で、レコーディングブースに入って弾いた一発目が、そのフレーズだったんです。だから最初にそのフレーズがあったわけではないし、アイリッシュな感じのものはそこだけなんですけど。でも、そのフレーズがあることで、そしてそこで使った楽器がそのあとのサウンドにも残ったりすることで、全体的にそういうムードが漂う曲にはなりました。

増川　昔から藤原がケルトの要素が好きなのは知っていたので、そこでの驚きはないんです。俺にとっては、クリスマスを題材とした曲が出てきたこと、それが驚きでしたね。あんまりそういうのはやりたがらないだろうな、と思っていたので（一同笑）。でも、クリスマスの曲って素晴らしいものがいっぱいありますけど、この曲は自分にとっていちばん合うクリスマスソングだな、って思います。細かいところまで救われるようなクリスマスソング……自分にとって。そういう曲ができてくれたのはうれしいですね。

「メリークリスマス」を歌うことの気持ち良さ

藤原　この曲は実は、僕らのプロデューサーのリクエストを受けて書いたんです。最初は抵抗もありましたし、幸せ感が溢れるものが書ける気は到底しなかったんですけど、身近な人の期待には応えたくて。で、「クリスマスにちなんでいればクリスマスソングのはずだ」と思いながら（笑）、あとは普段の俺のものの見方で書けばいいじゃないか、と。歌詞の内容に関してはもう、個人個人でとらえてほしいんですけど。個人的には「メリークリスマス」って歌うことの気持ち良さといったら、と（笑）。こんなに楽しいことだったんだ、って自分で歌ってみて改めて思いました。増川君も言ってましたけど、クリスマスの曲で代表的なものってたくさんあるし、僕も好きな曲がたくさんあります。でも、「メリークリスマス」って歌うことの気持ち良さは、自分で曲を書いて歌ってみないとわからないことだったので。良かったな、と思います。

──でもクリスマスじゃなくても聴ける曲ですよね、この曲は。季節に関係なく。

升　そうですね。

直井　「スノースマイル」も夏フェスでバコーン！とやったりすると、すごく気持ちいいんですよ。だから「Merry Christmas」も夏の時期にバコーンとやって、「こいつらバカだなー」って思われる（笑）。でも、俺ら的には曲に差別はないし、いつも4人が「やりたいね」って思うその気持ちが大事だと思うので。そういうときにやれない曲があるバンドではない、と思いますし。

──では最後に、今後の展望をお伺いしたいのですが。升さんのお話からすると、すでに何曲が新曲もできているようですし。

藤原　あの、展望の話が出ること自体がイヤじゃないです（笑）。イヤじゃないなぁ、って思えることがこの答えになればいいな、って。何も約束はできないですけど、曲ができているのは本当だし、自分たちの中でもいいモードになっているのは確かですから。